マジイキスレ まとめwiki
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マジイキスレ まとめwiki
ja
2021-07-15T01:43:19+09:00
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こうやって店の前で突っ立って空を眺めていると、『天気の境界』ってのをたまに見ることがある。
田舎の町だから、背の高いビルも何もなく、遠くを見渡せば山の連なりがきれいに見える。
空に雲、日の光をちらちらと隠し、それが次第に大きく分厚い雲になると、雨降りとなる。
今はちょうどそんな感じの雨が、ずっと向こうの山からけっこうな早さで走ってきている最中だった。
こりゃあ、一雨来るな。
とある『蜜柑』と『通り雨』、そして『起ちっ放し』の夕暮れ。
風も強いし、雲も厚い。通り雨にしても、強烈な奴が来る。
別段気象予報士の資格が無くたって、ヒマを持て余して空を眺めてりゃあそれくらいはわかる。
「あなた、軒先のワゴン、引っ込めた方がいいんじゃない?」
店の奥から、妻の好恵(よしえ)が声をかける。
二年前に結婚した彼女、旦那の俺が言うのもなんだが、こんな田舎の果物屋には似つかわしくないお嬢様風の超美人だ。
おっとりとした雰囲気の癒し系に、店に来るお客さんにもずいぶんと好評。
彼女に言われ、そして俺は再び空を見た。
そうだな、売り物が濡れる前に、何とかした方がいいな。俺は、軒先に置いてあった特売商品の果物を、店の中にしまい込んだ。
俺の店は青果店。
今の季節からはちと外れるが、蜜柑を少し多く仕入れちまったんで、特売だ。
がらがらとワゴンを押して店内に入る。商店街から少しはずれ、こぢんまりした店だが、並んでいる商品も質がよく、充実していると自負する。
今だって、夕方のこの時間なりにそこそこ捌けているし、店内には数人の客もいる。
その客達が、外の天気に気が付いてそこそこに買い物を切り上げ、店を出ていった。
ちょうどぱらぱらと雨が降り出していた雨が、勢いを増し始めた頃だ。
「今日は、店じまいかしらね?」
好恵が、店の奥のレジを開いて、売り上げを勘定しながら言った。時間的に少し早い気もするが、雨が長引くようならそれも良いかもしれない。
「お疲れさま、今日もお店で一日中、立ちっ放しで疲れたでしょ?」
和やかに微笑んだ好恵が、俺をねぎらう言葉。
そうだな、ワゴンを引っ込めたついでに、今日は店じまいにしようか。
「あーっ、もう、ビショビショ!」
「ソックスにまで、泥が跳ねてしまいましたわ」
「ママに言われたとおり、傘持ってくるんだったよ~」
「もうあの番組の天気予報、信じねー」
「靴もおろしたてなのに、最悪だわ」
「・・・・・・冷たい」
そんな賑やかな声が、店先で聞こえてきた。若い女の子の声。
店のガラス戸から見る限り、近くの高校生みたいだ。可愛いと定評のあるブレザーの制服も目映いね。
ポニーテールの、元気そうな女の子。
長髪ストレートの、おしとやかな女の子。
おだんごシニョンの、子供っぽい女の子。
ショートカットの、男の子っぽい女の子。
柔らかウェーブヘアの、大人っぽい女の子。
大きなおさげの、無口な女の子。
店先から少しせり出した雨よけの下に、6人の女の子達。
どうせ閉めようと思っていたところだから、営業妨害、などと無粋なことを言うつもりもない。
「雨宿りだったら、中に入ったら?」
俺は、店先にいる6人の女の子に声をかけた。風も強くなってきたから、軒先だけでは雨よけも心許ない。
彼女たちは、店主の俺の申し出に、安堵して店内に入ってきた。
「あら、雨宿り?」
好恵がそんな彼女たちを出迎えた。もうお店閉めるから、お店の中にいて良いわよ、と彼女たちに声をかける。
おそらくこれは通り雨。もう少し時間がたてば、雨も止むだろう。
「ありがとうございます」
ストレートの女の子が、行儀よくお辞儀をした。それに倣って、みんなそれぞれに礼をする。
そんな彼女たちに好恵が目を細めて、店の入り口に向かう。そして壁のスイッチを押し、電動シャッターを下ろし始める。
店じまいを始めた俺達に、彼女らなりに気を遣ったんだろう、手近にあったワゴンの商品を手に取って言った。
「よかったら、この蜜柑、売ってもらえませんか? わたし達、お腹空いちゃったんで」
ポニーテールの女の子が、6個入りの袋とその代金を好恵に差し出した。ショートカットの女の子も、同じように袋を手に取った。
ちょうどそれで一人二つずつ行き渡るようにしたんだろう。
好恵は、気を遣わなくても良いのに、といいながらもその代金を受け取った。
彼女らはその蜜柑を食べながら、雨で中断したおしゃべりを再開したようだ。
電動シャッターが腰の高さくらいまで下がったところで、好恵は俺に向かって声をかける。
「ねえ、あなた」
「ん? どうした?」
「あなたも、一日『起ちっ放し』で疲れたでしょ?」
穏やかな、俺を労る好恵の笑み。
「この子達を使って、スッキリして良いのよ?」
そしてシャッターが下りきった店の入り口に背を預け、俺を促した。
左手の指で作った筒に、右の人差し指を嵌めて、スコスコと抜き差し。
上品な笑顔で、下品な仕草。
さすがは俺の嫁。
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
俺は、店のレジ台の下からガチャガチャ音の鳴る袋を取りだした。
中身はたくさんの、手錠。
俺の動きを、店じまいの作業と思っているのか、雨宿りの彼女たちは気付く風もなかった。
「・・・・・・・・・・・・あっ」
6人のうち一人、おさげの女の子が気付いたけれどもう遅い。しかも彼女、その無口が徒になって、仲間達にこのことを伝えるのが遅れた。
がちゃり。
「え?」
ショートカットの女の子に、手錠の片方を嵌めた。彼女らは唖然とその光景を見ていたが、俺はその隙を逃さず、その手錠の反対側を
シニョンの女の子の手首に嵌めた。彼女らが驚いて叫びだしたときにはもう、俺は慣れた作業をこなすのみで、次々と彼女らを捕まえ、
手錠を嵌めていった。逃げだそうとしたポニーテールを捕まえて足を引っかけ、倒れたところで彼女の足とおさげの少女の手を手錠で
結んだ。驚いて腰を抜かし、尻餅を付いたロングヘアの女の子の足とショートカットのもう片方の手を繋ぐ。入り口の好恵に向かっていった
ウェーブヘアの女の子は、好恵の側にある電動シャッターのスイッチを狙ったのだ。狙いはよかったのだが残念、好恵は合気道の有段者で、
突進してくるウェーブヘアの手首を掴み、軽く捻って捕まえた。そうやって捕まえた少女の手と、ショートカットの足を手錠で繋ぎ、ついでと
ばかりにウェーブヘアの足とポニーテールの手を繋いでくれた。そうやって次々と、彼女らの手足を手錠で繋いでやると、もう逃げることが
出来なくなった。手と手、足と足だけならともかく、手と足を繋がれるともうそれだけで走って逃げるのは難しくなる。
6人の中でも気の強い何人かが、俺達に向かって声を荒げていた。まぁたしかに、こんな不条理な扱いを受ければ怒るのも当然だろう。
残りは、恐怖に怯える者、泣き出す者といたがその中で、なにやらこそこそと動く者がいた。
ウェーブヘアの女の子が、ポケットの中に入っているケータイをまさぐっていたのだ。
「もう、おいたはダメですよ?」
しかしそれをあっさりと好恵が見抜き、彼女ら全員のケータイを取り上げた。あとはお手の物で、好恵はそれらの中身を軽く閲覧し、
適当に親のアドレスを探し出しては、次々とメールを打ち出した。おそらく、「今日は友達のところに泊まる」とか、そんな内容なのだろう。
そのあたりのそつのなさ、さすがは俺の嫁。
そうして、手足を仲間同士で無造作に繋がれた、6人の女の子が店の床に倒れている。
制服をくしゃくしゃに乱して、下着が見えてしまっているけれどもそれを直すこともできない女の子達。
全員の手足を完全に繋いでしまったら、それはまるで団子のように重なってしまうのでいろいろと不都合だ。
だから所々フリーになってる手足もあるのだが、そのあたりはぬかりなく、店の奥から好恵が持ってきたチェーンの長い手錠でもって、店の柱に繋いでおいた。
さて、それじゃあそろそろ、ヤルか。
俺は、店のエプロンを外した。
エプロンの下にはオーバーオールのズボンを穿いているのだが、一日中起ちっ放しのチンポも目立ちにくいのですごく都合がいい。
俺のようなデカチンは、勃起するとズボンのウエストからもはみ出してしまうので、こんなオーバーオールでもないと誤魔化せないのだ。
そして肩のベルトを外し、そのオーバーオールとトランクスを脱ぎ捨てた。
「きゃーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!」
女の子達が悲鳴を上げた。これから自分たちが何をされるのか、はっきりとわかったからだろう。
まずは最初に、いろいろと小賢しいウェーブヘアの女の子から犯すとしよう。
「君は、バージンかい?」
床に転がされた彼女は怯え、しばらくは俺の質問に答えなかったんだが、再度聞き直すとようやく首を振って応えた。
どうやら処女ではないらしい。しかし、俺くらいの巨根をハめた経験があるのかどうか。
泣き叫び、そして俺を『けだもの』と詰るウェーブヘア。俺はそんな彼女の足を押さえ、半ばめくれあがったスカートの下を覗き込んだ。
「へぇ、ずいぶんと大人っぽいパンティ穿いてるねぇ」
「いやあっ、見ないでっ、変態!!」
彼女は、黒いストッキングの下に、紫のパンティを穿いていた。レースも華やかな、上品な大人っぽい下着だ。
「やめろっ、この変態オヤジ!!」
ウェーブヘアと手錠で繋がれた隣の少女、ショートカットが俺を口汚く詰ってきた。
「変態親父とは、失礼だなぁ」
俺が少々辟易としながら呟くと、彼女たちのケータイを調べていた好恵がくすくすと笑ってから言った。
「女の子の下着は、『ショーツ』って呼んであげてくださいな、あなた。『パンティ』とか、古臭くてイヤらしい呼び方をするからオヤジ扱いされるんですよ」
そんなもんだろうか。
「じゃあ、『ショーツ』、取っちゃうよ?」
俺は、少々ずれているような気がする妻のアドバイスを受けて、ウェーブヘアに訊ねてみたが、やっぱり『変態オヤジ』と罵られた。
傷付くなぁ、もう。
俺は、暴れるウェーブヘアを押さえつけ、ストッキングごとショーツをずり降ろした。もちろん、足は手錠で他の女の子に繋いでいるから、
このまま脱がすことが出来ない。太股の半ばまで降ろして、手早くナイフで切り離した。高そうなショーツだけど、勘弁してもらうとしよう。
「ひっ!」
やっぱり、ナイフなんて物騒なものを取りだしたもんだから、彼女たちが怯えてしまった。あんまりこういうの、好きじゃない。
俺はナイフをしまうと、それを好恵に手渡した。そして後は丁寧に、制服のブラウスのボタンを外してやった。ウェーブヘアの彼女、
ブラジャーもショーツとお揃いで、紫のレースだった。
「いやあっ、やめてえっ!!!」
十分大人と変わりない彼女の胸は、柔らかくも瑞々しい弾力がある、十代特有の感触だ。俺はその胸を揉んで、感触を楽しんだ。
おっと、俺だけが楽しむのも悪いな、この子も楽しませてあげないと。
「ううっ、だめぇっ、おねがいっ!!」
この子の乳首は少し陥没気味だったので、俺は丁寧に揉んであげた。身体を暴れさせて抵抗する彼女だったけど、だんだんそんな行動が
意味のないことを悟ったようで、大人しくなっていった。乳輪をなぞり、指の腹で擦るようにマッサージしてやると、少しだけ乳首が膨らんできた。
俺はそこに口を付け、引っ込んでいる乳首を吸い出すようにチュウッと吸ってやった。
口を放すと、そこにはぷっくりと、意外に大きな乳首が飛び出していた。
「うん、乳首も立ってきたね」
れろり、とそこを舐め、可愛がってあげる。もちろん反対側の乳首も同じようにして吸い出してやった。
そんな風に彼女の胸を愛撫してあげると、いい感じに彼女の体も火照ってきたみたいだ。そろそろ準備もいいかな?
俺は、チンコを彼女のヴァギナにあてがった。先端に彼女の愛液が、にちゅ、と粘ついて絡んできた。
「やめてっ、そんなおおきいの、いれたことないっ!!」
ウェーブヘアが慌ててそう叫ぶ。
そうなのか、それは残念だなぁ。
「はい、あなた。これを使って?」
好恵が俺に手渡してくれたのは、ラブローションだ。
「そんなの使っても、入るわけないでしょっ!!」
ウェーブヘアがそういうけれど、そんなことはない。このローションはけっこう役に立つ。
俺はそのとろりとした粘液をたっぷりと手に取り、チンコ全体にまぶした後、彼女のアソコにも塗りたくった。
そして再びチンコを彼女の穴にあてがい、力を込めた。
彼女の抵抗でなかなか入らなかったけど、亀頭の先端が潜り込んだ後は簡単で、にゅるんと亀頭を飲みこませた。
「く、あああっ、いやあっ!!」
泣いて嫌がるウェーブヘアだったけど、オレのチンコをちゃんと入れてやれば、すぐに気持ちよくなるさ。
処女じゃないみたいだから、そのあたり楽だなぁ。
よし、じゃあ、いくぞっ!
ずぶぅーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!
「ひぎいいいいーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!」
あら、処女でした。
そんな感じで。
俺は容赦なく、ウェーブヘアの処女地を荒らしまくった。
「あああーーーーーーっ、あひぃーーーーーーーーーーーーーーっっ!!」
俺が丁寧に犯してやっているうちに、この子も十分感じるようになってきた。
子宮を突き上げ、膣の中にある敏感なポイントをチンコのカリで擦ってやると、ずいぶんといい感じで鳴くのだ。
「ひああっ、そこ、おまんこのなか、きもちいひいいいいいっっ!!!」
俺もそろそろ、この子のキツキツ処女マンコを堪能して、そろそろ我慢できなくなってきた。
「んじゃあ、そろそろいくよ?」
「あっ、ひっ、な、なかは、なかはだめぇ~っ!!」
いやいや、こういうときはやっぱり膣内射精(なかだし)でしょ。
処女喪失は一生の記念なんだから、ちゃんと子宮に精液注いであげないと記念にならないでしょう。
というわけで。
どくっ、どびゅううううううっっっっ!!!
「いやああああああっ、なかに、なかにだされてるぅぅーーーーーーっっ!!!」
だしますともさ、たっぷりと、子宮にね。
どぎゅっ、どびゅ、どびゅーーっ、びゅううううっっ、びゅくうううううっっっ!!
「いやああっ、あかちゃん、あかちゃんできちゃうううっっ!!!!」
子供のように泣き叫びながら、ウェーブヘアの女の子は俺に膣内射精されて身体を振るわせる。ちょっぴり逝ったみたいだ。
彼女の叫びに、犯されて中出しされた彼女の姿をデジカメで記念撮影していた好恵がにこやかに言った。
「元気な赤ちゃんが産まれると良いですねぇ」
そして、心からの祝福の笑顔を、ウェーブヘアの彼女に向けた。
一日中起ちっ放しの俺のチンコは、たった一回射精したくらいではぜんぜん萎えたりしない。
今度は気の強そうなショートカットの女の子。
彼女ももちろん処女で、最初はめちゃくちゃ痛がったけど、しまいには感じまくって逝きまくった。どうやら少々Mっ気があるみたいで、
言葉で詰ってやると泣きながら喜んで、激しいアクメを迎えた。
もちろん彼女にも膣内射精。
次はシニョンの女の子。
子供っぽい雰囲気の彼女だったが、なんと非処女。
でも、俺ほどの巨根は初めてだったみたいで出血もしたセカンドバージンブレイク。いったいどんな細いチンコ入れてたんだか。
非処女な分、少しくらいは身体の性感も開発され掛かってたみたいだったけど、正直まだまだ。
それでも俺のチンコで膣奥をえぐられて、ひぃひぃ泣いてよがってたから、今後に期待、かな。
そして当然のごとく、膣内射精。カレシにはゴム付けさせてたって言うから、俺のザーメンが彼女の子宮に侵入した初めてのお客さんって事になった。
そして今度は、ロングヘアのお嬢様。
おしとやかな雰囲気に違わず、彼女も処女でした。
それでもなかなか感度はよくて、普段の自己研鑽の具合が伺える努力家さん。
しなやかな身体を官能にくねらせ、さんざんアクメを迎えていました。
「ごめんなさい、わたし、いっちゃいますっーーーっっ!!」
なんて、逝くときにも礼儀を忘れない、大和撫子の鏡だった。
こんな礼儀正しい彼女の子宮に精液を注がないなんて、礼節を欠くよなぁ、ってことで当然膣内射精。
ここまでで4発射精しているが、ちっとも萎える気配がない。
好恵は、「ちゃんと、私の分は残しておいてくださいね」なんて声をかけてくるけど、そんな心配を本気をしているわけではなさそうだ。
まだまだ余裕だぜ。
この勢いを殺さずに、どんどんいくぜ。
次は、ビクビクと俺を恐れていたおさげの女の子。
少し発育の遅い身体で、しかも処女。
なかなかきつかったけど、念入りに犯してあげたおかげで、この子にもちゃんとアクメを味わってもらったぜ。
あんまり声を出さないで無口だった彼女だけど、しまいには辿々しい喘ぎ声を聞かせてくれて大満足。
そして彼女自身が望むので、遠慮無く膣内射精。なんだかとても、幸せそうだ。
いよいよ最後の、ポニーテールの女の子。
けっこう経験豊富だったけど、やっぱり相手は学生の子供チンコだったんで、俺のチンコみたいなのは初体験だ。
はじめは痛がって、怯えていたけどそこはそれ経験豊富、どんどんと自分から感じるようになっていった。
今までのセックス経験の中でもこれほど感じたことはないらしく、アヘ声もあげたことがなかった彼女は、初めての快感に戸惑いながらも
遠慮無く逝きまくった。
今日は危ない日だから中には出さないで、といっていた彼女だけど、最後の方には自分から膣内射精をせがんできた。
もちろん乞われるままに膣内射精してあげた。
他の女の子に膣内射精(なかだし)して、この子にだけ出さない道理があるものか。
「おつかれさま、あなた」
と、好恵が俺をねぎらって、身体の汗を拭ってくれる。
「おう、まだまだいけるよ」
と、俺はにやりと笑って奥さんにいってやった。
そして俺は、ポニーテールの女の子の膣に入れたチンコを動かして、抜かずの二発目を開始した。
それから時間がしばらく過ぎて、もうすっかり日も暮れた。通り雨だった夕立も既に過ぎ、外は雨上がりの夜空。
ちょうど、彼女たちを犯してその4巡目が終わった頃、ぴんぽん、と来客を告げるベルの音。
はいはい、と好恵がそれに出て、夜の来客者を迎え入れた。
「あのう、今夜も果物、買いに来ました」
入ってきたのは、数名の女性達。
グラマー人妻の喜美子さん、セレブ人妻の晶子さん、OLの有紀ちゃんに遥香ちゃん、女子大生の洋子ちゃん。
みんな、この店の常連さんだ。
彼女を出迎えた好恵は、笑顔で俺達のところにお客さんを連れてきた。
そして俺と、俺に犯されている6人の女の子を見て、お客さん達は、まぁ、と少しだけ驚いた。
「まぁ、先客がいましたか」
それを好恵は、お気になさらないで、とフォローした後、昼間外に出してあったワゴンを彼女らの前に押してきた。
「はい、では、これが今夜の果物です。主人に犯してほしいご婦人は、どうぞこちらをお買い求め下さいな」
「・・・・・・あのひとたちは?」
さっきまで俺に犯されていたショートカットが、場の変化に着いていけないで俺に質問した。
「あの女達は、俺のチンコが忘れられなくなった女達で、こうやって夜には店に来て、俺に犯されるんだ。
俺があいつらを犯してやるかわりに、あいつらは店の商品を買っていくって寸法さ」
そういう俺の答えに、6人の少女達はみな口々に、言った。
「・・・・・・わたし達も、蜜柑、また買いに来ていい?」
ずいぶんと淫らな表情になった彼女らの問いに、俺は、もちろん、と答えてやった。
「あらあら、新しい会員さんね、ようこそ」
好恵はニコニコと、そのワゴンの商品を彼女ら6人に見せてやりながら言った。
その、ゼロが一桁増えた値札を見て、新入りの女の子達はみな絶句した。
やれやれ、しっかり者の奥さんだこと。
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予告通り3時間が経過した後、通路に戻ったとき、サキュバスが最初に感じたのは後悔だった。
フワリと、音もなく背中の翼を羽ばたかせ、大理石の床に着地する。長い金髪の髪を優雅に流す。
途端、生臭いような、嫌らしいような、形容し難い臭いがサキュバスの鼻腔に広がった。
あまりの臭いに眉を顰め、思わず鼻を手で塞ぐ。
こういう臭いはサキュバスである以上慣れているが、それをもってしても濃厚すぎる臭いだったからだ。
せめて、場所を選べば良かった。
サキュバスは本気でそう思った。
チラリと視線を、目的の人物達に向ける。
「うう……うう……うう……うう……」
「…ああ…ああ…」
「……っ、……っ、…」
そこには、マリー、マーティ、ロベルダ、晴美の4人が、淫らな姿で倒れていた。
マリーは目を瞑り、じっとマーティの愛撫を受け続けていた。
マーティは、目を瞑ったまま仰向けになっているマリーの身体に圧し掛かかり、一方的なセックスを行っていた。
汗で濡れた身体をマリーに擦り付け、お互いの身体から流れ出た体液が、大理石の床を汚していく。
マーティの身体がゆっくり上下する度に、二人の結合部からは、濁った精液と愛液が下品な音を立てて飛散する。
ロベルダは蛙のようにひっくり返ったまま、焦点の合ってない瞳を宙に向け、苦痛とも、快感とも取れない不思議な表情を浮かべていた。
それでもマーティの快感が伝わっているのか、時折思い出したように、膣口から愛液を噴出していた。
晴美はマーティやロベルダよりも酷かった。
尻だけを高く上げた雌犬の体勢は崩れていなかったが、その身体は死んだかのように、ピクリとも動いてはいなかった。
半分白めになっている目からは涙が。開いた口からは涎を垂れ流し、ダラリと出された舌が、冷たい床を這っていた。
「うう、うう、うう、うう」
少しずつ、マーティの連動が早くなっていく。処女のようにぎこちない腰の動きになっていたが、それでも快感を得ているようだ。
マーティに呼応するように、ロベルダと晴美も、合わせるように僅かに身体を痙攣させる。
マリーを除いた3人の目の下には、うっすらと隈が出来ていて、疲労の陰が色濃く出始めていた。
かれこれ三時間、ずっと腰を振り続けたのだろう。傍目にも疲れきっているようだった。
「うう、うう、うう、うう」
マーティの口から何滴の涎が垂れ、マリーの胸を汚していく。既に口を閉じる体力も残っていない。
白く泡立った愛液と、マリーの精液が混ざり合い、独特の臭気を放っていた。
どんどんマーティの腰の動きが早くなっていく。それに比例してロベルダと晴美の痙攣も早くなっていく。
そして、3人の快感が限界を迎えたとき。
「う……ああ…」
「あああ………」
「~~っ!」
3人は同時に絶頂を迎えた。
マーティは背筋を震わせ、ロベルダは僅かに腰が持ち上がり、晴美は一度だけ強く痙攣した。
その後、消え入るような快楽のため息を零し、通路に静寂が戻った。
サキュバスは意地の悪い笑みを浮かべた。パサパサっと背中の翼を羽ばたき、臭いを飛ばす。
「ふふふ、思っていた以上に、美味しそうなものになっているようね」
一歩、また一歩、仰向けになっているマリーの元に近づく。
裸足の足に、愛液が付着しても気にしない。だって、サキュバスだもの。皮膚の上からでも吸収できる。
再びセックスを行おうとしているマーティを尻目に、膝を付いて、死んだように仰向けになっているマリーの横顔に、顔を近づける。
少々、青白くなってしまったが、それでも美しさは健在だった。
まるで白雪姫。悪い魔女によって眠ってしまった哀れな娘。けれども、どちらかといえば、茨の城に眠っているお姫様の方が近いかもしれない。
もっとも、そのお姫様を封じているのは茨ではなく、女の柔肉なのだけど。
サキュバスは漏れ出る笑みを隠せなかった。
二人に近づいたことで、さらに強く臭って来た性臭に、胸が高鳴った。
視線を横に向けると、二人の結合部の間に見え隠れする、マリーの陰茎。それは、まだ硬く硬度を保ち、マーティの中を削っていた。
サキュバスは驚いた。冗談のつもりで生きていたら、と言ったが、本気で生きているとは思わなかったからだ。
「もしかして、まだ生きているの?」
見え隠れする結合部に手を差し込む。掌に、陰茎内部にある、血管の力強い脈動を感じ取れた。
結合部から手を外すと、掌には大量の愛液と精液がコーティングされていた。
指と指を合わせると、粘着性のある二人の液体が糸を引いた。
「はぁ…美味しそう」
鼻先を近づけ、ゆっくりと臭いを嗅ぐ。鼻腔を伝わり、気道を伝わり、肺に入っていく。
全身に染み渡るように、数秒呼吸を止めた後、ゆっくりと吐き出す。
ウットリと、頬が緩んだ。
見た目は、まだ初潮も迎えていないであろう少女。その少女が、淫液の臭いを嗅いで胸を高鳴らせている。
しかも、来ている服は凹凸のない身体にフィットしたボンテージ。あまりにインモラルな光景だ。
少女の正体がサキュバスだと、納得できる魔性の色気があった。
「はぁぁ~、なんて濃厚な臭い。鼻が曲がりそうで、堪らないわ」
今度は舌を伸ばし、口を大きく広げて、人差し指と中指を一気に頬張る。
「んぐ、んじゅる、じゅる、んんん」
食べ残しがないよう、丹念に指をしゃぶった後、残った指も頬張っていく。しっかり指と指の間も舌で舐めるのを忘れない。
数十秒も経つと、サキュバスの手は涎でベトベトになっていた。
はあ、なんて美味しいのだろう。
お腹の奥が熱く燃え始めていくのを実感しながら、サキュバスは再び二人の結合部に視線を向けた。
「ふふふふ、それじゃあ、ご賞味しようかしら」
翼を前方に伸ばし、マーティの身体を突く。
退け、という合図だ。
まずはこの胸デカ女の中に溜まった精液を啜ろうか?
それとも、この男の陰茎を女で、口で、味わってから?
いやいや、ここは贅沢に両方をブレンドして楽しもうか?
ニマニマと締まりのない笑顔で、次から次へと溢れてくる唾液を、一息に飲み込む。
決めた、先に男の方を味わった後、デザートの女を啜り、最後にブレンドを楽しもう。
素敵な献立が決まったところで、再びマーティに顔を向ける。
途端、垂れ下がっていた目尻が釣り上がった。
「うう……うう……うう……」
なぜならば、マーティはサキュバスの命令に従うことなく、腰の運動を続けていたのだ。
「……そこの胸デカ女」
自然と低くなる声。見た目10歳そこらの少女が放ったとは思えないくらいの殺気が込められていた。
けれども、マーティは構うことなく腰を振り続ける。
「そ、こ、の、胸デカ女!」
さっきより強く翼で突く。
すると、マーティはのろのろと腕を上げ、鬱陶しそうに翼を払った。その拍子に、マーティの豊か過ぎる二つの乳房が、ふよよん、と揺れた。
その瞬間、サキュバスの中で、何かが切れた。
「さっさとそこを退けー!」
翼を強く羽ばたかせ、マーティに飛び掛る。マーティは状況に気づいていないのか、振り上げていた腕を下ろす。
その瞬間、悲劇が起こった。
サキュバスは考えていなかった。振り上げた腕は、いつまでも振り上げたままではないことを。
マーティも考えていなかった。というより、考える体力もないし、理性もなかった。ただ振り上げた腕を下ろしただけ。
それが偶然にも振り下ろす形になり、サキュバスの米神を寸分の狂いもなく打ち抜いたのは、不運としか言いようがなかった。
「おごぉ!」
少女とは思えない下品な悲鳴を上げたサキュバスは、その場に崩れ落ちた。
これまた偶然にもカウンターという形になったため、サキュバスは米神を押さえたまま、床を右に左にのた打ち回った。
そして、サキュバスの不幸はさらに続いた。
突然ダメージを受けたサキュバスは、混乱のあまり、3人に掛けていた(魅了の魔術)チャームを解いてしまったのだ。
術の効果で保っていた意識が限界を迎えてしまい、一瞬で気絶した。
マーティも意識を失うと同時に眠ってしまい、ゆっくりマリーの胸に体重を預けた。
その瞬間、死んだように目を瞑っていたマリーの両目蓋が開かれた。
僕は胸の上で寝息を立てているマーティを起こさないように、優しく横に寝かせる。
マーティの膣口から硬くなっていた陰茎が抜け落ち、奥から大量の精液と愛液が噴出した。
最後に、寝ているマーティの額に軽いキスをして、立ち上がる。
サキュバスに気づかれないよう、できる限り静かに深呼吸する。右手に握った宝石から、魔力を吸収する。
マーティにドレスを破られたとき、宝石を取り出しておいて良かった。
もし、この宝石を取り出しておかなかったら、マーティに精気を吸い尽くされていただろうから。
視界の端に、ロベルダと晴美が見えたが、今は駆け寄る訳にはいかない。
サキュバスに注意を向けると、サキュバスはまだ痛みが酷いのか、蹲っていた。
一歩、サキュバスへ足を進める。
途端、サキュバスの身体が静止した。
構わず、さらに一歩進む。
同時に、背中の翼を左右に大きく広げたサキュバスは、素早く立ち上がる。
構わず、さらに一歩進む。
サキュバスは両手を妖しく広げ、僕を誘っているかのように翼を揺らし、軽く舌を出して唇を舐める。
構わず、さらに一歩。
サキュバスも一歩進む。
そして、二人は鼻先が触れ合うくらい、近づいた。
僕は射抜くように。サキュバスは目を細めて。互いの視線が交差する。
張り詰めていく空気の中、最初に口を開いたのはサキュバスだった。
口元を吊り上げ、挑発の眼差しを向けてきた。
「右手の玩具が、私に通用すると思っているのかしら?」
「思っていないさ。それに、魔力は吸収したから、もうこれは石でしかない」
右手を開き、宝石を捨てる。乾いた音を立てて、宝石は大理石の床に転がった。
「あら勿体ない。石といっても、宝石であることに変わりないのに」
「宝石なんて、売っても大した値にはならないよ」
魔力を集中させる。すると、大気中から青い粒子が集まりだし、僕の身体を覆っていく。
僅かに、サキュバスの眉が動いた。
「……どうりでチャームが聞かないはずだわ。まさか、アンフェリー・ドレスだったとはね」
「驚いた?」
身体を覆う青い粒子が、次々に形を変えていく。ある部分はフリルのように、ある部分はふんわりと膨らみ、ある部分は細く、ある部分は太くなっていく。
皮肉を込めて言ったつもりだが、サキュバスは可笑しそうに口元を押さえた。どうやら相手の方が上手みたいだ。
「ええ、驚いたわ。あらゆる魔術対性を持つ防具の中でも、最高レベルの……至宝クラスの防具ですもの。少し、厄介ね」
20秒も経った頃には、大量の青い粒子たちは全て形を変えた。
これでもかとフリルの付いた、金が掛かっていそうな服に……元のドレスに戻っていた。
魔力を操作し、身体能力を強化していく。体中の筋肉と骨が軋み、傍目にも分かるくらい筋肉が隆起し、硬化していく。
「少しだけ?」
ちょっと意地悪な気持ちを込めて、言った。
重心を下げ、獣のように身体を低くする。
「少しだけ」
それに答えたサキュバスも、意地悪な気持ちが込められていた。
両手と翼を大きく広げ、僕を迎え入れるように四肢を伸ばす。サキュバスの身体を包んでいるボンテージが、それに合わせて軋む。
手足の爪が伸び、肉を切り裂けるよう効率的な形を取る。
「それでは」
片や、絵本から抜け出てきたようなお姫様。
「それじゃあ」
片や、ボンテージ姿の、インモラルな美少女。
「「いざ、尋常に……」」
瞬間、二人は閃光になった。
「「勝負!」」
動いたのは同時だった。
サキュバスの大気すら切り裂く鋭い爪の斬撃が、僕の右肩口を貫くと同時に、マリーの放った弾丸の拳が、サキュバスの頬を打ち抜いた。
凄まじい衝撃が腕を伝わり、サキュバスの顔を一撃で砕いたのを実感した。
美しい少女の顔は無残に潰れ、整った歯が頬肉を突き破り、体外に出てしまっているのが見えた。
その後すぐ、裂傷した傷口から血が噴出し、サキュバスの上半身と僕の拳を、赤く染めた。
「ぐぅ!」
切り裂かれた肩口からの激痛を、歯を食いしばって耐える。
遅れて、サキュバスの身体が僕の拳から静かに離れ、緩やかに崩れ落ちていく。
妙なあっけなさを感じながらも、僕は用心深くサキュバスを見つめる。
その瞬間、サキュバスとマリーの視線が再び交差した。
内圧によって押し出された眼球がはっきり僕の方向に動き。
サキュバスの口元が楽しそうに歪んだ。
刹那、僕は本能的にバックステップを行い、サキュバスから距離を取った。そして、それは正解だった。
地面に倒れようとしていたサキュバスは、片手でそれを防ぐと同時に、目にも留まらないスピードで背中の翼が丸まり、2本の剣を形作る。
支えていた片手を前に振り払い、反動を利用して翼の剣を滅茶苦茶に振り回してきたのだ。
距離を取ったおかげで直撃することはなかったが、繰り出された斬撃の衝撃波が、僕の頬に一筋の傷を与えた。
この間、瞬きよりも速い一瞬の攻防だった。
そして、戦いはさらに激しさを増していく。
背中の翼が生み出した書撃破を利用し、さらに僕から距離を取るサキュバス。転がるように僕へ向かい合うと、素早く両手を広げた。
砕かれた顔の肉が盛り上がり、凄まじいスピードで傷が修復されていくと同時に、サキュバスの魔力が増大する。
「闇よ、我を脅かす敵に破壊の癒しを!」
サキュバスは大きく背を逸らし、背中に回した両手に魔力が集まっていく。
もう、顔の傷は完全に修復されていた。
このままでは不味い。僕は両手を前に突き出し、魔力を集中させる。
「風よ、汝の力を持って、蔓延る闇を払え!」
魔術の呪文が完成し、魔術が発動したのはサキュバスの方が速かった。
「破壊の息吹!」
その言葉と共に、サキュバスは勢いよく両手を前に突き出した。
両手に込められた魔力が一瞬、凝縮し、指向性を持って僕へ向かう。
多大な魔力が衝撃波となって大気を震わし、床を切り刻んで、破壊の風となって僕へ襲い掛かった。
遅れて、僕の魔術が完成した。
「エアロ・ファクター!」
大量の空気を圧縮し、空気の大玉を作り出して打ち出す魔術。
消費魔力も少なく、使い勝手のいい魔術ではあるが、加減が難しく、魔力操作を間違うと、途端に威力が弱くなる欠点がある。
所々魔力操作を失敗しても、気にしている暇はない。今は、サキュバスの攻撃を相殺するのが先だ。
二人の放った魔術が激突し、狭い通路に爆音と、衝撃波が四散した。
反動で、マーティ、ロベルダ、晴美の3人が通路脇に転がっていったが、むしろ好都合だ。
チラリと、確認の意味を込めて、3人の方に視線を向ける。全員怪我をしている様子は無かった。
それがいけなかった。
「その気になった女から余所見するなんて、お仕置きだわ」
気づいたときには遅かった。
10m近くあった距離を一瞬で詰めたサキュバスが、眼前に迫っていたのだ。
ニヤリと、サキュバスは凶悪な笑みを浮かべていた。
背筋に怖気が立った。
見た目が10歳かそこらにしか見えないが、それでも、それだからこその恐ろしさが垣間見えた。
慌てて臨戦態勢を取るが、あまりに遅すぎた。
「はあ!」
下から上へ、跳ね上がるような右手のアッパーブロー。指を揃え、必殺の貫手が腹部へと放たれた。
避けるのは無理だ!
そう判断した僕は、魔力を腹部に集中し、一瞬だけ強度を鋼鉄のレベルまで引き上げた……ところで、サキュバスの拳が腹に突き刺さった。
「ごほぉ!」
サキュバスの指が皮膚を裂き、筋肉を突き破り、血管を巻き込み、内臓に到達する。
だが、そこまでだった。
サキュバスの笑みが、驚愕に変わる。
「――!? あ、あんた!」
慌てて引き抜こうとする腕を、左手で無理やり捕まえる。
口の中に血の味が広がる。腹から伝わる激痛を必死の思いで堪え、掴んだ手に力を込める。
サキュバスの細い腕は、枯れ枝のように、あっさり折れ曲がった。
「ぐぁぁあ!」
驚愕の表情が、苦痛の表情へ変わる。だが、放すつもりはない。
右腕に魔力を込め、振りかぶる。右腕の筋肉が隆起し、生々しい音を立てる。負傷した右肩の傷口から、血液が噴出した。
「く、くそ!」
サキュバスは慌てて掴まれた腕を切り落とそうと、背中の翼を変化させる。
「遅い!」
だが、今度はサキュバスが遅かった。
胸と陰部を隠すだけの卑猥なボンテージ姿。まるで狙ってくださいと言わんばかりの、むき出しの腹部に腕を突き刺した。
柔らかくてスベスベしたお腹を突き破り、熱い血液が流れる内臓も突き破り、背骨をへし折り、背中の皮膚を貫き、貫通する。
「ぐぅ、ご、ごぼぉ」
サキュバスの口から、大量の血液が吐き出される。半分がサキュバスの身体を、半分が僕の身体を汚し、床に垂れていく。
このまま内部から魔術で破壊しようと、魔力を集中するが、さすがに相手はサキュバス。そう上手くはいかない。
サキュバスは構うことなく翼で掴まれた自分の腕を切り落とし、拘束を解いたのだ。
間髪を入れず、腹部に突き刺さった僕の腕に全体重を預け、背筋を逸らし、両足を曲げて僕の胸に乗せる。
「う――!」
僕を蹴っ飛ばし、反動を利用して、腹部から腕を抜いて脱出した。
そのままクルリと一回転して、翼の先端を油断無く僕へ向ける。流れるような迎撃体勢だった。
僕は構わず、ドレスの中から小型のダガーナイフを二丁取り出し、構える。
両足に魔力を込めて、一気に加速。サキュバスを追撃する。
風穴が開いた腹部から大量の血液を流しながらも、サキュバスは最初のときと変わらない凄まじいスピードの斬撃を繰り出してきた。
右から来るのを、左手のナイフで防ぐ。
左から心臓を狙ってくるのを、右手のナイフでいなしながら、さらに加速する。
なぎ払うような一撃を上へ逸らし、足元を掬うような攻撃を、ジャンプして避ける。
そこを狙ってくる二つの翼を、僕自身を軸として回転する形で防ぎ、サキュバスの懐に潜り込む。
驚愕に焦りが加わった表情を浮かべたサキュバスが慌てて残った腕を振るったが、意味はなかった。
右手のナイフがサキュバスの喉を貫き。
「ぐぇ!」
左手のナイフがサキュバスの心臓を貫いた。
「おごぉ!」
最後に蹴りを加え、サキュバスから距離を取った。
喉から、胸から、腹部から、大量の血液が噴出していく。サキュバスは覚束ない足取りで、その場を、数回足踏みを繰り返した後。
「~~~~!!」
最後に僕を一際強く睨み付け、崩れ落ちた。
時間にすれば、一分にも満たないかもしれない攻防。
だが、その密度はあまりに濃く、深いものであった。
僕はサキュバスの元に近寄り、死んでいることを確認してから、通路脇に横たわっている3人へと振り返った。
このとき、僕は安心していた。
後は3人をゆっくり治療し、傷口を魔力で修復してダンジョンを脱出するだけだと思っていた。
完全な油断だった。
「………って、汝を死の頂へと運ぶ」
背中に突然走った悪寒と共に、微かに聞こえた魔術詠唱。
信じられない思いで、背後へ振り向くと。
「死滅の息吹」
お尻のあたりまである長い金髪を優雅に流したサキュバスの唇が、僕の唇と繋がった。
その顔は、身体は、さっきの戦闘が夢だったかのように、傷一つなかった。
なぜ!?
急速に薄れていく意識。どんどん強くなっていく孤独感。
緩やかにサキュバスの顔が離れ、視界が広がる。すると、眼前のサキュバスの奥で、さっきまで戦っていたサキュバスが、さっきと同じように倒れていた。
これは、まさか。
サキュバスが行ったカラクリを理解すると同時に、即死魔術が、僕の命を消し去った。
マリーの身体は重力に従い、硬い大理石の床に倒れた。
その一部始終を、サキュバスは溢れ出る歓喜の思いで見つめた。
「あはははは、ば~か! 騙されてやんの」
翼でマリーの死体を突きながら、サキュバスはケラケラと、少女のように笑った。
それが人を殺したことによるものであることが、このサキュバスの残忍性を見せていた。
ひとしきり笑うと、ニヤリと凶悪な笑みを浮かべた。
「まさか戦っている私が偽者だとは、夢にも思わなかったでしょうね」
背後に振り返り、地面に沈んでいる死体に目を細める。
「ドッペル・シャドー……偽者だとはいえ、私を殺すとは……こいつ、本当に強いやつだったのね」
振り向き、床に転がっているマリーを足で突く。マリーの汗が裸足の裏に伝わる。
ドッペル・シャドー……術者の偽者を作り出し、操る、土系統最高の魔術。
この魔術は、魔力と土を原料に、人そのものを作り出し、擬態させることができる。
多大な魔力消費と、繊細な魔力操作を必要とし、これを使えるものは、土系統魔術を極めたといってもいい魔術だ。
「それに、死滅の息吹も使っちゃったし、魔力も底を尽いちゃったわ……ああ、殺す前に、精を奪って置けばよかった」
でも、まあいっか。
横に視線を向けると、そこには3人の女性が通路の脇で寝ていた。全員汗で濡れていて、全員淫液で汚れていた。
3人分も食べれば、お釣りがくるしね。おまけに、こいつの3時間分の精液も入っているから、一石二鳥だわ。
サキュバスの脳裏に、大量の妄想虫が羽ばたく。
まずは、金髪のやつから指で舐め取って……その後、黒髪のやつを直接舐め取って
……最後に胸デカ女の中に溜め込まれた精液と愛液のブレンドを飲み干そう、うん、そうしよう。
だらしなく緩む頬を引き締め、ともすればスキップを奏でそうな両足を抑え、妄想から現実に帰ったサキュバスが、3人に向かって踵を翻し。
「本当、騙されてくれちゃって……」
た、ところで硬直した。
なぜならば、自分が使える魔術の中でも最強の威力を誇る、即死系魔術を使って殺した男が、3人をかばう様に立ちはだかっていたからだ。
瞬間、サキュバスの脳裏に、様々な仮説が生まれた。
1、 これは嬉しさのあまり見た幻覚だ。
2、 実はやつは双子で、実力もない弟か兄が虚勢を張っている。
3、 目の前のやつは本物で、実は今殺した奴が偽者である。
不思議と流れる大量の汗を片手で拭い、目の前の男……マリーを見つめた。
マリーは、ニッコリと笑顔を……サキュバスにとっては、悪魔の笑みを浮かべて、答えを言った。
「まさか、戦っている僕がドッペル・シャドーだったなんて、夢にも思っていなかったでしょ」
3! 3! 3! サキュバスの脳裏に、最悪の答えが点滅した。
ゆっくり、マリーがサキュバスへ向かって一歩踏み出す。
反対に、サキュバスは一歩下がる。
一歩進む。一歩下がる。一歩進む。一歩下がる。
「見たところ、魔力も底を尽いたみたいだし、絶体絶命ってやつじゃない?」
マリーの身体から魔力が漲る。いつもの自分なら欠伸で返事するが、魔力が切れた今、目の前のマリーが何倍にも恐ろしく思えた。
一歩進む。一歩下がる。一歩進む。一歩下が……れない。
気づくと、サキュバスは通路の壁に追い込まれていた。そして、眼前にマリーの顔が迫っていた。
マリーの方が頭一つ分大きいため、大人が子供を見下ろしているような光景になる。自然と、マリーの迫力も増す。
「わ、私を殺すってわけ?」
自然と声が震えるのを自覚しつつも、懸命にマリーを睨んだ……ところで、自身の特性を思い出した。
そうだ、私はサキュバスだ。サキュバスは何度死んでも甦る、不死の一族だ。
それを思い出すと、不思議と緊張が和らいでいく。
すっかり落ち着いたサキュバスは、挑発的に鼻で笑ってやった。
だが、マリーはそ知らぬ顔で受け流した。
「殺したって、すぐに甦るでしょ。知っているよ、君達サキュバスは普通に殺しても、時間が経てば甦る、不死の一族だよね」
……あれ?
サキュバスの脳裏に、一抹の不安が過ぎった。
「けれども、そんな君達にも弱点があることも知っているよ。
確か、君達一族は生まれてから死ぬまで、一度もオーガズムを味わうことなく生涯を終えるはずだよね?」
「そ、それが何?」
せっかく引いた汗が、再び出てくる。
「変な話だ。セックスという形で食事する君たちが、生きながらえるためのセックスでオーガズムを迎えない。
より多くの生命エネルギーを取り入れる点においては、断然オーガズムがあるほうが、得物の興奮を誘える。
なのに、君達はそうしない」
不味い、不味い、不味すぎる。まさか、こいつ知っているのか!?
嫌なくらい高鳴る心臓の鼓動を感じながらも、黙ってマリーの言葉を待つ。
マリーは微笑み、サキュバスの疑問に答えた。
「答えは簡単さ。魔術を使って、食事の不便を代償に、不死になったのだろう?
おそらく快感を妨害する魔術で、それは一度でもオーガズムを迎えてしまうと解けてしまうものじゃないかい?
つまり、一度でもオーガズムを迎えてしまえば、こっちのものということだ」
サキュバスは絶望した。まさか、サキュバスしか知らない一族の秘密を、目の前の男が知っているとは思わなかったからだ。
落ち着け、落ち着くのだ。ここはCoolに、Coolになるのだ。
突如、サキュバスの脳裏に、3つの天啓が閃いた。
1、 とっても強いサキュバスである自分が、突然素晴らしい作戦を思いつき、この状況を脱出する。
2、 仲間のサキュバスが助けに来てくれて、間一髪、自分は助かる。
3、 誰も助けに来ないし、作戦も思いつかない。現実は非。
やさしく伸ばされたマリーの手が、ボンテージの隙間に潜り込み、陰部を直接撫で回す。
「ふぁぁん」
途端、口から出たのは快楽のため息だった。
サキュバスの身体は、どんな刺激にも快感を覚えるようになっているので、濡れてもいないデリケートな部分を刺激しても、快感を覚えるのだ。
事実、サキュバスの身体は急速に燃え上がり始め、膣から愛液が分泌され、性交の準備を迅速に進めている。
「自分が行ったことを、自分で体験できるなんて素晴らしい経験だね」
ニッコリ、マリーは微笑み、ドレスを脱ぎ捨てる。だが、サキュバスは見逃さなかった。
マリーの額に、でっかいバッテンが出来ていることに。
サキュバスの脳裏に、3、という数字が力強く点滅した。
サキュバスが着ていたボンテージを脱がし、生まれたままの姿にしたのは40分前。
サキュバスの小さな口に、大人のキスをすること10分。
お漏らししたようになっていた陰部に、熱烈な愛撫をすること30分。
合計40分。僕はかれこれ、30分以上サキュバスの陰部を舐め続けていた。
最初は蚊の鳴くような喘ぎ声しか出さなかったが、今では一舐めすると、敏感に反応を返してくれるようになった。
「あん……ん、もう、もう、うう、止めて、止めてよ……」
見た目10歳程度の美少女が、舌による愛撫を止めるよう懇願する。
舌が敏感な部分を這う度に、汗で濡れた彼女の身体がヘビのように蠢く。釣り上がっていた目尻は垂れ下がり、情欲に蕩けていた。
だが、内容とは裏腹に、彼女の両足は僕の頭をしっかりと抱きとめ、離れないように押さえている。
始めは僕の頭を跳ね除けようとしていた両手も、今では優しく頭を撫でてくれていた。
当初の彼女の様子から考えると、想像もできない姿だ。まだ一時間も経っていないが、妙に懐かしい思いがあった。
そのとき分かったことなのだが、脱がしてみて初めて分かったことがある。
サキュバスの身体は、普通の子供とは違い、各関節、皮膚、内臓が柔軟で柔らかいのだ。
大人の女性だけが持つ柔らかさを、そのまま持っているかのような、スベスベな肉付き。
子供特有の硬い四肢がなく、胸なんてツルペッタンもいいところなのに、どこか柔らかいと思えてしまう何かがあった。
裸の彼女を見て、僕は改めて彼女がサキュバスであることを実感した。
なので、感謝の意味も込めて、サキュバスの陰部を丹念に舐める。
スジと言っていい縦一本の線に、沿うように舌を這わせ、時には広げて、淫唇を隅々まで愛撫する。
かと、思えば、陰部全体を労わるように舌を這わせたり、不意をついてはアナルに下を差し込んだりする。
見た目相応の小さな膣口に舌をねじ込むことも忘れない。
「ひぃぃ、ひぃぃ、ナタリアのお腹を舐めないで~」
だが断る。
同時に膣奥から漏れ出てくるナタリアの愛液を、一滴残らず啜る。
……ああ、ナタリアというのか、この子。
案外可愛い名前じゃないか。そんなことを考えながら、僕はナタリアの淫核を一際強く吸った。
ナタリアは甲高い嬌声を上げた。けれども、オーガズムを迎えたわけではないようだった。
サキュバスの膣口を見て、最初は思わず止めようと思った。
指一本入れるのも困難に思えたが、これが意外や意外。
サキュバスとしての肉体がそうなっているのか、ナタリア自身の素質がそうなのか、すんなり指は根元まで入った。
そして、サキュバスというものを始めて肌で理解した。
指を入れた途端、膣壁が指を優しく包み込み、複雑に蠢き、脈動し、僕の指を熱烈に歓迎したのだ。
それが不規則に精を強請る様は、まさにサキュバス。
しかも、ときおり爪が何か狭いものにしゃぶられるような感触も伝わってくる。恐らく、子宮口だろう。
もしかすると、サキュバスにとって子宮すらも快感を生み出す部位なのかもしれない。
並みの男性なら、入れた瞬間射精してもおかしくない。下手したら、遅漏と呼ばれる人も、サキュバスの前では早漏に成り果ててしまうだろう。
「これがサキュバスの中……確かに、精を吸い尽くすわけだ」
呟いた言葉に、返事が返ってくることは無かった。
「…あ……あ……ああ……あ…あ……ああ」
(こいつ……執拗過ぎる……犬みたいに舐め続けられて、アソコが壊れちゃったわ……もう十分でしょ?
早く硬くなったそれを私の中にぶち込みなさい。そうなれば、後はこっちのもの)
ナタリアは息も絶え絶えに、ただただ指の感触を味わい、僕からもたらされる快感を感受していた。
舐め続けること一時間。さすがのサキュバスも、一時間以上の執拗な愛撫を受けたことはなかったのだろう。
涙で潤んだ目、口端から涎が垂れ続け、体中から汗が噴出している。呆けたようにアヘ顔を見せていた。
けれども、まだ前儀は始まったばかり。サララも大体これくらいしてからするのだが、サキュバスであるナタリアならまだまだ大丈夫だと思われる。
「それじゃあ、これから一時間くらいGスポットやら何やらを擦り続けるから、いっぱい感じてくださいね」
「――!? ま、あひぃ……まっりぇ!?」
(ちょ、ちょっと待て、まだ入れないの? うあ、そこを擦るな……このままじゃ、本当にイカされちゃうわ、どうしよう……そうだ)
途端、ナタリアの目に正気が戻った。だが、恥骨の裏、膣壁のザラザラした部分を擦ると、また意識を飛ばした。
けれども、すぐに意識を取り戻し、僕へ抗議の眼差しを向けた。
「いい、いい、ち、違う、そうじゃ、こんなの、変ら、こんなの知らない、気持ち、良すぎて、良すぎぃぃ!」
(ほれほれ、女からこんなこと言われたら、堪らないでしょう?)
懸命に話そうとしている途中だけど、かまわず硬く勃起した淫核を摘むと、ナタリアは、はしたなく歯を食いしばった。
「言葉責め? いや、言葉受け? 言葉でも興奮を誘うとは、さすがサキュバス……恐れ入る」
「違うよ、本当に違うの、こんなの、私、知らない、知らないよ、本当だよ、信じて、もう止めて、他のこと、いっぱい奉仕するから、だから」
(見透かされている!? くそ、魔力さえあれば、こんなやつ……あ、ちょっと待て、それは止めろ、顔を近づけるな、それは弱いんだか)
五月蝿いので、キスで黙らせてやる。
キスしてから舌を噛まれないか不安を覚えてけど、舌を絡ませると目が蕩けたので、安心した。
ということなので、愛撫を再開した。呻いて抗議されては堪らないので、一時間くらい舌を絡ませ続けよう。
自分でも執拗に感じるくらい膣を愛撫すること1時間。
途中、バリエーションにと、アナルを愛撫すること1時間。
ついでだからと、交互に抜き差しすること30分。同時に抜き差しすること30分。計、3時間以上攻め続けた。
果たして、彼女に挿入したとしても、サキュバスである彼女にオーガズムを
与えることができるのだろうかという、不安もあったが、そろそろ僕の我慢も限界に達していた。
もう抵抗の素振りすら見せないナタリアの股を開き、身体を押し込める。所謂正常位というやつだ。
硬く勃起した陰茎を入り口に擦りつけ、ナタリアの愛液を塗す。
僕が出したカウパーと、彼女の愛液が混ざり合うのが、どこか官能的で、いやらしかった。
「……………………」
(やばい、やばすぎる、分からないけど、後数分も愛撫されたらイク。なんか大きな波が来る。抵抗しなきゃいけないけど、身体が痺れて力が入らない)
焦点の合ってない瞳を宙に向けているナタリアを無視し、そのままゆっくり彼女の中に収めていく。
膣口自体が小さいので、少し抵抗を覚えたが、無理やり亀頭を押し込む。
「…ぁぁ、あああ、ああああ!」
(お、大きい……亀頭が入ったのだわ……やだ、背筋に怖気がぞわぞわと……頭の中にどんどん快感が……)
亀頭が完全に入ると、膣壁の隙間から中に充満していた愛液が滲み出てきた。ありがたい、これを潤滑油にして、最後まで入れよう。
僕と彼女の恥骨がゆっくり近づいていく。
「ああ、おおお、おおおおお!」
(これ、これは……駄目、これは駄目、亀頭のかさが、私の中を削って……駄目、本当に駄目!
本当にイカされちゃう! こうなったら、私も締めて、先に射精させて、精気を奪わなきゃ。
そうすれば、魔力も回復するわ。多分、5回も奪えばこいつも種切れだし、体力も落ちるから、そのときがチャンスだわ!)
「う、う、くぅ、締まる」
同時に、不安は的中した。彼女の中には亀頭しか入っていないのに、まるで数人の女性が同時に愛撫してくるような、異質な快感が伝わってきたのだ。
手で、舌で、胸で、足で、口で、膣で、感触がガラリと変わり、不規則に伝わってくる快感は凄まじいものだった。
「さて、魔方陣に戻るための魔力と体力を考えて、精気に回せる魔力はこれくらいか……あ、モンスターのことも考えると、もっと少なめにしないと」
コツンと、亀頭の先端がナタリアの子宮口を押した。まだ半分も入っていないが、彼女のサイズを考えたら十分すぎるだろう。
「ああ――、奥ぅ、奥が!」
(んああ、子宮口……腰が痺れる……けど、チャンスだわ。あまり体力に回せないのなら、まだ私にも勝機がある!)
でも、構わず一気に体重を掛ける。子宮口を突き破り、子宮内の壁を押し上げた。亀頭の先端に、硬い感触が伝わってきた。恐らく、子宮の壁だろう。
「――!? ぁああ、があああ!?」
(んひぃぃぃぃぃぃぃぃ……し、子宮が……亀頭が……お腹を……)
視線を下げると、ナタリアの下腹部が膨らんでいた。もしかしてと思い、ナタリアの顔を見ると、凄惨なものになっていた。
瞳は完全に白目を向き、口から涎を、舌をダラリと垂らし、体中から球のような汗が噴出していた。
背中の翼も、今や小さくなり、ナタリアの背中に隠れて見えなくなっていた。
快感を覚えているのか、それとも苦痛を感じているのか、判断に迷う。ちょっと後悔の念が湧いたが、こうなったらこのまま突き進むしかない。
「とりあえず、魔力を変換してできるのが、108回くらいか…」
僕の波動液は108まで出せるぞ。それで打ち止めだ。はてさて、この回数で、彼女をイカせられることが出来るのやら……。
背筋に悪寒を覚えるくらいの快感に耐えながらも、彼女の中を蹂躙することにし、腰の前後運動を開始した。
亀頭が抜ける寸前まで腰を引き、内臓を押し上げるくらい一気に子宮へ叩き込む。もう破れかぶれだ。
「あああ! あああ! あ――! ああん!」
一突きする毎に首を左右に捻り、必死に快感を逃そうとしているナタリア。多分、これも演技なのだろう。さすがサキュバス、恐ろしい子。
(108だと!? そんなの反則……ああ、駄目! 腰を動かすの、駄目! 感じすぎるぅ!)
ナタリアの膣壁が伸縮を繰り返し始めた。引き抜くときは名残惜しいかのように吸引し、入れるときは優しく包み込んでくる。
絶頂の兆しを見せ始めているが、油断はいけない。もしかしたら、絶頂を偽装しているのかもしれないからだ。
(ヤリ殺される! ハメ殺され、あ、あああ、やだ、駄目、駄目だ、もう、もう、もう、イク、イク、イク、
やだ、イキたくない、イキたくな、駄目! イク! イッちゃう! もうイク! もう、い……くぅぅぅ!!)
不意に、ギュウッと、ナタリアの中が締まった。
腰が持ち上がり、僕を乗せたままブリッジする。顎を逸らし、白い喉を眼前に晒し、ナタリアは深く絶頂……の素振りを見せた。
「イク、イク! イクううう――!!」
あまりの締め付けと気持ちよさに、僕も耐え切れずナタリアの子宮の中で、射精した。
ナタリアの中に射精する度に、ナタリアは痙攣した。
(熱、熱い、子宮が焼け、あああ、駄目、子宮が震える! 気持ちいいよぅ!)
その姿は、どう見てもオーガズムを迎えている女性だった。
なんて恐ろしい。思わずオーガズムを迎えていると思ってしまった。
ゴクリと、唾を飲み込み、前後運動を再開する。今度は、上下の運動も混ぜて。
残り107発。これで、ナタリアをイカせなくては!
ナタリアの中に射精すること、37回目。
時間にして、7時間強。休むことなく腰を振り続けていた。
途中、晴美達にも加勢してもらおうと考えたが、術の影響からか、全く起きる気配を見せなかった。
後、半日……下手すれば、明日まで眠り続けるかもしれない。
仕方なく、僕は孤独に腰を振り続けていた。
視線を下げると、ナタリアが仰向けで、大の字になっていた。
「あー、あー、あー、あー、あー」
(いひぃぃ、いひぃぃ、突いて、もっと突いて! ちんこ気持ちいい、ちんこ凄い、ちんこ、ちんこちんこ、ちんこ!)
突く度に、あー、あー、と嬌声を上げる姿は、僕への挑発にしか思えない。
しかも、僕とナタリアの間には、おびただしい量の愛液と、ナタリアの尿が散乱し、床を派手に汚していた。
10回を超えた辺りで、ナタリアが漏らしたものだ。まるで、お前のものでは無理だと言わんばかりに……。
そのときの屈辱を思い出し、ナタリアの中をかき回すように腰を捻る。少しでもバリエーションを入れて、感じさせなくては。
「あー、ああん! あん! イイ! いいよぅ!」
(お腹グリグリされている! お腹気持ちいい、ちんこ気持ちいい! もっと、もっとしてぇ! もっと滅茶苦茶にしてぇ!)
ナタリアは再び痙攣を起こし、絶頂の素振りを見せた。
くそ、ナタリアは遊んでいる! この状況を楽しんでいる!
胸の奥が張り裂けそうなくらい、屈辱と憤りを感じる。だが、今の僕にはそれを晴らすテクニックも、モノもない。
せめて、少しでも抵抗を。そう思った僕は、体位を変え、後ろから彼女を攻めることにした。
ナタリアの中に射精すること、92回目。
もうそろそろ、限界に近い。後、16回で僕も打ち止めだ。
犬のように高くお尻を上げたナタリアの腰を掴み、さらに力強く腰を叩きつける。
ナタリアはもう相手をするのも飽きたのか、床に舌を這わし、濁った瞳でどこかを見つめていた。
焦りを感じながらも、休まずナタリアを攻め続ける。
「ああん、ああん、凄い、凄いよぅ、ああん、凄いよぅ」
(イクぅ! また、また……イッちゃったよぅ! おちんぽ様気持ちいい! おちんぽ様! おちんぽ様! もっと突いてくださいませ、ご主人様~!)
まるで出来の悪いAVのような嬌声を上げるナタリア。
ちくしょう、このままでは駄目だ。残り16回では、あまりに無理がありすぎる。
考えろ、考えるんだ。逆転のチャンスはまだある。野球だって、9回3アウトを取るまで結果は分からないって、達也も言っていたんだ!
そして、僕の脳裏に天啓が閃いた。
そうだ、こうなったら、油断を突いて脱出しよう。
決まれば善は急げ。腰の動きを止め、少しの間息を整える。
心臓が痛いくらい鼓動し、体中が酸素を求めて抗議していた。本当なら和平交渉したいところだが、今は出来そうにない。
視線を下げると、ナタリアが僕を見上げていた。
彼女も呼吸を整えていたが、僕と違ってどこか余裕があるように思える。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
(え、どうしておちんぽ様止めちゃうの? もしかして、私に飽きてしまったのですか!? 許してください、ご主人様!
雌豚でしかない私が、ご主人様の、おちんぽで喘いでいるばっかりに、ご主人様を失望させてしまいました。
精一杯締めますので、どうか捨てないでください!)
途端、彼女の膣圧が増し、精液を搾ろうと複雑に蠕動する。
床に顔を付けている姿だからか、ナタリアの視線がこう、物語っているように思えた。
これでお仕舞い? よく頑張った方ね、と。
僕はそれを見なかったことにした。ナタリアの身体を仰向けにして、正常位の体勢になる。
すると、ナタリアが腕を伸ばし、僕の身体を優しく抱きしめた。両足も腰を押させつけるように組み合わせている。
頭一つ小さい彼女にこうまで余裕があるとは。屈辱を覚えながらも、今度はゆっくり彼女の中を擦るようにした。
粘液の海が、とても気持ちいい。何回射精しても、気持ちよさは全く変わらない……それどころか、増しているようにも思えた。
「んん~、んん~、いいよ、凄く気持ちいい」
(ゆっくりされるのも、気持ちいい。おちんぽ様が私の中を擦っていって……おちんぽ様美味しい。もう、ご主人様から離れられないよぅ)
頭を優しく撫でるナタリアの腕に焦りを感じながらも、僕はナタリアの中を蹂躙し続けた。
脱出できるタイミングは一瞬。それを見逃さなければ、逃げられる!
ナタリアの中に射精すること、101回目。
どこぞの、犬の大家族と同じ回数になってしまったが、気にしない。
もう、イカせるのを諦めた僕は、彼女を跪かせた状態で、フェラをしてもらうことにした。
硬く反り返った陰茎を、膝立ちになったナタリアが舐めしゃぶる姿は、ロリコンなら思わず射精してしまうくらいの色気があった。
何せ、ナタリアの見た目は美少女。下手すると美幼女だ。お尻も胸もツルペッタンだし、腰だって細くなっていない。
背中の翼がパタパタと僕を扇ぐ。傍目にも、ナタリアのフェラは情熱的だった。
陰茎全体に情熱的なキスをしたかと思えば、小鳥のようなキスをしたり、次には喉奥まで咥えていたりする。
舌で玉袋まで丁寧に舐められ、時には裏スジをやんわり舐める。サキュバスならではの技術だった。
「ん、ん、ん、じゅるる、じゅるじゅる、ちゅぱ、ちゅ、ちゅ、あむ」
(美味しい、美味しいよぅ。ご主人様の、おちんぽ汁、最高だよぅ臭くって、濃くって、粘々してて、こんな美味しいの、初めて)
「くぅ、だ、出すよ、ちゃんと受け止めて、飲んじゃ駄目だよ。僕が許すまで、口の中に止めておいて」
「ん! んん! わひゃひふぁひふぁ! じゅるるる、ずずず」
(ふぇぇ、おちんぽ様から精液が出てくるよぅ! 待っていて、ご主人様、気持ちよく出させてあげますから)
僕の言葉に、さらに激しくなるフェラチオ。どんどん強くなってくる射精感に逆らうことはせず、ナタリアの口に思いっきり射精した。
「だ、出すから、受け止めて!」
「じゅるる! ずずず! じゅるるるるるるるる!!」
(来て! 来て! いっぱい出してください!)
睾丸が持ち上がり、大量の精液が陰茎の中に入っていく。そして、凄まじい勢いでナタリアの中に排出された。
1回。
「んんん!」
(来た! 精液来た!)
2回。
「ん……」
(ふぁぁぁ、美味しい~~)
3回、4回。
「………」
(早く飲みたい、ネトネトの精液~)
5回、6回、7回、8回。
「…………ん」
(頭がクラクラしてきた……ご主人様の精液って、本当、麻薬みたい)
9回、10回、11回、12回……射精が終わった。
ゆっくり、ナタリアの頭が離れる。シャフトが見え、亀頭が見え、ナタリアの唇と鈴口の間に白い橋が出来て、途切れた。
目で、合図を送ると、ナタリアは潤んだ瞳を細めた。中の精液が零れないようにしているのか、少し唇を内側に曲げて、口を大きく開けた。
ナタリアの小さな口の中、その全てが真っ白に汚れていた。白い歯も、可愛らしい舌も、真っ赤な口腔も、僕が出した精液で満たされていた。
「……飲んでいいよ」
まるで子供のように瞳を輝かせたナタリアは、僕に見せ付けるように、咀嚼し、ゆっくりと飲み干した。
喉を通っていく精液を見せようというのか、顎を上げ、指で指し示した。
瞬間、僕は考えるよりも早く、音もなく晴美達へ飛んだ。
素早く3人を抱き寄せ、魔力操作を開始する。タイミングは合っている、後は運任せだ。
「彼の地へと誘う、放浪の夢」
ナタリアの方を見ると、キョトンと呆けていた。だが、すぐに僕が何をしようとしているのかを悟ると、物凄い形相で僕へ向かってきた。
だが、もう遅い。僕の魔術は完成した。
「テレポート!」
その言葉と共に、僕の視界は暗転した。
気づいたときには部屋の中に居た。
テレポート……指定した人や物を、別の場所に転送する魔術。
距離と人数(あるいは物の数や大きさ)によって魔力消費が左右されるこの魔術を使用したおかげで、完全に魔力が尽きてしまった。
慣れたテーブルと椅子に、見慣れたソファー。そして、パジャマを着ていたサララが、目を丸くして僕を見つめていた。
構わず、振り返ると、そこには裸の晴美、ロベルダ、マーティが寝息を立てて横たわっていた。その側には、彼女達の衣服や武具が転がっていた。
「……お、お帰りなさいませ」
どうしたらいいのか分からない。そんなサララの内心が、声からも分かった。
心から安心した僕は、サララへと振り向く。
「ただいま……何か、変わったことはなかった?」
パチパチ、とサララは瞬きを数回繰り返し、答えた。
「たったいま、皆様が現れたことが、なにより変わったことです」
「ははは、それもそうか……サララ、お風呂沸いているかい? 後、3人の寝床を用意できる?」
「は、はい、分かりました。お風呂の方は私が入ったばかりなので、用意できております。
後で寝間着の用意をしておきますので、お入りください。毛布を取ってきますので、3人をソファーに運んでくれないでしょうか?」
「ソファー? 分かった。ソファーに運んだら、僕はお風呂に入るから」
「畏まりました。飲み物もご用意しておきますので、ごゆっくり」
そう言い、深々と一礼すると、サララは足早にリビングを出て行った。
一つ、ため息を吐き、立ち上がって3人を運ぶ。
その際、豊か過ぎる乳房とか、弾力あるお尻だとかが掌に収まったが、さすがに性欲は湧かなかった。
ものの数十秒で3人をソファーに運ぶ。ふと、時計に目をやると、時計は23時を回っていた。
丸一日以上、連続セックスをしていたのか。疲れるわけだ。
軽く首を傾げると、鎖骨の辺りから乾いた音が鳴った……ところで、自分が裸でいることを思い出した。
「……アンフェリー・ドレス、あの部屋に置いてきちゃった」
苦笑し、お風呂場へ向かった。
灰色の世界というのは、どういったものなのだろうか。どのような形でその世界に行き、どのような形で抜け出すことが出来るのだろうか。
去ってしまった主人を求め、ダンジョンを彷徨い続ける。
「……ご主人様……ナタリア、良い子にしているから…」
何年も前、ご主人様とは比べ物にならないくらい脆弱な探求者が持っていた本に、そんな言葉が書かれていたのを、思い出す。
人間やモンスターから精を奪う意外することがない私は、その本を暇つぶし代わりに、何度も読んだことを覚えている。
他にも様々なことが書いてあったが、忘れた。所詮、暇つぶしでしかない本の内容を、いつまでも覚えている必要はない。
「ご主人様……どこに居るの……もう、人は襲わないよ……悪いことしないよ……」
でも、どうしてか、その文章だけは忘れることはなかった。
今でも、ふとした瞬間、あの文の続きを思い出す。
灰色の世界というのは、どういったものなのだろうか。どのような形でその世界に行き、どのような形で抜け出すことが出来るのだろうか。
ある人は言った。その世界に行くためには、愛する人を失うのが一番の近道だ、と。
ある人は言った。その世界に行くためには、信じていた人に裏切られるのが一番だ、と。
ある人は言った。その世界から抜け出すためには、また、新しく愛する人を見つけるのが一番だ、と。
ある人は言った。その世界から抜け出すためには、裏切られたということを、受け入れることだ、と。
だが、きっと灰色の世界というのは、そういったものではないのだと思う。
愛する人を失ったのなら、失った人を思って悲しめばいい。
信じていた人に裏切られたら、憎めばいい。
新しい愛を手に入れれば癒され、裏切られたことを受け入れれば、抜け出す手段を手に入れることができる。
だが、愛する人が、信じたい人が、命を捧げようと思った人が、中世を尽くしたいと思った人が、自らの主人が、
自分の不手際から去ってしまった場合はどうだろうか?
自分の不手際によって去ってしまった想い人を、どうやって受け入れ、忘れることができるのだろうか?
忘れられるわけがない。
自分自身を憎んで痛めつければ、それが原因でさらに離れていくかもしれない。かといって命を絶てば、永遠に再開することもできなくなる。
自分から去っていった想い人を憎む。そんな考えなんて、思いつかない。
唯一、その世界から抜け出すためには、想い人から許しを得て、寵愛を受けて、初めて脱出することができるものなのだろうと、私は考えている。
「なぜならば、そんな私も、灰色の世界を旅する一人なのだから」
何気なく、口から出た仕舞いの言葉が、自分の現状をそのままに表している。
ナタリアは、皮肉げに笑った。
フワリと、身体を覆う沢山のフリルが、悲しげに揺れた。
2021-07-15T01:37:52+09:00
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様々な人が行き交う場所、ダンジョン管理センター。
通称『センター』には、いつものように人がごった返しになっていた。
センター……政府がダンジョンを監視、及び管理下に置く為に建築された、いわば複合ビルのようなもの。中には医療施設から娯楽施設、宿泊施設、ショッピングモールなどの店舗があり、生活に必要な物やダンジョン探索に必要なものがすべて手に入る。
初めてここを訪れた人は必ず口を揃えて言った。
ここは小さな街だ、と。
閑話休題。
以外に知られていないが、ダンジョン探求から戻ってきた探求者が、真っ先に求めるのは温かい風呂と、美味い食事だ。
あるときは40℃に達し、あるときはー20℃以下にまで気温が激変するダンジョン内では、味気ない保存食くらいしか食べるものがない。
下手すれば数日~数週間は出て来られないときもあるくらいなので、普通の弁当では、あっというまに腐って食べられなくなってしまうからだ。
それに、荷物も必要以上にかさ張ってしまう。弁当一つ持つくらいなら、その分の弾薬や薬を持っていくほうが賢い判断なのだ。
そして、当たり前の話だが、ダンジョン内ではまず体を清めることはできない。
せいぜい、濡らしたタオルで体を拭うくらいだ。
けれど、ほとんどの探求者はそうしない。なぜなら、タオルを濡らす水が勿体無いからだ。
ダンジョン内には、いくつか水が湧き出る泉があるのだが、あまりそれを当てには出来ない。
周期的に地形を変えるダンジョン内では、泉の場所を覚えていても意味はない。昨日あった泉が、次の日には枯れていたりするのもザラなのだ。
なので、ダンジョン内では砂金よりも貴重な水を、そうおいそれと使うわけにはいかないという訳だ。
そのため、ダンジョン帰りの探求者はまず湯屋へと向かうのが通例みたいになっている。
それに狙いを付けたのが、当時お風呂屋さんを経営していた、湯馬場(ゆんばば)という一人の老婆だった。
彼女は探求者に目を付け、管理センター以外何もなかったセンター周辺の土地を全て買い取り、巨大なお風呂屋さんを建設した。
それも普通のお風呂屋さんではない。中には、就眠施設、娯楽施設、飲食施設など、様々な施設がある複合店だった。
探求を終えた探求者達は、いわば給料日帰りのサラリーマン。それならば、懐も暖かいはず。多少、羽目を外したいと思うはずだ!
確信に近い考えの元、湯馬場の狙いは成功した。
1年で、建設費用の借金を全て返却し、3年で次々に新しい施設を建設していった。
10年後。かくして、巨大複合施設は誕生した。
閑話休題。
その複合施設の中を、一人の少女と、一人の女性が歩いていた。
女性は一言で言えば活動的な美女だった。
身長170後半の長身。勝気な印象を与える顔立ちをして、大きく開かれた両目に、みずみずしい唇。
その色は、紅を注しているかのような薄桃色。ふっくらとした唇は、男なら思わず喉を鳴らしてしまいそうな妖しい魅力があった。
しかし、短いショートカットの黒髪と白いワイシャツ、黒いズボンという井出たちであるため、ボーイッシュな印象を与える。
おまけに、背中に担いだ一丁の銃と、腰の両端に取り付けられたホルスターに収まっている大口径のハンドガンが、さらに活動的な印象を女性に与えていた。
けれども、彼女の全体像を見れば、そうは思わない。
ワイシャツを押し上げる豊かな胸と、服の上からでも分かる細い腰の括れ。ズボンに包まれた柔らかそうなお尻を見れば、考えも変わるだろう。
街を歩けば注目を浴びるのは間違いないが、不思議なことに、周りの人は女性にではなく、横を歩く一人の少女に向いていた。
探求者達に色目を使う娼婦や、さぞもてはやされるであろう、美しい一般女性を尻目に、少女は注目を集めていた。
その少女を見たものは、例外なく驚き、次に夢でも見ているのか? と我が目を疑うだろう。
少女はそれほどに美しかった。背丈は小さく150cm前後で、髪は腰を覆い隠すほど長く、月の光を凝縮したかのような光沢ある銀髪。
前髪は中心から横に綺麗に分けられ、開かれた額を細い眉毛が飾るように生え、その下には勝気な印象を与えるアーモンド形の吊り目。
一本ずつ丁寧に細工されたような睫毛に、すっ、と小さくも高い鼻、薔薇を思わせるような唇が付けられている。
さらに病的にも、生命力溢れるようにも見える雪のような肌が、幻想的な美しさを少女に与えている。
少女が身に纏っているドレスはフリルが多く付けられていると同時に、細かく刺繍が施され、小さな宝石も装飾されている。
小さな背丈と相まって、何処かの国のお姫様、と言われても、この少女なら誰もが納得するだろう。
すれ違う男は皆振り向き、今しがた出会った幻想に捕らわれ、思わず頬を染めるだろう。
すれ違う女は一様に驚愕し、今しがた出会った幻想に嫉妬し、羨望するだろう。
だが、まさかその少女が男性である、だなんて夢にも思わないだろう。それほどの美しさを持った少女だった。
周囲の注目をこれでもかと浴び続けている少女、マリー・アレクサンドリアは、隣を歩く女性に言った。
「今日はハンバーグにしよう」
女性……龍宮晴美は、隣を歩くマリーに返した。
「洋風が美味い店、和風が美味い店、どっちがいい?」
マリーは言った。
「……洋風で」
龍宮は笑顔を見せた。
「それじゃあ、和風にしようか」
「僕の意見はスルーですか!?」
そして二人は、和風のハンバーグが評判の店に入った。
ハンバーグやら何やらを、詰め込めるだけ詰め込んだ僕のお腹は、パンパンになっていた。
なので、ハンバーグをお腹一杯平らげた僕は、体内機能を向上させて、消化、吸収効率を格段に高める。
こうすることで、十数分で完全に食物を100%取り込めることができるのだ。
食欲を満たされた至福の一時。それを、晴美はジト目で見つめた。
「いつも思うが、お前の腹はどうなっているのだ?」
晴美の視線は、僕のお腹辺りに向いていた。
僕は2~3度お腹を擦る。自分で言うのもなんだが、ポンポンと程よい弾力が返ってくる。
……お腹ねぇ……。
フリルがたくさん付いている特殊なドレスなので、捲るだけでもそれなりに面倒くさいが、とりあえず実行する。
着ているドレスを捲り上げて、お腹を外気に晒す。温まれた空気が外気と混ざり合い、涼しい風がお腹を擽る。
鏡や自前の肉眼で見慣れたものが、そこにあった。
太っているわけでもなく、痩せているわけでもない。かといって、筋肉で割れているわけでもない、ありふれたお腹が顔を出していた。
軽く指で突いてみる。
ぷにゃん、ぷにゃん、男のお腹とは思えない弾力が伝わってきた。
擬音にするなら、こんな感じの効果音が付きそうだ。
顔をあげると晴美は、未だ僕のお腹を、疑問の眼差しで見ていた。
「どうもこうも、どこにでもある普通のお腹ですが?」
「どこにでもある普通の胃袋なら、ハンバーグ15人前は平らげない。あと、みだりにお腹を見せない」
「……あら、ごめんなさい」
ドレスを押さえていた手を離す。捲り上げていたドレスが重力に従い、ふわりとお腹を隠した。
完全に隠れたことを確認した晴美は、向日葵のように笑い、口を開いた。
「こうして一緒にご飯を食べるのも久しぶりだな」
晴美は嬉しそうに言った。何となく、前に晴美と一緒にご飯を食べた日と逆算してみる。
……そういえば、結構経っているな。
「お、今ごろになって気づいたか」
僕の表情から察したのか、晴美はケラケラと笑った。
思わずこっちまで笑ってしまいそうなくらい、気持ちの良い笑い声だった。
何だか不思議な気持ちだ。
僕は空へと顔を上げた。空は僕の気持ちとは裏腹に、遠くの彼方まで晴れ渡っていた。
そういえば、そろそろサララは復活しているだろうか?
なんとなく、今朝の出来事が頭に浮かんできた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
朝、目覚めると同時に見た目覚まし時計の短針は、数字の6を回ったところだった。
ベッドから状態を起こし、ぼんやりと目の前の空間を見つめる。
もちろん、そこには見慣れた部屋の壁紙と、見慣れた家具しかなかった。
重力に白旗を上げようとしている目蓋に気合を入れて、隣を見る。
そこには何もない。あるのは、自分の体を包み込むベッドのシーツだけ。
未だ睡眠を貪っていた脳から、昨日の記憶が遅ればせながら送られてくる。
「……そういえば、今日は一人で寝るって、言ったんだっけ」
寝ぼけ眼を擦り、大きく欠伸を一つ。ジワリと目尻に涙が浮かんだ。
霞む視界と、寝坊癖のある頭に活を入れる。
いつも起きる時間より、2時間も早い。二度寝しよう。
そう決めた僕は、そのまま倒れるようにベッドに体重を預けた。
「………ぐう」
そしてこんにちは、夢の世界へ。
ウトウトと、考えるのが億劫になっていく。
黒い点線が頭の中に広がっていき、僕の思考を塗りつぶしていく。
手足から少しずつ感覚が薄れていき、緩やかに眠りの準備を済ませていく。
ああ、僕は眠ってしまうのだな。
そんなことが頭に浮かんだ。そして、すぐに消えていった。
このまま寝ちゃおう。僕はそう思った。そうなると思っていた。
その僕の思いを覆したのは、ドアの開閉音だった。
といっても、ただドアが開かれたわけではない。部屋の主、僕を起こさないようにドアが開けられたのが分かった。
そして、誰かが部屋の中に入ってきたのを、感覚で感じ取った。
僕の強化された五感のセンサーは、ほんの僅かな空気の流れを読み取れるのだ。
一瞬、泥棒かと思ったが、相手が女性であることに気づき、力を抜いた。
僕は安心していた。
どうせサララだろう、そういう考えがあったからだ。それに、前にも似たようなことがあったのだ。
サララは時々寂しくなると、僕のベッドに入ってくるときがある。性的な意味ではなく、感情的な意味で。
おそらく、幼いときに受けた虐待の影響ではないかと思っている。
なので、サララの要求はできる限り呑むように心がけている。
そのため僕は、自分へと近づいてくる女性……サララを前に、ゆるやかに眠りに入ろうとした。
だが、僕のその考えも
「おいすー」
の声と共に四散した。
原因は声ではなく、物理的な質量を持った衝撃によって。
しかもその質量は、程よい弾力を持った何かで、仰向けに寝ていた僕の顔を、包み込むようにして広がった。
「ぐぇぇ」
突如襲ってきた衝撃に、僕は豚のような悲鳴を上げた。いや、ここは蛙のような、だろうか。
しかし、今、気にするのはそのことではない。
最優先事項として問題に当たらなければならないのは……。
「おいすー。久しぶりだから可愛いな、こんちくしょう」
なにやら騒いでいる誰かだ。
声からも女性であることを確信した僕は、頭をホールドしている誰かを振り払おうと手を伸ばす。
けれども、その行動を見透かしていたのか、誰かは素早くホールドを解き、僕を解放した。
僕はあわてて大きく深呼吸をする。
「すぅぅぅ……はぁぁ……げほ、げほ、げほ、ごほ、ごほ…」
当然のごとく、咽た。当たり前のことだが、寝起きにいきなり呼吸を封じられてしまえば、誰だってこうなる。
襲撃されたダメージを回復させている僕の様子に罪悪感を覚えたのか、誰かは申し訳なさそうに謝った。
「おお、すまない。久しぶりなので、加減が聞かなかった」
いや、お前誰だよ。
涙で滲んだ両目を擦り、怒鳴ってやろうかと顔を上げて。
「この……!?」
喉元まで上がった罵倒は、そのまま重力に従って胃に落ちていった。
僕の眼前には、僕の推察通り、女性がいた。
それも普通の女性ではない。その女性は、とても美しかった。
僕よりも頭一つ分は高い身長。かといって、ただ背がある訳ではなく、それに見合う分だけのモノを、彼女は持っていた。
つまり、彼女は出るところは出ていて、引っ込むところは出ていたのだ。
カッターシャツに押さえ込まれてなお、砲弾のように飛び出した二つの膨らみ。
少し力を込めれば折れてしまいそうなくらい、引き締まった腰のライン。
ズボンの上からでもはっきりわかるほどの、大きく実った桃は、きっと触れば弾けてしまいそうな瑞々しさを想像させた。
けれども、僕は彼女の美しさで驚いたのではない。
僕が驚いたのは、彼女のことを、僕がよく知っているからだ。
「……晴美?」
「おいすー、晴美だぞ」
僕の投げかけに、彼女……晴美は、嬉しそうに両手を伸ばし、僕の頭を包み込んだ。
それどころか、ベッドの上にいた僕へと体重を預けてくる。
「ん…しょ」
ベッドのスプリングが揺れ、シーツが乱れる。
そして、あっという間に晴美は全身で僕の上半身を抱きしめる形になった。まるでコアラに正面から抱きしめられたみたいだ。
腕が優しく頭に回され、晴美の柔らかい二つの膨らみが僕の顔を埋め尽くす。
ああ……そうか、さっきの、これか。
顔を埋めているだけで生まれてくる睡眠欲を振り払いながら、さっき顔を覆っていたモノが何なのか知ることが出来た。
……あれ? そういえば、どうして晴美がここにいるんだ?
「う~~、う~~(晴美、どうしてここにいるの?)」
胸に顔を埋めているわけなので、まともに会話ができるはずがない。う~、う~、しか言えない。
「う~ん、久しぶりのマリー分だ。マリーの髪、いい匂いだな……もっと嗅いでいたいな」
「う~~、う~~(無視しないでさ、質問に答えてよ)」
「お前に会えなくなってからどれくらいかな? たしか、最後に会ったのが高校卒業前だったっけ?」
「う~~、う~~(たしか、卒業前です。ところで、さりげなく腰をくねらせないでもらえると有難い)
「寂しかったぞ~、本当に寂しかった。会いたいと思っても、忙しくて会える時間もなかったし……」
なんて気持ちのいい無視だ。ここまでくると、いっそ清々しいものを感じる。
「(どうしようかな……どうにかして口が開ける分のスペースを確保しないと)」
賢明な人ならば、ここで顔を上げるか、腕を突っぱねて晴美を押しのけて会話するだろう。
けれど、僕の頭にはそんな考えは生まれなかった。
二つの夢によって封印された顔を離す。
僕にとって、それを行うのは苦行に近いものがあった。というより、世の中の男性の5割はそう感じるだろう。
けれども、どうしようかと決断に迫られると同時に、晴美はあっさり僕の顔を胸から開放した。
ああ、桃源郷が離れていく!
よほど情けない表情だったのだろう。晴美は猫のように目を細め、ニヤニヤと頬を歪ませた。
「後で好きなだけ弄んでいいから、そんな顔するな。今直面すべき問題はそこではなく……」
言葉が終わると同時に、晴美は恥骨をグイッと、僕へと押し付けた。
パジャマの中に収まっていた僕の陰茎を、晴美の秘部が圧迫する。
突如襲ってきた緩やかな快感に、僕は背筋を振るわせた。
「うふふふ……んん? マリー、なにやら硬いものが私の女に当たっているが?」
白々しく、節操のない僕の息子を咎めるように笑う晴美。笑っている今も、クネクネと腰を押し付けてくる。
本場の娼婦さながらの淫笑を浮かべた晴美の姿は、サキュバスのような妖しさがあった。
僕の理性の網が、音を立てて千切れていく。
男性特有の生理現象に加え、極上の美女である晴美の誘惑を前にして、僕に、耐える術はなかった。
自然と息が荒くなる。興奮の余り震える唇を開け、晴美の胸に向かって首を伸ばす。
晴美はニヤッと笑みを浮かべ、カッターシャツのボタンに手を掛けた。
「おはようございます、マリー様」
ところで、ドアの開閉音と同時に、横やりが入った。
僕はあわてて入り口のドアへと目をやる。そこには、部屋から一歩出た廊下で、綺麗に礼をしていたサララが立っていた。
どこから調達したのか、サララはメイド服を着ていた。
ドアを開けると同時に必ず一礼するサララは、そのおかげで部屋の惨状に気づけなかったのだろう。
「今日も大変お美しいです……」
そして、ゆっくりと顔を上げて……。
「……………………………………」
無言のまま、笑顔のまま、サララは動きを止めた。
ビデオの一時停止ボタンを押したかのような、異様な一瞬だった。
どうしようもない、気まずい空気が漂う。晴美も興が削がれたのか、ベッドから降りて僕と一緒にサララを見つめた。
一時停止のまま、サララはゆっくりと俯く。
「………………あの、サララ?」
いつまでも再起動しないサララに耐え切れなくなった僕は、とりあえず声を掛けてみた。
けれども、僕の声はサララに届いていなかった。
「……だ……で…………だ……す……」
俯いたまま、サララはボソボソと何やら呟いていた。
とてつもなく、怖かった。
気を取り直して、もう一度声を掛ける。
「もしも~し、サララさん?」
若干、敬語になってしまったのは仕様です。
「……だめ……で……それ……わた……です」
呟く声が少しずつ大きくなっていく。同時に、僕の心臓の鼓動も激しくなっていく。
「お~い、サララ「それだけはダメです!」」
ネバー、ギブアップ宜しく、再度声を掛けた。しかし、僕の呼びかけを掻き消すように、サララは声を張り上げて、顔を上げた。
サララの頬には、涙が伝っていた。
僕は一瞬、本気で胸が張り裂けたかと思った。
僕の同様を他所に、サララは顔を歪ませて、叫んだ。
「それだけはダメです! 私以外の女性を相手にしてもかまいません。男性相手だって、私は許容範囲です。温かい目で応援してあげる器量はあります!」
べつに男には食指は動かないのだけど。
僕がそう答えるよりも早く、サララは僕に飛びついてきた。
いつもの落ち着いた態度から想像も付かないくらいの俊敏さだった。
あまりの勢いに僕はサララに押し倒され、ベッドに仰向けになった。
鼻を啜り、涙声になったサララの叫びは続く。
「でも、でも、でも、起こしてあげるのは私の特権です! 朝、お早うございまずって起ごずのば、わだじの役目でず!」
僕の胸に顔を埋めたまま、サララは声を張り上げた。
横に目をやると、晴美も何やら申し訳なさそうに目を伏せている。
僕は、半分泣きそうになりながら、サララを抱きしめた。
華奢な肩、小さな体、細い手足、抱きなれたサララの体が、なぜかいつもより小さく感じた。
僕は自分を罵倒したくなった。
サララがどれだけ僕への奉仕を大切に思っているか。僕への奉仕にどれだけ誇りをもっているか、改めて実感した。
パジャマに広がる熱い涙を感じながら、僕はサララを強く抱きしめた。
サララも僕を抱きしめ返す。そして、涙声になりながら、口を開いた。
「あざ、あざ、の、一番絞りは、わだじのでず!」
ズルッ。
はっきりと、晴美はズルッと音を立てて、その場で崩れ落ちた。
僕も脱力して崩れ落ちそうになったが、サララを抱きしめているためにそうならなかった。
床に崩れ落ちたまま、晴美は顔を僕に向けた。
僕も、晴美へと目をやる。
僕と晴美の視線が交差する。
彼女は、いつもこうなのか? 晴美の瞳が尋ねる。
こんなものです。僕の瞳が答える。
……随分と面白い娘だな。晴美の瞳が尋ねる。
慣れれば楽しいものです。僕の瞳が答える。
晴美は、疲れたように起き上がると、トボトボと部屋を出て行った。多分、台所に向かったのだろう。
まさか、こんなところでアイ・コンタクトを習得するとは思わなかった。
こんど晴美を誘って、バスケットの大会に出ようかしら?
そんなことを考えながら、僕はサララを慰め続けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今朝の出来事にため息を吐いて、僕は首を振った。
「それで、今日はどれくらいまで潜る?」
僕は横を歩く晴美に、かねてから言おうと思っていたことを聞いた。
「今日は、あまり深部までは潜るつもりはない」
晴美は、手にしたメモから目を離さず、僕の質問に答えた。
「あまり深部までは潜らんが、今日の目的は隠し部屋のアイテムだ」
隠し部屋か……時間がかかりそうだな。
顔に出さないように気をつけたが、内心、面倒くさい気持ちがあった僕は、隠し部屋の出現条件を思い返すことにした。
隠し部屋……ダンジョン内にて不規則に発生し、数日程度で消滅する特別な場所だ。特定の条件をクリアすることで出現する、特別な空間のことなのだ。
中には必ず珍しいアイテムがあり、至宝クラスのアイテムがあることも珍しいことではないのだ。
その空間を出現させるための条件は3つある。
もっともポピュラーなのが、不規則で、無条件に出現するタイプ。
このタイプは、運さえあればいい。隠し部屋が出現したとき、その場に居合わせればそれでいいからだ。
2つ目は、不規則に発生する魔法陣の上で、特定の魔術を行使することで出現するタイプ。
このタイプは、魔方陣に書かれている呪文を解読できる専門知識と、魔術行使の教養を受けていなければならない。
3つ目は、特定のアイテムを所持していることで出現するタイプ。
はっきりいって、このタイプで出現することはまず無い。
……うん、たしか出現条件は、この3つだったはずだ。
僕は晴美に探索階層を尋ねた。
「階層は? あまり深い階層だと、長く探索できないよ」
晴美は、分かっていると言わんばかりに頷いた。
「階層は20階前後だが、長丁場になる可能性がある。大丈夫か?」
晴美は、チラリとメモから視線を僕に向け、またメモに戻った。
大丈夫……とは、おそらくサララのことを言っているのだろう。
「サララのことなら大丈夫。数日留守にするって、伝えてあるから」
僕の回答に、晴美は満足げに頷いた。
「うん……分かっているならいいんだ…サーラ…って言った、あの子?」
「サララだよ。今まで何度かそう呼んだでしょ」
「そう、そのサララだ。噂で聞いたんだが、お前、娼婦館からあの子を買い取ったって本当か? ていうか、あんなこと言う時点で、本当なんだろうけどな」
僕は頭一つ分近く高い、晴美の横顔を見つめる。
晴美は、未だメモから目を離していなかった。
何だか随分回りくどいような、的を射ないような、不思議な言い方だ。
「……で、それがどうかしたの?」
単刀直入に、晴美に聞いてみた。
「深い意味があるわけでもないんだ。ただ、私の知っているお前らしくないな……って思ってさ」
「……僕らしくない? どういう意味?」
晴美の言っていることが分からない。晴美はいったい何を言おうとしている?
晴美は、メモをズボンのポケットにねじ込むように押し込んだ。
手持ち無沙汰なのか、何度か腰を擦ったり、頭を掻いたり、落ち着きがない様子を見せた。
けれど、時間にして数秒程度のことだったのだろう。最後にフウっと一息付くと、閉ざしていた口を開いた。
「私の知っているマリーって、けっこうドライな性格なんだ」
人並みでごった返し、騒音が鳴り響くセンター前の商店街の中で、不思議と晴美の言葉をはっきり聞き取れた。
「目の前で傷ついた子供がいたりする。普通の奴だったら助けようとする。私だってそうするし、私の知っている奴らもそうする。けれど、私の知っているマリーは違う。マリーは助けない。決して手を貸さないし、決して危害を加えない。そういう奴なんだ」
晴美は前を見つめたまま、止まることなく歩き続ける。
「けれど、冷酷ってわけでもない。私の知っているマリーはある種の完璧主義者で、平等主義なんだ。一人助けたなら全員助けなきゃ、気がすまないやつなんだ。それを無意識に分かっているマリーは、極力手を貸すことはしない」
「そうなの?」
気づくと、僕は聞き返していた。
晴美は僕の質問に答えず、ニコッと微笑むだけだった。
「けれども人間だし、例外ってやつもある。私の直感では、恐らくそのサララっていうやつが例外なんだろうな」
「…………………………」
「さて、ここで問題だ」
いったい何を言おうとしているのか頭を悩ませている僕を尻目に、晴美は突如問題を切り出した。
「私の知っているマリーではなく、私の知らないマリーに問題を送る」
「晴美の知らないマリー?」
「問題は一つ、とても簡単な質問だ」
晴美はピタリと足を止めて、片手を高く上げた。自然と僕の足も止まる。
晴美の伸ばされた手が勢いよく振り下ろされ、僕の額に人差し指を突きつけた。
「なぜ、マリーはサララを助けたのでしょうか?」
「……………………なぜ?」
「そう、なぜ…だ。それが私から私の知らないマリーへ送る質問だ」
「なにって、そんなの簡単だよ」
分かりきった質問に、僕は不思議と安心した思いを抱いた。
「ほう、それなら質問の回答に答えてもらおうか」
「答えは簡単、僕が彼女の事情を知ってしまったか「違う」あだ!」
僕が答えるよりも早く、晴美のデコピンが額を襲った。
軽い衝撃が額に広がり、痺れるような痛みを伝えてきた。
自然と滲んでくる涙を堪えつつ、額を擦る。額の一部が、他の部分よりほんのり熱くなっていた。
「それは私からの宿題だ。せいぜい頭を悩ませろ」
晴美はそれだけを言うと、またメモを広げて歩き始めた。
あわてて、僕も後を付いていく。
先を進んでいる晴美に追いつくため、少し小走りに彼女へ近づく。それにしても、今日の晴美はどうしたのだろう?
チラリと、晴美の横顔を盗み見る。
そこには、怒っているような、悲しんでいるような、笑っているような、不思議な表情をした晴美が居た。
「女の横顔を盗み見るのはよくないぞ」
僕の視線に気づいた晴美は、ちょっと眉を顰めて注意した。
「だって、なんか機嫌が悪いみたいだから」
「機嫌? 悪いに決まっているじゃないか」
メモから目を離した晴美は、再び立ち止まって、僕の方へ体を向けた。
僕も立ち止まって、晴美へと体を向ける。
「ついでだ。それも宿題に入れろ。どうして私の機嫌が悪いのか、だ」
「……それって、さっきの宿題と関係あるの?」
「大有りすぎて、無い部分を探すほうが難しいくらいだ」
その言葉と共に、晴美は僕の右手を掴み、引っ張った。
たたらを踏みつつ、転ばないように晴美へしがみ付く。
けれども晴美は、僕に構うことなくズンズンと足を進めるので、結局僕は、目的に到着するまで、不恰好な足踏みを繰り返すことになった。
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『センター』には娯楽施設などが多いことで有名だが、実はもう一つのことで世界に名を轟かせているものがある。
その名は、『プラネット』。ダンジョン探求の際に必要になるものから、アウトドア用品まで売っているので、探求者御用達の店だ。
プラネットで販売されている品物の種類は武器弾薬から、薬草やアイテム、果ては魔術書まで、幅広く取り揃えられている。
この店も例外ではなく、湯馬場が経営している施設の一つである。
プラネットという店の名前は、星の数のように無限の商品を置く、という湯馬場の方針から来ていたりする。
ほとんどの探求者はプラネットで準備を整えてからダンジョンを探求するのである。
そして、ダンジョンには一つだけ変わらないルールが存在する。
常に変化し続けるダンジョンにおいて、一見するとルールなど存在しないように見えるのだが、実は絶対のルールが存在する。
それは、十数年という時間をかけて発見したダンジョンのルールである。
ときたま例外なども起こりえるが、ダンジョンは原則的に、深い階層であればあるほどモンスターの凶暴性や戦闘能力が増すというルールがあるのだ。
反対の意味で捉えれば、浅い階層であればあるほど、出現するモンスターは弱いということである。
このダンジョンのルールを利用し、使える資金を遣り繰りして最善の装備を整えることも、探求者としては欠かせない能力なのである。
そして、ある一定以上のレベルに達する探求者達は例外なく、この遣り繰りが非常に上手だったりする。
反面、駆け出しの探求者は、この遣り繰りが非常に下手だったりする。
強い武器やら防具やらに目を行きすぎたり、反対に回復アイテムを必要以上に揃えたり、バランスよく装備を整えられないのだ。
ちなみに、マリーと晴美は一定以上のレベルに達する探求者である。
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「いらっしゃいませ~~!」
「いらっしゃいませ~~!」
「いらっしゃいませ~~!」
プラネット、と大きくプリントされたエプロンを着た店員達が、口々に客達を出迎えていた。
僕は店員の掛け声をBGMに、晴美と一緒に店内を進む。
所狭しに並んだ武器弾薬、鎧に盾に防護布。壁一面に飾られたロッドに、ガラスケースの中に飾られた数百種類の薬草が、鈍い光を放っていた。
繋がれた右手を軽く引っ張る。晴美は歩みを緩めて、僕の方へ振り返った。
「どうした、疲れたか?」
「探求者がこんなことで疲れてどうするの」
「それもそうだな」
晴美は口元を緩めて笑った。
「ところで、今日は何を買うの? 保存食は一応、3日分は持っているけど、隠し部屋を探すつもりなら、1週間が限度だと思うよ」
20階前後の隠し部屋だと、僕と晴美、二人の体力と精神力から考えても、5日間くらいしか滞在できない。
いつモンスターが襲ってくるかわからないダンジョン内では、軽い仮眠くらいしか休息する方法がない。
それも、互いに番をしながらなので、必然的にあまり休めないのだ。
「分かっている。予定では最長で5日間潜るつもりだから、保存食は5日分必要になる……そこの店員、ちょっといいか?」
晴美は繋いでいない方の手で、店員を手招きした。なんだか偉そうに感じるが、これが晴美なので、黙っておく。
そうこうしているうちに、店員が笑顔で僕達の元へやって来た。
「いらっしゃいませ、何をお探しでしょうか?」
ニコニコと、邪気の欠片も感じられない完璧な笑顔だった。店員は、エプロンのポケットから素早くメモ帳とボールペンを取り出した。
「これからダンジョンに潜るのだが、実弾は揃っているか?」
「運が良いですよ、お客様。昨日、入荷したところです」
まるで我が事のように喜ぶ店員。ちょっとオーバーリアクションではないだろうか。
「う~ん……とりあえず通常実弾と貫通実弾と炸裂実弾を50セットずつ。あと、毒消しの秘薬と、特殊弾丸を各30セットずつ持ってきてくれ。」
「かしこまりました」
サラサラと、店員はメモ帳に書き写していく。
「あ、一ついい忘れていた。保存食も1週間分用意してくれ」
「かしこまりました。保存食のビスケットの味ですが、ピーチ、レモン、ヨーグルト、ポテト味がありますが、どうなさいますか?」
「全部ポテト味にしてくれ。後、保存食に水も入れておいてくれ」
「かしこまりました。水も追加ですね……お連れの方は、何か注文はございますか?」
メモから目を離した店員は、僕の方へ視線を向けた。晴美も、僕の方へ振り向いた。
「あ……ちょっと待って、今どれくらいストックがあったかな?」
僕は片手を上げて、店員を制止する。
これでもか! とフリルが付いたドレスのポケットを探る。中から出てきたのは大小、いくつかの宝石だった。
といっても、普通の宝石ではない。魔石と呼ばれる、魔力が封じ込められた特殊なアイテムの一つだ。
通称、魔術詠唱と呼ばれる、魔術発動に必要な魔力と呪文をすっ飛ばし、魔術を行使することができる素晴らしいアイテムなのだ。
一つ一つ手に取り、魔力漏れが起きていないか確認する。
赤、黄金、紫、緑、様々な輝きを放つ宝石を見比べていく。
「……うん、大丈夫」
再び、宝石をポケットに押し込む。
あらゆる局面に対応できる魔術は、その万能な力の反面、魔術詠唱というデメリットを抱えている。
必要な魔力を練り上げ、練り上げた魔力を呪文で構成し、必要に応じて放出する。
この三つの工程を行うことで、初めて魔術を発動させることができる。裏を返せば、この三つの工程を行わなければ、絶対に魔術を発動させることができないのだ。
それは、僕とて例外ではない。
どれだけ膨大な魔力があろうと、どれだけ魔術構成に長けていようと、どれだけ素早く放出できようと、どうしても縮めることのできない部分なのだ。
簡単な魔術であれば、コンマ数秒で発動できるのだが、高位の魔術になると、僕でも数秒から十数秒程度の時間が必要になる。
そういった僅かな時間が、そのまま死への片道切符になりかねないダンジョンにおいて、魔術詠唱を行わずに魔術を行使できる魔石はとても重宝するのだ。
先ほどから笑顔で待っている店員に、注文を言う。
「ロッド系はある?」
店員は顔を綻ばせた。
「当店ではベーシック・ロッドから、ヘイブン・ウィザード・ロッドまで、幅広く取り揃えております。何をお探しでしょうか?」
顎に手を当てて、少しの間考える。
「そうだね……ヘイブン・ウィザード・ロッド系は、何がある?」
「ヘイブン・ウィザード・ロッドですね? 少々、お待ちください」
店員はメモをエプロンのポケットに仕舞うと、そこから紙の束を取り出し、ペラペラと紙を捲くっていく。
「……え~っと、今ご用意できますのが、『爆炎』、『氷結』『重力』『再生』『衝撃』の5つでございます」
「それじゃあ、重力のロッドを一つ」
「かしこまりました。倉庫から取り寄せますので、お時間を少々頂きたいのですが……」
「構わないよ」
「ありがとうございます。それでは、私はこれで」
店員は笑顔で一礼すると、足早にその場を離れていった。
その後姿を黙って見ていると、軽く右手に引かれる感覚を覚えた。
そういえば、まだ手を繋いだままだったっけ。
首を向けると、なぜか晴美は、眉を顰め、首を傾げていた。
「……なあ、ヘイブン・ウィザード・ロッドって、何?」
ああ、だから首を傾げていたのか。
店員が来るまで僕も晴美も暇なので、暇つぶしのかわりに説明しようかな。
そう考えたが、先に横から聞こえた声が説明した。
「ヘイブン・ウィザード・ロッドとは、魔術使いが使用するロッド系の中でも、熟練者向けにカスタマイズされたロッドです」
突然掛けられた声に、僕と晴美は声の方へ振り向いた。
そこにいたのは二人の女性だった。
「数日ぶりですね、マリーさん」
一人は、穏やかな聖女のような美女だった。優しげに笑みを浮かべている口元が、清楚な印象を与えている。
細かな装飾が施された、青色のローブをゆったりと見に纏い、少し野暮ったい眼鏡をかけた女性だった。
「お久しぶりです、マリーさん」
一人は戦乙女、ヴァルキリーのような、気高さが見える女性だった。
光沢が美しい、白銀と黄金の鎧を身にまとい、腰の部分には裁縫が編みこまれたスカートをはき、腰まで伸びる、輝くような長い金髪が背中を流れている。
青色の瞳に整った目鼻、落ち着いた物腰に、鎧の上からでも分かるスタイルの良さ。妖精のような美しさがそこにあった。
この人達は誰だ? と、目で訴えてくる晴美の疑問を無視し、僕は挨拶した。
「お久しぶりだね、お二人とも。といっても、一人は先日会ったばかりだけどね」
僕が空いている左手を差し出すと、二人は笑顔で握手した。
改めて、僕は晴美に、二人を紹介する。
「眼鏡を掛けた方が、アルドロネット・マーティ。もう片方は、ロベルダ・イアリス。二人とも、学園エンジェルの人だよ」
「アルドロネット・マーティです。よろしくね」
「ロベルダ・イアリスだ」
ロベルダとマーティは、晴美に向かって軽く頭を下げた。
晴美は一瞬、呆気に取られていたが、すぐに頭を振って、再起動した。
「……龍宮晴美だ。差し支えなければ、でいいが、もしかしてロベルダさんは、あの『妖精』なのか?」
晴美の言葉に、ロベルダは苦笑した。
「そう呼ばれていたりもするよ」
晴美は、フウッと、疲れたようにため息を吐いた。
そして、しみじみと言った。
「世界は思っているよりも狭いのだな」
ロベルダとマーティは、晴美の言葉に、不思議そうに首を傾げていた。
僕はというと、内心、晴美の言葉に深く頷いていた。
結局、僕と晴美、ロベルダとイアリスは、チームとなって行動することになった。
しかしながら、憂鬱とはいかないまでも、僕はちょっと複雑な気持ちだった。
何気なさを装って、横を歩く三人の姿を盗み見る。幸い、三人は談笑に夢中なため、僕の視線に気づいては居なかった。
チラリと視線を左に向ける。青いローブをゆったりと着こなしているマーティが、微笑みながら眼鏡の位置を直しているところだった。
視線を下げて胸に向けると、そこには二つの夢があった。
一歩足を進める度に、上下に弾む豊か過ぎる胸。ゆったりしたローブが逆に、彼女のプロポーションの良さを窺い知れた。
さらに隣のロベルダに目をやる。
腰まである長い髪が風に流れ、太陽の光によって、金髪が光り輝いていた。
鎧の上からでも、はっきり分かるスタイルの良さが、凛とした歩き方によって、さらに際立って見える。
妖精と呼ばれるのが納得できる美しさだった。
最後に、右隣を歩く晴美に目を向ける。
背中の気銃を難なく担ぎ、悠然と歩くその姿。カッターシャツを押し上げる胸と、くびれた腰と、窮屈そうに収まったお尻。
文句なしの美女だ。
視線を三人から外し、辺りを見回す。
思わず舌なめずりをする男。三人の美貌に嫉妬の目を向ける女性。喉を鳴らして興奮する男。自分の身体を見て、肩を落とす女性。
無理もない。僕はそう思った。
一生に一度お目にかかれるかどうかの美女が、3人も肩を並べているのだ。
男なら、一度はその身体を味わってみたいと思うだろう。女なら、その美貌を手に入れたいと願うだろう。
嫌でも視線を集めてしまう3人の横で、僕はほんの少しだけ距離を取った。
もし、3人の内、2人の身体を知っているということが、周りの奴らに分かったら、僕はどうなるだろうか?
それを考えると、僕はもう少しだけ、距離を取った。
「へ~、あなたが『必中の龍』だったんですね。驚きました」
マーティが、眼鏡の位置を正しながら、驚きの眼差しを晴美に向ける。
聖女のように優しげな印象からか、その姿が妙に幼く見えた。
「その名を言われるのは学生時代以来だな。お前もそう思わないか?」
昔を懐かしんでいるのか、遠い目をしながら、晴美は僕に話を振ってきた。
「そう言われてみれば、そうかもしれない」
頷いて、同意する。
必中の龍という言葉自体、聴き慣れすぎているため、分からなかった。確かにそうだ。
学生時代の、晴美の姿が脳裏に甦る。
右手を振れば、女子生徒が黄色い嬌声を上げる。左手を振れば、男子生徒の野太い声が響く。ニッコリと笑えば、誰もが頬を染める。
学校一の美少女として人気があった晴美は、当時、一種のアイドルのような存在になっていた。同級生やら教師やらが、二言目に話す言葉が『晴美』で、三言目が『必中の龍』だった。
学生時代を振り返っていると、ロベルダが目を瞬かせた。
「もしかして、晴美さんとマリーさんは学生時代からの知り合いなのか?」
「あ、それ私も知りたい」
マーティが片手を軽く上げて、賛同する。
晴美が一瞬、僕の方に顔を向ける。僕は頷いて了承した。
晴美は顎に手を当てて、少し考えてから口を開いた。
「お察しの通り、私とマリーは学生の時からの知り合いさ。けっこう、仲良くやっていたんだ、これでも」
「へ~、そうなんですか」
マーティが瞳を輝かせて、頷いた。ロベルダも、納得がいったみたいだ。
「それと」
そこで、晴美は言葉を止める。マーティとロベルダは、その続きを聞くために、無言で次の言葉を待つ。
舌から晴美の顔を覗き見ると、そこには悪巧みを考えている子供のような笑顔があった。
何か嫌な予感を覚えた。
しかし、僕が何か話す前に、晴美の口が開いた。
「夜の方もけっこう仲良くやっていたんだ、これでも」
「よ、夜……」
「仲良く…か」
マーティは顔を真っ赤にして、恥ずかしがった。瞳孔は左右に揺れて俯いてしまった。
ロベルダの方はというと、なぜか憮然とした表情で、頷いていた。
「ちょっと、こんなところでなんてこと言うのさ!」
堪りかねた僕は、晴美の服を摘んで抗議した。
僕個人としては、猥談くらいでは何とも思わないが、それは時と場合だ。
念のため、辺りの様子をうかがってみるが、誰も気に留めた様子はない。どやら、3人の姿に見惚れていて、会話の内容を聞き逃していたみたいだ。
「ははは、悪かったよ。私なりのコミュニケーションだ」
「そんな悪趣味なコミュニケーションはいらん」
一言で気って捨てると、晴美は頷き、確かに、と小さく呟いた。分かっているならするなよ。
「まあ、緊張を解すという意味でもあるんだ……ほら、もうすぐダンジョンだ。今のうちに気を引き締めておいてくれ」
晴美が、片手を上げて、前方を指し示す。ロベルダとマーティも自然と示された方を見つめる。
「何時来ても思うんだけど、やっぱり大きいね……ダンジョンって」
マーティの零した言葉に、ロベルダと晴美は頷いて同意した。
横の長さ、50m。高さは30mにも達し、地下にいたっては、現在でも最深部に到達していない、未知の洞窟。
まるで地獄の釜が開かれてしまったかのような、不思議な恐怖すら覚えるその姿は、ある意味で当たっているようにも思えた。
万の命を飲み込み、万のモンスターを生み出す場所。ダンジョンの入り口が、そこに広がっていた。
その手前で、にこやかに子供達の案内をしているセンター管理員の人が、大きな声で先導していた。
屈強な探求者達が一列に並び、受付をしている姿はある意味ではシュールでもある。
やっぱり、それほど怖いものでもないかな?
地獄の入り口で見た、日常の1コマを見て、僕はふと、そんな考えが頭に浮かんだ。
探求時間、5分経過。ダンジョン内・地下20階。
魔方陣を使ってビューン。あっという間に目的階に付いた。
岩盤がむき出しのまま天井に広がり、洞窟そのままの風景がはるか奥深くまで続いていた。
壁一面、等間隔に取り付けられた松明の明かりが煌々と燃えている。不思議と、酸欠になることはない。ダンジョンがもつ魔力によって、空気の循環が行われているからだ。
ちなみに、火事になることとも、地盤沈下が起きることもない。落石もない。
なにせ、各階を遮断する岩盤の強度は、かなりのものだ。僕の知っている魔術の中でも最強の威力を誇る魔術を使っても、ビクともしなかったくらいだ。昔の話だけど。
閑話休題。
辺りを見渡しても、人一人いない。どうやら、この階は僕達だけみたいだ。
そこで僕達が最初にしたことは、陣形を組むことだ。
ロベルダが先頭に立ち、そこから一歩下がった距離に、僕とマーティが距離を開けて立つ。僕達の後ろに晴美が立って、陣形を組み終える。
上から見ると、ちょうど、弓を引いたような形になる。近接戦闘が得意なロベルダが先陣を切り、一歩下がった所から僕とマーティが魔術で援護。さらに後方から全体を見て、支援する晴美。バランスの取れた陣形だ。
ロベルダは、前に僕があげた剣を。晴美は腰にある二つのホルスターから、大口径の気銃を用心深く構える。マーティは短く呪文を唱え、直径80cm程度のウィザード・ロッドを召喚し、それに魔力を注ぎ込んだ。
僕はというと、プラネットで買ったヘイブン・ウィザード・ロッドに魔力を込める。
直径1m前後あるヘイブン・ウィザード・ロッド。身長150cmの僕には長すぎたかもしれない。
横目で、マーティを見やる。
すると、マーティもこちらを見た。マーティは可愛くウインクをして答えた。
「さて……今さらで、なんだが…」
晴美は辺りを警戒しながら、前を歩くマーティに尋ねる。
「マーティ、貴方の実力ってどれくらいなのだ? あいにくと、魔術師の実力っていうのが、良く分からないのでね」
マーティは、何度か首を傾げた後、自信なさげに答えた。
「う~ん、魔術師としてはそれなりに強い方だとは思うけど……」
「それは私が保証しよう」
先頭に立つロベルダが、辺りを警戒しながらも、マーティの言葉を補足した。
「マーティは学園の中でも指折りの魔術師だ。今しがた使った召喚魔術からも、実力がうかがい知れるだろう?」
振り返ることなく、自信満々に答えた。マーティはちょっと恥ずかしそうにしている。
晴美は気銃で、肩をトントンと叩いた後、僕の方に顔を向けた。
「マリー、あんたはどう思う?」
「今、ロベルダが答えたじゃん」
「いや、だから、私は魔術師の実力ってどういうのか分からんと言ったろ」
そういえばそうか。
「う~ん、僕から見ても、マーティは魔術師の中でも一級だと思うよ。召喚魔術が使えるのにウィザード・ロッド使っている辺りとか」
「何で?」
うん、うん、後姿でも分かるくらい、力強く頷いているロベルダを尻目に、晴美の質問は続く。
マーティはというと、なにやら驚愕に染まった顔で、僕を見ていた。
マーティ、周りを警戒して。
視線で注意すると、マーティは、ごめん、と嬉しそうに軽く手を上げた。
さて、僕は後ろにいる生徒の授業を再開するか……。
「一般的に、武器っていうのは、高位になればなるほど強力な力を秘めたものが多い。例えば、今僕が持っているヘイブン・ウィザード・ロッドは、『重力』に特化しているロッドなの。このロッドを使うと、重力系の魔術の効果が飛躍的に上昇したりするんだよ」
「それとどんな関係がある?」
「慌てない、慌てない。けれども、ロッド系になると、話が変わってくるんだ。武器とは違い、魔術を行使する際のサポート的なものであるロッドは、ただ高位である=強力である、という図式が成り立たないのさ」
ふ~ん。
晴美は分かったような、分かっていないような、曖昧な返事をした。多分、分かっていないだろうな。
仕方ないので、大幅に省略することにしよう。
「ここらへんは魔術の属性にも関係してくるけど……要は、一つのことに特化した格好いい武器を使って、特化した属性だけで戦うか、不恰好な武器を使って、臨機応変に戦うかってことだよ」
「おお、そういうことか、だったら安心だ。見た目を格好付けるやつに、碌なのがいないからな」
納得がいったのか、晴美は手を付いて笑みを見せた。こんな説明で本当にわかったのだろうか。
まさかダンジョンの中で講習をすることになるとは思わなかった。
そのとき、先頭を進むロベルダの足が止まる。自然と僕達の足も止まり、全員の表情に緊張が走る。
ロベルダは腰を落とし、剣の切っ先を前方に向ける。
「楽しんでいるところ悪いが、そろそろお客さんが来るぞ」
ロベルダの視線の先へ注意を向ける。
「ビッグラビット……中々の敵だな」
ロベルダと同じく、目標を見つけた晴美が、不敵に微笑み、両手の気銃を水平に前に突き出した。
少し遅れて、僕とマーティが敵の集団を視認する。
ゴリラのように発達した上半身と、赤ちゃんのように頼りない下半身を持つ、不恰好なモンスター、通称『ビッグラビット』が、そこにいた。
兎の耳と、真っ白な体毛、赤い目という特徴から名づけられたモンスターで、名前だけ聞くと、とても可愛らしく感じるだろう。
だが、実物を見たとき、その考えは真っ先に否定されるだろう。
顔の前面が骸骨になっていて、むき出しになった真赤の眼球が、上下左右にギョロギョロと動き回っている。ある種の嫌悪感を、感じさせる。
そんな奴が複数体も同じ場所にいれば、その嫌悪感は相当なものだろう。
用心深くロッドを構えたマーティが、全員に聞こえるように声を張り上げた。
「ビッグラビットのことは、全員知っていますね?」
「知っているよ」
「まかせろ」
最初に答えたのは、ロベルダ。次に答えたのが、晴美。
マーティは順々に全員の表情を確認し、最後に僕へ振り返る。
僕は力強く頷き、ロッドを盾にして、魔力を開放する。
「くるぞ! 敵は複数! 私が先陣を切るから、皆は援護を頼む!」
緊張を含んだロベルダの警告に、全員の心が一つになる。
同時に、ビッグラビット達も、僕達の存在に気づいた。
僕達から一番距離が近いところにいたビッグラビットが、むき出しになった歯の隙間から大量の粘液を零しながら、雄叫びを上げた。
「ぐぎゃあああああーーーー」
呼応するように、後ろにいた他のビッグラビット達も、雄叫びを上げる。
ついには、地響きを立てて、僕達へと走り出した。
いや、それは走っているわけではなかった。
下半身が退化したビッグラビットにとって、走るということは、這いずるということ。
結果、彼らは我武者羅に腕を前に伸ばし、幼子のように手足をバタバタと動かしながら、こちらに向かってくるのだ。
一歩、また一歩、ビッグラビットが近づくたびに、洞窟の空気がビリビリ振動し、否応にも死の気配を漂わせる。
けれども、怖気づくことはない。
なぜならば、僕達は探求者で、皆が皆、自分の実力を知っているからだ。
「返り討ちにしてやる。我が剣の前に散れ!」
その言葉と共に、ロベルダが風になる。
「さて、蜂の巣になりたいやつから、かかって来な」
その言葉と共に、晴美の気銃から弾丸が放たれる。
「我願う、罪人の罪を焼く、粛清の炎、バニシング・ファイア!」
マーティのウィザード・ロッドから青白い炎が噴出し、火の玉となって、ビッグラビットへ向かっていく。
「重圧からの開放、グラビティ・シールド!」
そして僕は、ロッドに溜めた魔力を使って、あらゆる衝撃を緩和させる重力系魔術の魔術を行使する。
戦いが始まった。
最初にビッグラビットにダメージを与えることができたのは、晴美の弾丸だった。
使用者の気を、弾丸として打ち出す、気銃という武器。弾丸を気でコーティングすることで、貫通力と破壊力を増した特別な気銃。
それが晴美の気銃。対モンスター用に改良された二丁のハンドガンだ。
命を奪うために放たれた弾丸が、ビッグラビットの身体に幾つも直撃する。
『必中の龍』と名高い晴美が放った弾丸は、寸分の狂いもなく、ビッグラビットの顔面を、急所を、確実に破壊していく。
「ぎょうう!!」
最初に右腕を吹き飛ばして動きが止まる。
「ぐびぇ!」
胴体に風穴を開け。
「ぐぼぉお!」
最後に顔面を陥没させる。
頭が無くなったビッグラビットは、一際大きく痙攣すると、力なく地面に倒れた。傷口から緑色の体液が間欠泉のように噴出し、地面を緑色に染めていく。
だが、ビッグラビットは一体ではない。
次々に迫ってくるモンスターの群れを相手に、晴美は冷静に引き金を引いていた。
大口径の気銃から、次々に弾丸が放たれていく。
一体、二体、三体、絶命したモンスターの死体が、確実に増えていく。
その度に、ビッグラビット達は、悲鳴を上げて絶命していった。
さらに追撃は終わらない。
遅れて飛来した青い炎。
マーティが放ったバニシング・ファイアは、ビッグラビット達の中央に直撃し、爆発を起こした。
直径10m近い爆炎が、ビッグラビット達を次々に飲み込み、舐めていく。
直撃地点のすぐ近くにいたビッグラビット達は一瞬で灰になり、少し距離があったやつは、身体の半分が焼け爛れてしまった。
「ぎぇええ!」
火傷を負ったビッグラビットは、苦しみのあまり、周りにいるビッグラビットに掴みかかり、攻撃を始める。
対して、掴みかかれた方も、必死に振り払う。また掴まれる、また振り払う。悪夢のような阿鼻叫喚が広がった。
「ぎゅうああ!」
「ぐるぅおお!」
ビッグラビット達の統率は完全に崩壊し、各自がバラバラに行動しだした。
中には、逃げ出そうとするものもいた。
だが、それよりも早く、可憐な妖精がビッグラビット達の前に立ちふさがった。
「はああ!」
垂直に振り下ろされたロベルダの斬撃が、火傷にのた打ち回るビッグラビットを一刀両断にする。
身体が二つになったビッグラビットは、悲鳴すら出すこともできずに、一瞬で絶命する。
断面から噴出した体液が、ロベルダの鎧を汚していく。
ここにきて、ようやく敵の存在に気づいた他のビッグラビットが、ロベルダを食らい殺そうと、腕を伸ばす。
だがロベルダは、そのまま勢いを殺さず身体を捻り、伸ばされた腕を、コマのように回転しながら横殴りに切り落とした。
「ぐばああ!」
腕を切り落とされた激痛に悲鳴を上げた。それが、このモンスターの最後の声だった。
振り上げた剣を両手で抱えなおし、意識を集中させるロベルダ。
一瞬、彼女の周囲から時間が止まる。その剣の先にいるモンスターは、結末を理解したのか、呆けた表情で剣を見つめた。
「一刀両断!」
その言葉と共に、剣が振り下ろされる。肩口から入り、肋骨を切り裂き、内臓を切り裂き、わき腹へ抜ける。
ズルリと、ビッグラビットの体が二つにずれ、死体が一つ、ダンジョンに転がった。
「ぐぼおお!」
「ひでぶ!」
「きしゃあ!」
そこを数体のビッグラビットが迫ってくる。全員の顔には、仲間を殺されたことに対する憎悪が刻まれていた。
けれども、その恨みを晴らすには、あまりに相手が強大すぎた。
襲い掛かってくるビッグラビットの攻撃を軽やかに避け、すれ違いざまに繰り出される一閃。
段違いのスピードで撹乱させるその姿は、まさに妖精だった。
ふわり、ふわりとロベルダの長い金髪が風に流れる旅に、新たな死体が増産されていった。
戦闘開始から僅か数十秒。数十体居たビッグラビットは、殆ど絶命した。
「てい!」
最後の一体を切り捨てたロベルダが、小さく息を吐いた。ご苦労様です。
途端、モンスターの身体に異変が起きる。
地面に転がっていたモンスターが次々に蒸発して、赤い霧のようなものに変わっていくのだ。
その霧は少しの間空中を漂っていたかと思うと、突如一箇所に集まりだし、ギュウッと圧縮されていく。
数秒後、そこには透明のクリスタルが浮かんでいた。
クリスタルの中には赤い光が点り、幻想的な美しさを見せていた。
ロベルダはそれを手に取ると、僕の方へ顔を向けた。
「マリーさん、チームの中で、一番の実力者は貴方です。これは貴方が持っていてくれないでしょうか?」
そう言われた僕は、晴美とマーティにも視線で賛否を求める。
二人は軽く微笑んで、頷いた。
僕は小走りにロベルダに近寄る。手渡されたクリスタルを、ポケットにしまった。
通称『エネルギー』と呼ばれるもの。探求者は本来、これを集めてくる人を指すのだ。
「先に進もう」
ロベルダの言葉と共に、女性陣が談笑しながら陣形を取る。もちろん、僕もそれに倣う。
……さて、さっぱり出番が無かった僕はというと……。
「………………」
特にすることもないので、彼女達の活躍を見ていました。
……いやね、僕もそれはどうかと思ったよ。少しは加勢しようと思った。
けどね、凄まじいスピードでモンスターを蹴散らしてく彼女達を見て、援護する必要があるのだろうかと思ってしまったのですよ。
唯一したのが、衝撃緩和の防御魔術。物理ダメージを軽減する魔術で、これがあると、殴られても痛くないのだ。
ビッグラビットのような、力技で押してくる相手に有効な魔術。けれども、今回それは全く役に立っていないのですよ。
せっかく全員に魔術を掛けたのに、僕とマーティと晴美の下には、モンスター来ていない。ロベルダはモンスターの攻撃に触れてすらいない。
……後方から応援していようかな。
そんな考えも浮かんだが、すぐに頭から振り払った。さすがにそれは酷いと思ったからだ。
せめて、ちょっとでも役立つところを見せたいな……。
こうして僕達のチームの初戦は、快勝という形で幕を閉じた。
探求時間、45時間経過。現在階層、地下20階。
ダンジョン内では時に、水は砂金よりも貴重なときがある。
そのため、探求中に身体を洗うということは殆ど無い。
熟練の探求者ともなると、1週間身体を洗わなくても平気なのは当たり前。
けれども、それは探求者としての話。年頃の女の子としては、たとえそれが分かっていても、どうしても我慢できない部分もある。
場所によって気温、湿度が大幅に変化するダンジョン内では、高温多湿な場所もあったりする。そこを通り抜けたり、抜けなかったりを繰り返せば、嫌でも汗は出る。
それは晴美やマーティやロベルダも例外ではない。だいたい30時間を経過したころだろうか。
口では平静を装っていながら、しきりに身体の臭いを嗅いでは眉を顰めるという行為を繰り返すようになったのは。
特にその行動が顕著に現れたのが晴美だ。
傍目にも苛々しているのが分かり、出てくるモンスターを撃ち殺すことで鬱憤を晴らしているようにも見えた。
晴美ほどではないが、マーティやロベルダも少し機嫌が悪い。
ちなみに、僕は平気。見た目が女の子でも、中身は立派な男の子。ちょっとくらい汗臭くても大丈夫。
けれども、晴美でさえこうなっているのに、二人まで暴れたらどうなってしまうのやら。内心、僕は本気で怯えていた。
そして、探求時間が45時間を経過したとき、ついに晴美の堪忍袋の尾が切れた。
「だ~! もう我慢の限界だ!」
頭をガリガリと掻き毟っている姿は、鬼気迫るものを感じた。ちょっと距離を置く。
他の二人に視線を向けると、二人もウンザリした顔で、深く頷いた。
マーティがマァマァと晴美をなだめる。保母さんに向いているのではないかと思った。
「でも、我慢です。あと数日、辛抱すれば、温かいお風呂に入って、美味しいご飯をお腹一杯食べられますよ」
ロベルダが、それに追随する。
「そうだな、マーティの言うとおりだ。ここは我慢」
しろ、という前に、龍は雄叫びを上げた。
「私は今、汗を流したいんだ!」
二人の説得はまるで届かなかった。さらには、二人とも、うん、うん、となにやら同意している。
やれやれ、ここは僕が説得しなくてはだめか。
うが~、と苛々が頂点に達している晴美の肩を叩く。
晴美が血走った目で僕を見下ろした。うお、怖!
「晴美……あなたもプロでしょう? だったら」
「そうだ、マリー! お前、水を生み出す魔術か何か使えないか!?」
ガシッ! と力強く掴まれる僕の肩。ミシミシと鎖骨が嫌な音を立てて軋んだ。
強化していなければ確実に砕かれていただろう。
背筋にビシバシくる悪寒に耐えながら、新たな説得を試みる。
「そんなのな」
「ない、という言葉は嫌いなんだ。それを口にしたやつの頭をぶっ飛ばしたくなるくらいに」
自然な動作で、額に押し付けられる気銃。晴美専用に改造されたこのハンドガンは、直径30cmにもなる大口径の銃だ。
それを頭に押し付けられれば、人間素直になっても不思議ではないと、僕は思う。
「あるにはあるんだけど……」
その言葉を聞いた晴美は、僕の額から気銃を外し、ホルスターに戻した。
僕の顔中に流れる冷や汗は無視ですか?
「水そのものを生み出す魔術って、ものすごく魔力を使っちゃうんだ。下手したら、僕でも動けなくなっちゃうんだけど」
「本当か?」
側で事の成り行きを見守っていたマーティに、真相を尋ねる晴美。
マーティは、申し訳なさそうな気持ち、残念そうな気持ち、2:8の割合の複雑な表情で、僕の話を肯定した。
「本当ですよ。泥水を魔術で綺麗にしたりすることは私にもできますが、無から水を創るとなると、とてつもない量の魔力を使わないと駄目だと思います」
「ふむ、そうか」
晴美は残念そうに項垂れると、おもむろにホルスターから気銃を取り出し、僕の額へ……。
「――って、いきなり何を!」
「他の方法は?」
妙に感情のない瞳。異様な迫力があった。
もちろん、僕は素直になった。
「あの……自分の身体を水に変えるくらいはできるけど……」
「それだ。お前、水になって私達の体を隅々まで洗え」
晴美の決断は早かった。あまりの早さに、呆気に取られたくらいだ。
他の二人に助けを求めようと視線を向けた……ところで、僕は自分の未来を想像してしまった。
そこには、恥ずかしそうに防具を脱いでいく二人の姿があった。
「ちょっと恥ずかしいけど、マリーさんなら平気です」
そう言って、マーティは恥ずかしそうにローブを脱いでいく。青いローブから表れた四肢は、あまりに魅力的だった。
サラシから解き放たれた、規定外の大きさを誇る二つの乳房が、重力に従って、たゆん、たゆん、と揺れた。
頬を桃色に染め、静かに陰部を覆うショーツを脱いでいく姿は、あまりにエロかった。豊かに茂った陰毛を片手で、柔らかく実った乳房を片手で隠しながら、彼女は小さく微笑んだ。
「私も構わん。見知らぬ男なら願い下げだが、お前になら、してもらっても平気だ」
手早く鎧を脱いでいくロベルダ。そこから表れた肉体は、妖精とはかけ離れたものだった。
マーティほどではないが、平均を軽く凌駕する乳房が二つ並び、それが形よく張り出していた。
引き締まった腹部は、角度によっては、4つに割れて見える。並大抵の鍛え方ではないだろう。細身ながら、鍛えられた四肢は、雌虎のような気高さと、成熟した女の淫靡さを見せていた。
彼女はマーティとは違い、まったく前を隠すことなく、堂々と仁王立ちしていた。
「女がここまでやっているんだ……マリー、あんたがすることは、分かっているよな」
ニヤリといやらしい笑みを浮かべた晴美も、ホルスターに銃を仕舞う。背中に担いだ特殊改造銃を下ろし、カッターシャツのボタンを、一つ、二つ、外していく。
僕は思わずため息を零しそうになり、慌ててそれを飲み込む。
「で、でも、僕が水になって身体を洗うって事は、晴美達の身体を舐めて綺麗にするっていうことなんだよ。嫌でしょ?」
「黙れ。つべこべ言わずに、お前はクリトリスでも舐めてればいいんだ」
晴美は両手で陰部の唇を広げ、妙に力強く言い放った。見ているこっちが恥ずかしくなってしまうくらい堂々としていた。
僕はもう、諦めることにした。
「……とりあえず、結界魔術を使うから、それまでは待ってね」
結界を張らなくては、落ち着いて体を洗うことができないだろう。モンスターに襲われるのを防ぐためにも、どうしても必要なことだ。
「ついでに、服やら鎧も洗ってくれ」
晴美はそう事も無げに言った。涙が出そうになった。
ロッドを脇に置いて、魔力を集中させる。
役立ちたいとは思ったけど、こういう形にしてほしくなかった。僕はどこかの世界にいる神様とやらに、愚痴を零したくなった。
探求時間、83時間経過、ダンジョン地下20階。
僕達の目的、隠し部屋を見つけたときには、既に探求時間が80時間を回っていた。
スッキリした表情の晴美、ロベルダ、マーティを尻目に、僕はグッタリと目の前のドアを見つめた。
岩がむき出しになっているダンジョン内において、場違いのように壁に取り付けられたドア。
通称『隠し部屋』と呼ばれる場所に到達したのだ。
「ついに見つけた」
晴美が感慨深げに、ため息を零した。つられて、マーティとロベルダも、同意する。
この3人、まだまだ元気一杯のご様子。どうやら身体が綺麗なったおかげで、気分も晴れ晴れみたいだ。
対して僕は、直径10mの円形結界を作り、魔術で身体を水に変え、3人の身体を洗うこと30分。おまけに身体が綺麗になってすっきりしたのか、深い夢の世界へ3人ともダイブ。
結果、目覚めるまでの7時間。ひたすら結界を張り続けるという暴挙を行うことになってしまった。
普通の魔術とは違い、発動したら終わりというわけにはいかないのだ。常に魔力を開放していなければ、すぐさま結界が消えてしまうのだ。
普通の魔術師ならば、数分で力尽きてしまうのを、僕は行ったのだ。
だが、僕はそれを伝えるつもりもないし、自慢するつもりもない。ただ、大口径のアレが怖いだけなのだ。
「それでは開けるぞ。皆、準備はいいか?」
晴美が扉に手を添え、背後の僕達に振り返って忠告する。片手に気銃を構えて、用心深くドアのノブを捻る。
マーティはロッドを正面に突き出し、対応をとれるように身構える。ロベルダは剣を鞘から抜き、腰を落として構えた。
僕はというと、保存食の中にあった栄養ドリンクを飲んでいた。ゴクリ、ゴクリ、ゴクリ、まずい。
そして、晴美がドアを開ける。弾丸のように飛び出したロベルダが先行し、次にマーティが、その後を晴美が、最後に僕がドリンク片手に突入した。ゴクリ、ゴクリ、やっぱりまずい。
扉の向こうは、今までとは全く世界だった。
数十m先に、開けた広場が見える。だが、そこに行くまでの間、幅5m、高さ3m程の広さの通路が数十mにわたって続いていた。
外観も変わり、むき出しの岩肌だったダンジョンとは違い、床も壁も、綺麗に形成された大理石になっていた。
その壁には文字のようなものが掘り込まれていて、それが複雑な模様を描いていた。何かの魔力が働いているのか、その文字一つ一つが薄く水色に輝いていて、通路を妖しく照らしていた。
「これって何の模様なんでしょうか?」
周りを警戒しながらも、壁の模様に興味を抱いたマーティが、大理石の壁をマジマジと見つめた。
光る文字に触れても平気にしているところから見ると、どうやら熱は持っておらず、純粋に光を放っているみたいだ。
僕もマーティの隣で、文字を見やる。
……なんか、どっかで見たことあるような……どこだったっけな?
ロベルダも少しの間壁を見つめていたが、すぐに興味を失くしたらしく、通路の向こうを睨んだ。
「なんだっていいさ。先を急ごう。」
「それもそうだな」
「うん……待って~」
陣形を整える三人。僕も遅れて陣形に加わり、大理石の床を踏みしめて、僕達は通路の奥に向かう。
はてさて、この先に何が待ち構えているのやら……。
広場の入り口まで来ると、いよいよ緊張感が高まる。
ロベルダが指3本立てる。晴美とマーティは頷き、晴美はホルスターから気銃を、マーティはロッドを取り出し、構えた。
僕は逆にロッドを背中に括り付け、肉体能力を魔力で強化する。メキメキと筋肉が軋み、盛り上がる。
手の指を2本立てる。
1本立てる。
そして、拳を握り締める。
瞬間、僕達は一斉に広場に突入した。
広場の中は思っていたより広く、豪邸の一つや二つは余裕で入りそうなくらいだった。光る文字が地面にも掘り込まれていて、広場を照らしていた。
だが、文字の光量に比べ、広場の中はあまりに広いため、全体的に薄暗く感じた。
女性陣は各々の武器を用心深く構え、さらに進む。
その先に、奴らが、モンスターがいた。そして、その奥に鎮座する豪勢な木箱。恐らく、あれにアイテムが入っているのだろう。
けれども、僕達はその宝箱には目もくれず、その前にいる2体のモンスターに釘付けになった。
「あれは……」
僕は思わず、といった感じで、言葉を無くしてしまった。それほど、そこにいた奴は奇妙な形をしていた。
一言で表すなら、顔だ。
それも、普通のサイズじゃない。首から上、顔だけを切り取り、それをそのまま1m近くまで大きくしたような、そんな感じの顔。
片方は、黒い帽子のようなものを被り、顔よりも長い金色の髪を下敷きにしていた。
もう片方は、顔くらいある黒髪を赤いリボンで止めていた。
人間として考えるなら、両方とも女の子の顔立ちで、どこか人をバカにしているような、そんなニヤケ顔を浮かべていた。
そして、僕はこのモンスターに見覚えがあった。こいつは、このモンスターは……いけない!
「エアイン・ファー!」
モンスターが僕達の存在を視認するよりも先に、魔術を唱える。
僕の身体から解き放たれた魔力が渦を巻き、全員の身体を包み込む。
エアイン・ファー……こちらから相手にアクションを起こさない限り、絶対に気づかれることが無い、風の上級魔法だ。
強化した両足に力を込め、一瞬でロベルダの前に立ち塞がる。こうすれば、万が一の場合でも、彼女達を守ることが出来るのだ。
「ど、どうしたんですか、マリーさん」
一気に気迫が増すロベルダ。剣の切っ先をモンスターに向け、臨戦態勢を取る。遅れて、マーティと晴美がそれに倣った。
だけど、攻撃させる訳にはいかない。攻撃してしまったら、せっかくの魔術の効果が切れてしまうからだ。
僕は片手で3人を制した。
「手出ししては駄目。あいつらと正面からやり合うのは自殺行為だ」
前方のモンスターから目を放すことなく、後ろの3人にそう言い放つ。
顔色は分からないが、3人の気配が変わったのが分かった。
「あいつがどんなモンスターか知っているのか?」
晴美が僕にそう尋ねた。
「知っている」
「どんなモンスターなんですか?」
マーティの不安そうな声が耳に届く。
「幻影弾幕生物『とうほう』。それがあいつらの名前だ」
とうほう……。ゴクリと、誰かの喉が鳴った。
僕は構わず説明を続けることにした。
「まず、非常に厄介な相手だと思ってほしい。地下80階より下層に出現するモンスターだからね」
「ち、地下80階!?」
ロベルダが驚きの声を上げた。無理もない。
「といっても、単純な戦闘能力をいえば、そんなに強い相手ではない。僕達の実力なら、勝算はいくらでもある。だが、なによりも厄介なのが……」
「モンスターだけが使うことが出来る、特殊魔術ですね」
マーティが強張った声で、言葉の先を補足した。
「そう……『とうほう』だけが使うことが出来る、時間遅延魔術『ゆっくりしていってね!』が、なによりも厄介なんだ」
「……それは、どういった影響があるんだ?」
どこか、拍子抜けたような雰囲気が背後から漂ってきた。どうしてだろうか?
「『ゆっくりしていってね!』は、普通の遅延魔術ではないのさ。魔術防壁も、対魔術装備も、まるで効かない。避けるしか逃れる術がなく、食らったら最後、強制的にゆっくりしてしまう、恐ろしい魔術なんだよ」
「ゆっくり……ね」
やっぱり白けた空気が背後から伝わってくる。もう少し危機感というものを持ってほしいものだ。
「でも、ゆっくりしてしまうだけなら、私達は平気なんじゃないですか? 幸い、私達は4人いますし、たとえ魔術を受けても、その間に誰かが『とうほう』を倒してしまえば、それで……」
「残念ながら、そう上手くいかない」
「なんでだ?」
そう尋ねたのは、晴美だった。
スタスタと歩を進め、僕の隣に立つ晴美。銃口は油断無く『とうほう』に向いていた。
「弾幕生物と呼ばれる『とうほう』は、それこそ雨のように魔術を放ってくる。まず、避ける考えは捨てた方がいい。それに、『ゆっくりしていってね!』の間に、時たま放ってくる『ゆっくりしね!』が危険だ。即死魔術だから、まともに食らえば、問答無用でゆっくり殺されてしまう」
「ふ~ん……だったら、どうすればいい? 逃げるか?」
晴美は気銃を二丁ともホルスターに仕舞い、ボリボリと頭を掻いた。
「まさか……要は、相手に攻撃されるよりも先に、一撃で倒せばいい話さ」
その言葉が終わると、全身の魔力を両手の掌に集中させる。パチパチと乾いた音が掌から生まれ、広場に消えていく。
視覚化できるくらいの量の魔力を一点に集中することで、放つ必殺の一撃。
「ちょ、ちょっと待て!」
僕がこれから何をするつもりか分かったのか、晴美は慌てて僕を止めようと声を荒げる。
だが、僕が本気でやろうとしていることが分かると、すぐに踵を翻して走って行った。
そのはるか後方。マーティとロベルダは場の入り口辺りに隠れ、マーティは魔術結界の準備を始めていた。
それを確認した僕は、一瞬で『とうほう』の頭上に移動。
そして、背中に括りつけたロッドを取り出し、魔力を開放、魔術を行使する。
ピシ、と『とうほう』を中心に、大理石の床に日々が入る。
その瞬間、エアイン・ファーの効果が無くなり、『とうほう』が僕の存在を認識する。だが、もう遅い!
日々の部分を、魔力で出来た円形の膜が、『とうほう』を包み込む。外からは全く見えなくなった。
「ゆっ、ゆー、ゆっ、ゆー」
脱出しようとしているのか、魔力でできた膜を必死に叩く音が、空しくあたりに響く。
歌を歌っているような、呪文の詠唱が広場に響いた。
「グラビティ・ファー!」
その瞬間、膜が一瞬で縮まり、凄まじいパワーで内部を圧縮した。
円形の重力場を作り、中に存在する生物をミクロレベルまで一気に圧縮し、圧死させる。重力系最強の攻撃魔術が、ここに完成した。
メキメキ、と想像したくない音が膜の中から聞こえてくる。
そして、二体の内、どちらが言ったのかは分からないが、『とうほう』は断末魔の悲鳴を上げた。
『ゆっくりした結果がこれだよ!』
その言葉と共に、『とうほう』はミクロレベルまで圧縮、その生命を終えた。
「それで、宝箱に入っていたアイテムが、これってわけ?」
無事に『とうほう』を倒した僕達は、ダンジョンに戻る通路を進みながら、奴らが守っていたアイテムを見ていた。
「確かにいいアイテムだけどさ……使えなければ意味がないじゃん。売るしか道がないよ、これ」
晴美が今しがた手に入れたアイテム……腕輪を指で摘み、眼前に持っていった。
「まさか、チェンジリングとは、思いませんでしたね……」
マーティが、疲れたようにため息を零した。
ロベルダも首を2、3度傾げて、肩を鳴らしている。どうやら、彼女も同じ気持ちみたいだ。
僕も同じ気持ちだった。
魔力も大幅に消費してしまい、僕は2本目の栄養ドリンクに手を付けることにした。ゴクリ、ゴクリ、ゴクリ、まずい。
「これ、どうする? 大して高く売れないと思うが、売るか?」
晴美が全員に意見を求めるように、腕輪をヒラヒラと振る。期待が大きかった分、ショックも大きいのだろう。
やる気というものがまるで感じられなかった。
「売ったところで二束三文だろうに……」
「じゃあどうするんだ? もう私はさっさと帰って風呂に入りたいんだが」
ロベルダが漏らした言葉に、晴美はウンザリした様子で反論した。
「持っていても意味はないと思うが、アクセサリーとして誰か貰えばいいんじゃないか?」
ロベルダが頬を赤く染めて、腕輪を晴美から奪った。
ふむ、やっぱりそうなるかな?
空き瓶を懐に戻していると、突如、袖を引かれた。
振り向くと、横を歩いていたマーティが不安そうに、頬を桃色に染めていた。
「あの、少し疑問に思ったことがあるんですけど……」
「ん? なに?」
「気のせいかもしれませんが、壁の文字の光、ちょっと強くなっていませんか?」
「え、本当に?」
壁に眼前まで近づき、掘り込まれた文字を観察する。3人も同じように壁を見つめる。
……言われてみると、そう感じなくも無い…かな?
だけど、あくまで言われてみるとだ。壁に掘り込まれた文字も、それによって見える模様も、光も、最初のときと何も変わっていないようにも見えた。
振り返って、他の二人にも尋ねてみた。
「ロベルダ、晴美、君達も、マーティと同じように感じる?」
「う~ん、確かに、ちょっとだけ強くなっているな」
「そうだな、確かに強くなっている」
晴美は自信無く、太ももをモジモジと擦り合わせて。ロベルダは、はっきりと答えた。暑そうに、手で顔を扇いでいる。
……はて、3人の様子がどことなく変なような気がする。
僕がその疑問を覚えると同時に、フワリ、と優しく首に腕が回された。
ぐにょん、と背中に柔らかいものが二つ潰れる。その中心には、硬い何かがあった。
そのまま、肩に誰かの……マーティの顔が乗った。熱過ぎる吐息が、首筋を濡らす。
「マ、マーティ?」
返事は、情熱的なキスで返された。
瑞々しい、肉厚のある唇が僕の唇を塞ぐ。すぐさま彼女の舌が僕の口腔に送り込まれ、中を蹂躙していく。
「ん……んん、ちゅば、ちゅば、んん……」
そのまま体重を預けられ、彼女が傷つかないよう慎重に倒れる。
仰向けになった僕に跨り、さらに鼻息荒く口付けが続けられる。右に、左に顔をずらし、より奥まで舌が差し込まれる。頬に当たる鼻息がくすぐったい。
舌と舌が絡まりあい、ねっとりと身体が痺れてくる。一つ一つの歯を綺麗にされ、隅々まで舌が蠢く。
(どうして二人ともマーティを止めてくれないの?)
思いのほか強い力で迫っているため、無理に払えば腕を骨折させてしまう。
振り払うこともできず、晴美とロベルダに助けを求めようと視線を向けて……。
「こ、これは………あ…」
「う~~……ふ~~……」
愕然とした。
二人は、一様に頬を染め、クネクネと身悶えていたのだ。
晴美は目を白黒させていたが、すぐに瞳が潤みだし、思わず耳を疑ってしまうくらい淫らな喘ぎ声を漏らした。
ロベルダの方は、口元を手で押さえ、こぼれ出る喘ぎ声を必死に抑えていた。だが、それでも我慢できないのか、時折俯いて大きくため息を吐いている。
たっぷり5分間、大人の会話をしてから、ゆっくりマーティの身体が離れた。
お互いの口元から銀色の架け橋が生まれ、途切れた。
「マリーさん、マリーさん、マリーさん!」
快感で蕩けた瞳に、理性はなかった。
壊れたように僕の名前を連呼し、もどかしそうに服を脱ぎ捨てていく。いや、脱ぎ捨てるなんてものじゃない。
引きちぎるようにローブを脱ぎ捨て、胸に巻いていたサラシも放り出し、たゆん、と乳房が跳ねた。
立つことも嫌なのか、魚のようにジタバタしながら陰部を覆うショーツを脱ぎ捨てる。豊かな陰毛は、愛液でビショビショになっていた。
「マリーさん、マリーさん、マリーさん!」
僕のドレスを引っ掴み、勢いよく引きちぎる。
ああ、アンフェリー・ドレスが……し、下着までも!?
内心の悲鳴もなんのその。情熱的なキスによって硬くなっていた僕の陰茎を、素早く取り出し、入り口に持っていく。
愛液で濡れそぼった陰部が、舐めるように亀頭を這い回り、陰茎を濡らしていく。そして。
「あ、あああ……入った…」
「うああ、す、凄い」
「んはあ……はぁ」
不思議なことに、マーティが快楽のため息を零すと同時に、横で身悶えていた二人も、同時に喘いだ。
「う、くぅ、締まる…」
あっという間に、僕の陰茎はマーティの中に納まった。
膣壁の一つ一つが連動して陰茎を扱き、奥へと吸い上げる。断続的に膣が締まり、その度に強い射精感を覚えた。
ロベルダは完全に床に倒れ、腰を高く上げて卑猥な姿になっていた。床に広がった金髪が、彼女の頬に張り付いている姿は、とても官能的だった。
晴美は壁に手をつき、崩れないよう必死に耐えていた。だが、ズボンの股間の辺りは、さらに黒く染まっていて、ロベルダのようになるのは時間の問題に思えた。
いったい何が起こっているんだ? もしかして、この文字が何かの原因なのか? それとも、モンスターの攻撃を受けているのか? あるいは彼女達が突然エッチをしたくなったのか?
次々に考えが生まれ、消えていく。
「マーティ、正気に戻って」
「マリーさん、マリーさん、マリーさん!」
僕の願いも空しく、マーティは激しく上下に動き出した。
陰茎が抜けてしまうギリギリまで身体を持ち上げ、重力に任せて落ちる。吸い上げるように陰茎が引っ張られ、削られるように膣に戻される。
「気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい!」
たゆん、たゆん、と揺れる乳房を両手で掴み、自分で無茶苦茶に揉みしだいている。
視線をロベルダと晴美に向けると、既に彼女達は思い思いに乱れていた。
「あん、あん、あん、突いて、もっと突いて!」
黒いズボンとショーツを床に放り出し、晴美は壁に体重を預け、膝立して、お尻を高く上げていた。見えない誰かにバックから突かれているのか、断続的に膣が脈動し、愛液を飛散させていた。
「ああ、凄い、こんなの知らない、知らない!」
ロベルダの方はもっと凄かった。何時の間にか鎧を全て脱ぎ捨て、床の上に大の字になっていた。
その手は狂ったように陰部をかき回し、大理石の床に愛液が飛び散るのも構わず、自慰に耽っていた。
「ぐう、へ、変だ。明らかに変だ。くそ、何が起きているんだ!?」
意識が快感に飲まれないよう、必死に首を左右に振る。
どんどん息を荒げ、快感を貪っていく彼女達。なにか、無理やり発情されているみたいだ。
そこに考えが至った瞬間、脳裏に一筋の閃光が走る。
これは、もしかすると……。
「あら、気づいちゃったみたいね」
突如、その少女は現れた。
凹凸のない身体を、SM嬢よろしくボンテージに身を包み、お尻の辺りまである金髪を優雅に撫でていた。
絵本から抜け出てきたような少女だった。年齢でいえば、まだ10歳かそこらだろう。場所が場所だけに、思わず夢を見ているのかと頬を抓りそうになる。
だが、少女の背中に生えている蝙蝠の翼が、少女が普通の人間ではないことを物語っていた。
何時の間にそこにいたのか、少女はマーティの横に座り、興味深そうに僕の顔を見下ろしていた。
「あら? 意外と驚かないのね」
背中の羽根をパタパタと動かし、顔を近づける少女。染み一つない頬に、小さな目鼻。近くで見れば見るほど、美しく思える美少女だ。
「十分驚いているよ、サキュバス」
「ふふふ、やっぱり驚いていないじゃない」
少女は口に手を当て、上品に笑った。
サキュバス……男性の夢に現れ、淫らな夢を見せて精を吸い取る強力なモンスター。自身も強い魔力を持ち、人以上に頭が働くと聞く。
下手に刺激して彼女達に危害を及ばせてはならない。下手に彼女達を引き離せば、術中に陥った彼女達がどうなるか分からない。何とかサキュバスを油断させて、注意を逸らさなくては。
「驚いているさ。まさか、あのサキュバスがこんなにツルペッタンだったなんて」
「だれが幼女か!」
突然、サキュバスが激怒した。ギラリと眼光が鋭くなった。
しかし、すぐさまハッと我に返り、余裕綽々といった様子で、立ち上がった。
「それにしても、あなたにはチャームが効かないのね。他のやつらにはこんなに効いているのに、どうしてかしら?」
チラリと、少女は僕とマーティの結合部に視線をやる。僕の陰茎が見え隠れを繰り返し、僕の下腹部は愛液で濡れてしまっていた。
マーティのお尻と、僕の太ももが衝突する度に、ぴちゃ、ぴちゃ、と愛液が糸を引く。
「あ、あ、あ、あ、あ、いい、いい、いい、いい」
亀頭の先端が子宮を小突く度に甲高い嬌声を上げ、雁首が膣壁を削る度に呻き声を漏らす。
口から涎を垂らし、体中から汗が噴出していても、マーティは全く腰の動きを緩めようとはしなかった。
「本当、まるで雌猿ね。術を解いても、もう夢中かもね。狂ったみたいに腰を振っちゃって……まあ、それはそこに居る2人も同じことなんだけどね」
口元に笑みを浮かべ、少女は後ろへ振り返る。
「んあああ、はああん、もっと突いて、太いので削ってえ!」
「駄目、駄目、駄目! こんなの駄目! ああん、お腹が、気持ちいい!」
少女の言葉通り、2人は完全に雌と化していた。
晴美は地面に横たわり、力なくお尻を上げている。陰部から愛液が間欠泉のように噴いていた。
ロベルダの方は仰向けになり、蛙のように手足を広げ、快楽の涙を流して咽び泣いていた。
「特別に、貴方の男の子の感触を、そのまま彼女達にも感じるようにしたの。この胸デカ女が腰を振れば、あいつらにとっては貴方に腰を振られたのと同じなの」
少女の手が伸ばされ、僕の頬をゆっくり擦る。見た目どおり、柔らかくてスベスベした手だった。
「ところで、貴方って本当に鋭いわね。下手に抵抗せず、耐える選択をするとは……」
「く、うう、や、やっぱり何かあるのか?」
「はああ、ああん、ああん、あん、あん、あん」
大きく上下運動を繰り返したマーティは、突如、陰部を擦り付ける動きに変えた。クチクチとエッチな音が結合部から漏れる。
その身体は時折強く痙攣し、同調するように膣壁が震える。もう、絶頂まであと僅かだろう。
そんな中、サキュバスは事も無げに、サラリと聞き逃せないことを言った。
「廃人になる程度で、別にこれといったことはないわ」
「十分過ぎるよ!」
思わず、サキュバス相手に怒鳴る。
「五月蝿いわね……ま、いいか。どうせ貴方はここで干からびて死ぬんだし」
フワリと、サキュバスの身体が宙に浮く。背中の翼が羽ばたく度に、その高度はどんどん上昇していく。
「待て、どこへ行く!」
「私って、精をたんまり溜め込んだ女性から搾り取るのが好きなの。男の濃厚な精が、女性の中でスッキリとした喉越しになってくれて、病み付きよ」
サキュバスの身体はどんどん上昇していき、次第に輪郭が消えて背景が見えてくる。
「後3時間くらいしたら、また来るから。それまでタップリその女の中に出しなさい。もしあんたがまだ生きていたら、私が直々に絞ってあげる」
それだけを残すと、サキュバスは完全に姿を消してしまった。
くそ、いったいどうすれば。
「くううう」
会話することで紛らわしていた膣の感触が、はっきりと脳裏に焼きつく。
こみ上げてくる射精感に白旗を振りそうになったとき、必死に腰を振っていたマーティも、限界を迎えようとしていた。
擦り付けるような腰の動きから一転。再び叩きつけるように上下に腰を振り、僕の陰茎を余すところなく貪っている。
喉を逸らし、唇から漏れる嬌声の感覚が、どんどん短くなっていく。
「はひ、はひ、はひ、イク、イク、イク、イク、イク! イク! いくう!」
反動で僕の身体が浮き上がるくらい、力強く腰を叩きつけるマーティ。
晴美とロベルダも、僕の後ろでクライマックスへの秒読みを告げていた。
「子宮が、赤ちゃんのお部屋が揺れるう! もうイッちゃう! イッちゃうよう!」
「駄目~! 凄いのが来る! こんな、こんなの初めてえ! 来る、来ちゃうぅ!」
既に、二人は完全にラストスパートに入り、絶頂へ向かっている。
僕も、もう我慢の限界だった。
「うあああぁぁぁ、イクぅ! いっ……くぅぅぅ!!」
「ああああああ~~~~~~!!!」
「ぃ……うううう~~~~~!!」
陰茎が子宮口を強く突いたとき、3人は背筋を限界まで反らし、激しく絶頂を迎えた。
膣壁が細かく振動し、精液を吐き出させようと最後の攻撃。子宮口が鈴口をしゃぶり、膣壁が隙間なく僕の陰茎を扱く。
僕に耐え切れるわけもなく、マーティの奥深くに射精した。
「ひぃぃ、あつ、熱い~~!」
「あん、赤ちゃんの元が入ってきた~」
「あああ……あああ……マリーさんのが、奥に出てる…」
ゆっくり、マーティの身体が前に倒れる。
「もご!?」
その大きな乳房で、呼吸を妨害された。
全く呼吸ができないので、マーティの大きすぎる乳房を手で掻き分け、気道を確保……と?
このとき、僕は本当の意味で、サキュバスが言った言葉を理解した。
「あん……いい、腰が、腰が止まらない」
「うあ……ああ、はぁぁ……」
「痺れる…奥が痺れて……」
マーティが、晴美が、ロベルダが、再び快感に頬を染め直したのだ。
マーティは息も絶え絶えになっているというのに、再び上下運動を開始している。連動するように、他の二人もため息を零す。
喉を震わしていた彼女のため息が、次第に早まっていくのを耳にしながら、僕は今更ながら、危険な状況に追い込まれてしまっていることを実感した。
2021-07-15T01:36:21+09:00
1626280581
-
イカされすぎ
https://w.atwiki.jp/majiiki/pages/5.html
*イカされすぎて……
>1 名前:名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 13:33:53 ID:cWmP/BJI
> とにかくイカされまくってもう限界なのに
> 執拗に責め続けられて、痙攣ビクビク、泡ブクブク
>
> そういう小説を書くスレ
***イカされすぎて・・・
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***イカされすぎて・・・2
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***【マジイキ】イカされすぎ3
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***【マジイキ】イカされすぎ4
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|[[]]|||||
2015-03-20T14:37:45+09:00
1426829865
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2/133-158
https://w.atwiki.jp/majiiki/pages/88.html
サララ、愛しき主人の為に
----
四肢を大の字にし、重力に身を任せて、自分の体をベッドに投げ出した。ボスッと鈍い音が、室内を静かに反響していった。
ベッド脇のテーブル。そこに置いたベッドスタンドの淡い明かりが私の体を舐めあげ、わた飴のような影が広がっていく。
うつ伏せになってベッドに顔を埋める私。マリー様が買ってくださったキングサイズのベッドは、そんな私を柔らかく受け止めてくれた。
「……はぁぁぁ――――――………疲れた……」
思わず零れた愚痴に、私は飛び起きた。慌てて室内を見回し、すぐに誰も聞いていないことを確認して、今度は仰向けに倒れた。
万が一にも、マリー様に聞かれる訳にはいかないですから……。どこか臆病なあの人。どこか無鉄砲なあの人。
本当に、本当に素直で可愛らしく、とってもエッチで、とっても優しいご主人様に知られるわけにはいかない。
あの優しいお方は、私が少しでも疲れている様子を見せれば、すぐさま仕事を休むよう命令してくるのだから。
「本当に……あの人は……どうしてこう……私は貴方の物なのに」
私は奴隷……私の体は私の体ではなく、この世界に私の体は存在しない。この世界に存在していた私の体だった物は、今はマリー様の手の中に。
私は道具……私の心は私の心ではなく、この世界に私の心は存在しない。この世界に存在していた私の心だった物は、今はマリー様の胸の中に。
ゆっくりと、目蓋を閉じる。その途端、浮かんでくるのは愛しきご主人様。
清廉の少女のような愛らしい声。男性のはずなのに、そこらの女子よりも滑らかで清らかな素肌。思わずため息を零してしまいそうなくらい美しい微笑。
『………ねえ、サララ? 今日もお願いしていいかな?』
私は瞑っていた目蓋を瞬時に開き、ズバッと起き上がって入り口に向き直った。
「……………………………………」
けれども、入り口は硬く閉ざされ、隙間すら開いていなかった。
……これはもしかしますと……マリー様の事を想うがあまりに起こった、いわゆる、幻聴というものでしょうか。
ベッドの上で正座していた私は、そのまま横に倒れこんだ。ボフッと顔が枕に埋まった。
「居るわけないです……今頃マリー様は、マーティさんと一緒なんですから」
チクッと胸が痛んだ。これは嫉妬でしょうか? それとも焦燥でしょうか?
耳を澄ませば、僅かに捉えることができる音。
何の情報もなくその音を聞き取るとするならば、まず殆どの人が風の音か何かだと思うでしょう。
でも、事情を知っている私ならば分かる。僅かに聞こえるこの音、消え入りそうで、あまりに弱弱しい音……訂正、それは声。
僅かに聞こえる、誰かの声。もちろん、それは誰の声か分かっている。今しがた案内した、マーティの声だ。
雌が、雄を誘うためにあげる音。いやらしく男を誘う音。ただただ男から与えられる快楽を表現する楽器に成り果てた、女の声。
「上手く……事が進んでくれれば良いのですが……」
その声を子守唄にして、私は静かに目蓋を閉じる。ゆるやかに訪れる夢の世界に、私はここ最近の出来事を夢に見た。
マリー様が落ち込んで帰られたあの日。全ての始まりの日のことを、夢に見ていた。
月光のように優しく、太陽のように激しい、そんな危ういバランスの上に成り立ったマリー様の美しい横顔に陰りを覚えたのは、雨の日の夜でした。
傘を差すには小雨で、かといって指さないでいると濡れてしまう、傘を持っていこうか迷ってしまいそうな夜でした。
「さて……ローリエの葉はこれくらいでいいでしょう……」
眼前のステンレスの鍋に湯気立つシチューを焦がさないよう、木ヘラで慎重にかき混ぜる。
あまり素早く混ぜると空気を取り込んでしまうから、ゆっくりと。
そのまま皿に盛り付けてしまいますと、小さな気泡が表面に浮かんでしまい、見た目が不恰好になってしまうからです。
そのため火力は弱火。時間を掛けてじっくりとルーを溶かし、具全体に味を染み渡らせます。
必然的に時間はかかりますが、仕方がありません。
全てはマリー様に美味しい食事を取ってもらうことを考えると、これくらい問題の内にも入らない。
いつものように、私は愛しいあの人の為に、あの人が大好きなシチューを作り、愛しいあの人を待つ。
もし、過去の私が今の私の姿を見たら、驚いて腰を抜かしてしまうかもしれません。
「もっとも私自身、今でもこうして料理を作っている自分が信じられませんけど」
最後にルーを入れてから40分。もう十分に味は染みっていると判断し、火を止める。
いつも私が座っている席に、腰を落ち着けて、準備は完了です。
後はマリー様を待つだけ。
壁に掛けてある時計に目をやると、マリー様がいつも帰ってくる時刻に指しかかろうとしていました。
もうすぐマリー様が帰ってくる。
そこに思い至った瞬間、私の胸は一際強く鼓動を奏でました。ゆっくりと視界が霞み、ドロドロとした感情が体を駆け巡っていく。
片手を胸に当てると、その奥にある心臓が激しく伸縮を繰り返しているのが分かりました。
「我がことながら、正直な体です……あの人のことを思い浮かべるだけで、こんなに高鳴って……」
マリー様の下で過ごすようになってから3週間……日に日に自分の身体が素直になっていくのを実感します。
マリー様の要求に素直に答え、素直に反応し、素直に震え、素直な身体へと変貌していく自らの肉体。
そのことに恐怖を感じることはない。それどころか、目も眩むような怪しい喜びを覚える自分を褒め称えたいとすら思えます。
これは……男女の愛なのでしょうか? それとも主人に対する敬愛なのでしょうか? あるいは崇拝に近い何か? はたまた家族愛?
……きっとその全てが正解なのかもしれない。あるいは、間違っているのかもしれない。
「マリー様は考えも付いていないでしょうね……私がどんな思いで貴方を見ているかということを」
マリー様のことを男として愛する想い。
絶対的主人として敬愛する想い。
神のように崇拝する想い。
幼き頃夢みた家族として愛する想い。
それら全てが、お互いの感情を高めあい、相乗し、増幅させてきた結果がこの感情。
もし貴方がダンジョンで命を落としたとき、私は喜んで貴方の後を追うでしょうね。
だって私は……。
「ただいま~」
突然、耳元で聞こえたマリー様の声が、私の意識を現実に連れ戻してくれた。
ハッと横に顔を向ける。そこにはたった今まで夢想していた愛しい主人が心配そうに私を見下ろしていた。
……心配? いえ、これはどちらかというと、マリー様が……。
「どうしたの? どこか具合が悪いの? ここは僕がやっておくから、サララは休」
「私は健康体です。空いてしまった数分の時間、することがないので、ぼ~っとしていただけです……すぐに準備いたしますから、席に座ってください」
「そ、そうなんだ」
有無を言わさずマリー様を席に座らせ、急いでシチューお皿に盛り付ける。
マリー様は大変お優しい人なので、よく私の仕事を手伝おうとします。ですが、これは私の生き甲斐なので、こればっかりは手伝わせる訳にはいきません。
手早くマリー様と私の二人分をさらに盛り付け、テーブルに置く。パンやその他の料理も並べ、用意は終わった。
「うわ~、美味しそう……頂きます」
マリー様は子供のように笑顔を振りまいてシチューを食べ始めました。
最初の一口、マリー様がそれを飲み込んだのを確認してから、私も食べ始めます。奴隷たるもの、主人よりも早く食事にありつくのは奴隷失格だからです。
「美味しい、とっても美味しいよ、サララ」
マリー様は、そう言って、ふんわりと優しい笑みを私に向けてくれました。
美しく咲き誇るバラですら、その笑顔の前では自らの美しさを恥じてしまう、そう思ってしまう程に美しいものでした。
月の光を凝縮したかのような光沢ある銀髪。髪質も素晴らしく、シャンプーとは別に、うっすらと甘い匂いがすることを知っているのは、私だけの秘密。
前髪は中心から横に綺麗に分けられ、開かれた額を細い眉毛が飾るように生え、その下には勝気な印象を与えるアーモンド形の吊り目。
その勝気な目で見つめられるだけで私の心は蕩けてしまいます。
一本ずつ丁寧に細工されたような睫毛に、すっ、と小さくも高い鼻、薔薇を思わせるような唇が付けられ、
そこに運ばれるシチューが乗ったスプーンに軽い嫉妬を覚えるのは変でしょうか?
さらに病的にも、生命力溢れるようにも見える雪のような肌は、幻想的な美しさを与えています。
突然ですが、舐めてよろしいでしょうか……きっとダメでしょうね。
身に纏っているドレスはフリルが多く付けられていると同時に、細かい刺繍と小さな宝石が装飾されています。ああ……そのドレスになりたい。
「ああ…美味しい、おかわり貰える?」
ずいっと差し出されたお皿を受け取り、新しくシチューを注ぐ。
「はい、まだまだいっぱいありますので、どんどん仰ってくださいませ」
私の至福の一時はもうしばらく続きました。
幸せでした。
ようやく快楽の波から逃れることができた私は、マリー様の腕に抱かれて愛をかみ締めます。
軽く耳をマリー様の胸に当てると、奥の方から聞こえてくる心臓の鼓動。その音は、代えることのできない最上の子守唄。
つい今しがた、女として生まれてきたことを喜び、愛しい男を受け入れることを喜び、浅ましくも淫らな獣になっていたのが夢のよう。
今夜も徹底的に女を開発され、私の身体はまた一段と素直になりました。
「……何か気になることでもあるのですか?」
私はマリー様にそう尋ねた。外は既に夜が支配し、バカ騒ぎする人達も眠りにつく時間帯。
マリー様と私の二つの命が奏でる鼓動以外、何も存在しない。そう思わせる程に静かな夜でした。
「……そんなに、顔に出てた?」
答えはYESでした。
「いえ、しっかりと隠せていました。ですけど、私の目から見れば悩んでいますと顔に書いているようなものです」
普段から常に貴方のことを見つめ続けているのです。マリー様の考えることなど、察することくらい朝飯前です。
「……サララには隠し事できないね……」
ポツリと、小さな声で溢したきり、マリー様は押し黙ってしまいました。
私は断腸の思いでマリー様の腕から這い上がりました。といっても、身体を密着させたままです。
ズルズルとシーツを引きずり、マリー様と顔を突き合わせるようにします。そして、瑞々しくも美しい唇に、軽くキスをしました。
「一人で悩むより、二人で悩む方が、気が楽になると思うのです。もしよろしければ、事情をお話してくれませんか?」
ジーっと、マリー様の瞳を見つめます。……ああ、いけません。ようやく疼きが治まった子宮が、再びマリー様を求め始めました。
ダメです。今はダメです。というより、自分の身体ながら素直すぎです。ちょっとは自重させることを覚えさせなければいけません。
「……うん、そうだね。それじゃあ、ちょっと聞いてくれる?」
マリー様は申し訳なさそうに、ちょっと嬉しそうに、私にお願いしました。
「はい! 当方に聞く用意は出来ております!」
もちろん、私の答えは決まっていました。
マリー様は私に色々なことを話してくれました。
マリー様が私を引き取ってくださった日の翌日。ポストに入っていた『エンジェル』からの命令を受けた日。
その任務で、少しの間仲良くなった2人のこと。その人達はエンジェルの人達で、名前はマーティとロベルダだということ。
一人、カズマという美男の仲間がいたらしく、マリー様はそいつのことを嫌っていました。安心してください……マリー様の方が100万倍、1兆倍魅力的です。
任務が終わった後、マリー様はもう一度会えないかと思っていた矢先、街中で偶然にもロベルダとカズマを見かけたこと。
なにやら思いつめた表情だったので、後を付けてみたこと。そこで、マーティが酷い怪我を負ってしまったこと。その怪我で、身体に火傷痕が残ってしまったこと。
マーティの恋人であるカズマが別れ話を切り出したこと。それをロベルダが怒鳴りつけたこと。色々なことを聞いたのです。
事情を察したマリー様は、マーティという女性を助けようと思ったこと。
けれども、マーティさんはエンジェル内の施設で治療を受けており、マリー様でも潜入は難しいらしく、そのことで悩んでおりました。
何でも、中は対魔術防御の結界があるため、すぐに見付かってしまうらしいのです。
ならば正面から堂々と面会すればいいのでは、とも思ったのですが、エンジェルに所属している人意外は、身内以外は中に入れないのだそうです。
マリー様の魔術ならば、火傷痕も傷も全て完治させることができるのに、それができないことが悔しく、辛い思いを抱いていたのです。
ああ、やはりマリー様はお優しい。普通の人ならば、そんな数十分話しただけの相手をそこまで気にしたりはしないところなのに……。
だから私は言いました。
『それならご安心ください。私がお姉さまに頼んでみますので、もしかしたらエンジェル内部の人と交友があるかもしれません』っと。
それを聞いたマリー様は本当に嬉しそうに、私に礼を言った後、優しくキスを返してくれました。
しかし、そこからが地獄……いえ、天国でした。
悩み事が解消したマリー様は、再び私を求めました。もちろん、私は股を開くことで返事を返しました。
首尾よく私も準備が出来ておりましたので、つつがなく受け入れることができましたのは重畳の至り。
けれども、そこからが天国の始まりでした。
それから一時間。二度私の中に熱いものを放ち、私も数え切れないくらい絶頂を極めさせられました。
最後に、両手に収まりきらない量の精液を飲み干して、夜を終えるものと思っていました。
……ええ、甘かったです。砂糖菓子にジャムを塗りたくり、蜂蜜を振りかけた後、もう一度砂糖を掛けたくらい甘かったです。
悩みから開放されたマリー様の性欲を甘く見ておりました。変に発散された性欲は逆効果になってしまったのでしょう。
息絶え絶えにマリー様の下でグッタリしている私に向かって、マリー様は魔術を唱えました。
呪文を唱えているようですが、私には歌っているか詩を読んでいるようにしか聞こえません。
『我が請う 水と光が織り成す幻想 彼のものに生命の息吹を』
それは魔術師達にしか使えない技術。本来ならダンジョンから手に入る指南書か何かを使わなければ、絶対に習得できないはず。
ですが、さすがマリー様。ただ強くて、優しくて、美しくて、聡明で、絶倫だけというわけではありません。
まるで妖精が純真な子供を弄ぶように軽やかで、航海士達を震え上がらせたセイレーンのように美しくも淫らな歌声が私の身体を包みます。
『キュアリス・ファー』
するとどうでしょう。性交の疲れで指一本動かすのも億劫だった私の身体から、みるみる疲れが消えていくのが実感できます。
結果、十分に睡眠を取ったかのように体力気力が充実した状態になりました。
けれども、快楽の名残と子宮の痺れが依然そのままです。
身体は元気いっぱいなのに、性欲が満たされているという、不思議な感覚に身もだえしている私に、マリー様は言いました。
『これなら、まだ頑張れるよね?』
――――――――――――――――――――――――――――――――――
それからの記憶は曖昧です。
不規則に子宮口を叩く陰茎は、速く、遅く、私の子宮を苛め抜く。
素早く小突いたと思ったら、今度は蟻が這うように焦らされたり。
円を描くように膣内をかき回され、カリ首に引きずり出され、押し込まれ、私の女は徹底的に虐められました。
私がどれだけ快楽の嬌声を上げ、どれだけ哀願しても、マリー様の腰が止まることはありませんでした。
朝日が昇り、朝食の時間が過ぎたあたりまで続きました。膣に埋め込まれたマリー様の陰茎は一度も抜かれることはありませんでした。
翌日の空は晴れ渡っていました。穏やかな夜の後は、穏やかな朝を迎えるものだと聞いたことがありましたが、それは事実なのでしょうね。
溜め込んでいた思いを私に吐き出したのが良かったのでしょう。マリー様は穏やかな笑みを浮かべて、出かけていきました。
私は震える下半身を奮い立たせ、マリー様の体液と私が出した体液をそのままに、裸でお見送りしました。
そして、玄関の鍵を閉める。震える下半身を騙し騙し動かし、リビングの椅子に腰を下ろしました。
べちゃっと椅子のクッションが悲鳴を上げましたが無視です。玄関から点々と愛液と精液の跡が続いていますが無視…です。
座った拍子に膣口から色々噴出してしまいましたが無視……ああ、もったいない。
「……すごかっひゃ………ひぬかと思いまひひゃ…」
そうして私はしばらく裸のまま、ぐったりして過ごしました。
午後、少しずつ蒸し暑くなってきている昼間の空気は、じめじめと湿気を含んでいました。
もちろんそれは室内でも例外ではありませんが、空調設備が整っている家ならば例外になります。
しかし、普通の一般家庭ではそのような設備があることはほとんどありません。
あるとすれば、せいぜい桶に水を張って使う、即席冷却道具くらいでしょうか……。
なにせ暖めるのではなく、冷やすのです。使われるエネルギーもかなり多くなり、かかるお金も半端ないので、普通は置かれていない。
例外なのは、政府運営の施設と富豪層の邸宅くらい。あとは一部の多少裕福な家庭というくらいでしょう。
私が前に住んでいた娼婦館の一室は例外の一つでありました。
チラリと視線をベッド脇のテーブルに向けます。そこには、ちょっと古臭い電話機と、青く光り輝く宝石が専用の陶器の上でふよふよと漂っていました。
結晶氷石……吹きかけた水の量によって、大気の温度を低下させるアイテム。
それなりに高価な物で、おいそれと手が出せるものではないのですが、夏場の娼婦館には必ず十数個常備されています。
なぜならば、仕事上、どうしても必要になるからです。
娼婦という仕事上、どうしてもやることは肉体を使ったものになります。
冬や春や秋などでは気にならなかったものが、夏場では非常に気になってしまうからです。
それは汗と臭いと気温です。
夏場は客も娼婦も行為の最中、事後は非常に汗をかきます。下手をすればそれ以前に汗を垂れ流すこともあります。
さすがに蒸し風呂みたいになった部屋で性の営みをするのは、いくらか気を削がれるというものなのでしょう。
客がそうなのですから、娼婦達も例外ではありません。いえ、むしろ一日中客の相手をして脱水症状を起こす人もいるので、客以上に気が重くなるでしょう。
そのため、客と娼婦達が楽しく励むためには、どうしても必要になってくるのです。
でも結晶氷石を使ったら使ったで、その分客を取らなければならなくなるのですが……難しいところです。
視線を下げると、品の良い化粧椅子が置かれていました。元が上級ホテルだったおかげか、置かれている家具一つ一つの造形は美しく、優雅な印象を与えます。
使われているベッドも一般家庭にあるものよりも大きく、また使われているクッションも上等な羽毛が使われているのです。
私がそうやって過去を懐かしんでいると、目の前のテーブルに香り立つ紅茶が注がれたカップが置かれました。
「さっきからジロジロと……そんなに懐かしく見える?」
私はもれ出てくる苦笑を隠しませんでした。
「そういうわけではありません。ただ、ここは変わっていないという事実に安心しただけです」
「それを懐かしんでいるっていうのよ、バカ」
テーブルを挟んだソファーに座っている女性……娼婦館の当主、マリア・トルバーナは、穢れを知らない女性のようにカンラカンラと向日葵のように楽しげに笑いました。
事情を話し終えた私は、紅茶を一口飲みます。うん、安物だけど、上手に入れるととても美味しい。
マリア姉さんは、う~んと唸って腕を組みました。
マリア姉さんが着ているシルクの淡い紫色のドレスのおかげで、そんな姿も美女に見えます。
腕を組むことによって強調されたタプンタプンの乳房が憎らしい。私も、マリー様を包めるくらい大きくなりたい。
「……ふ~ん、事情はだいたい理解したわ。用はそのマーティという女の子を、どうにかしてマリー君に股を開かせるようにすればいいのね?」
「全然、全く、完全に、絶対に違います。マリア姉さん、あなたは私の話を聞いていましたか?」
「聞いていたわよ、あなたのマリー君に対する惚気と惚気と惚気と惚気と惚気と猥談ならね」
「そうですか、それならばもう一度始めから説明しましょうか?」
「遠慮するわ。このままだと、ストレスで胃に穴が開きそうだから」
今回訪ねた用件を伝え、事情を全て説明し、これから私が行おうとする行動に力を貸して欲しいという私の願いは湾曲して受理されるところでした。
不本意なことに、マリア姉さんは疲れたようにため息を吐いて、眉間を揉み解していました。
そんな姿でも変な色気があるのが腹立たしい。娼婦館当主であると同時に、一番人気の名に恥じぬものがある。
なんでも、一度肌を合わせればもう彼女から離れられなくなるとか。
ええい、それならば、その有り余った色気を少しこちらに分けて欲しいものです。
マリー様を誘惑するためには、色気はいくつあっても困ることはないでしょうし。
「まあ、あなたの惚気はこれくらいにして……とりあえず、どうにかして中に潜入して、そこでマーティという人に会って話を付けたいわけね?」
こうやって人を茶化して遊ぶところは本当に変わっていません。まあ、それがある意味ムードメーカーみたいなものなのですが。
「何とかなりませんか? マリー様の話では、中に入るためには内部にツテでもないと入るのが難しいらしいのです」
「う~ん……ちょっと待って、今考えてみるから」
そう言うと、マリア姉さんは身体をソファーにダラリと預けて、目を瞑ってしまった。
マリア姉さんが自分の頭の中で色々考えるときの癖だ。こうなった姉さんは、ちょっとやそっとじゃ反応しない。
私はどうやって暇を潰そうかと思案していると、背後のドアが開かれた。
私は背後に振り返った。そこには、楽しげに笑顔を見せる長身の女性が立っていた。
女性は長身のため、膝あたりまでしか隠せてないスカートを揺らして、杖を使って私の元にやってきた。
弾みにふわりと一瞬まくれ上がった女性の太ももは、素人目にも鍛えられているのが見て取れた。
女性は私が座っているソファーに腰掛け、ふうと息を付いた。場所でいえば、私の隣です。
私は先に話しかけることにした。久しぶりに顔を見れて嬉しいからです。
「シャラさん、お久しぶりです。お元気そうで何よりです」
「おう、サララも元気そうでなによりだ」
女性、シャラ・ミースは、ひまわりのようにニカっと少年っぽい笑顔を見せた。
シャラ・ミース……彼女は他の娼婦とは違い、殆ど客を取らないし、取れない(彼女はそれを気にしているらしい)。
身長が187cmと男でもそういないほどの長身で、肉体も普段から鍛えているらしいのでどこか男らしい身体の持ち主です。
といっても、それはどこか、というところ。蓋を開ければ、メロンのように張り出した乳房に、引き締まった越し回り。お尻も、むちっと張り出し、両足もスラッと長い。
おまけに顔も良いときているのだから、どう謙遜しても、シャラは一級品の美女であることは間違いないのです。
だけどもシャラのサバサバした性格。男性を喜ばせる演技が下手くそな上に、男に劣等感を与える程の長身なので、客からの人気はいまいち。
唯一来る客も、SMプレイのSとして指名することが殆ど。結果的には、あまり元が取れていないのです。
しかし、彼女は娼婦館の皆さんからも、マリア姉さんからも信頼されています。
シャラは娼婦としての仕事以外に、娼婦館の用心棒的存在でもあるからです。娼婦館で起きる問題事を力ずくで解決するのが主な仕事です。
昔は探求者として腕を鳴らしたらしいのですが、怪我を負って引退し、職を点々とした結果、ここに来た……と本人が言っていたのです。
「ところで、サララがここに来ているってことは……だ。その……さ、あ、あいつは来ている……かい?」
隣でニコニコ笑っていたシャラは、それだけをボソボソと言うと、黙ってしまった。
落ち着き無くソファーの感触を確かめたり、テーブルを訳もなく指で突いたりと、突然様子がおかしくなった。
普段から負けん気の強さと度胸では誰にも負けないと豪語していたシャラとは思えない姿でした。
「残念ですが、マリー様は仕事でダンジョンに向かっております。何か伝言があるのでしたら、お伝えしますが?」
「い、いや、いいんだ、別に。特に意味があったわけじゃないし、ただ気になっただけなんだ。うん、ただそれだけだ。気にしないでくれ」
シャラは頬を赤く染め、手をパタパタ振って、妙に声を張り上げて私の申し出を断った。
どう考えても、ただ気になっただけという反応ではないのです。
「マリー様もここは気に入っておりますので、また来たいと言っておりました。そのときは、シャラさんをまた抱きたいとも言っておりましたです」
試しに前にマリー様がここを訪れたときに溢した言葉を言ってみた。効果は抜群でした。
シャラは頬をさらに赤く染め、恋する少女のように俯いてしまった。
「あらあら、シャラは随分マリー君に熱心ね」
いつの間に復活したのか、マリア姉さんはシャラの様子を面白そうに眺めていました。
シャラは何か言われると思ったのでしょう。少し潤んだ目を鋭く研ぎ澄ませて、マリア姉さんを睨みました。
「そんなんじゃない……マリアさんの思っていることじゃないよ」
「隠さなくたっていいわ。私、ちゃ~んと知っていますから」
シャラの精一杯の虚勢も、マリア姉さんには通じませんでした。
「私達が娼婦であり、他の男たちと寝ているということも分かった上で、一人の女として、宝物として愛してくれる人ですもの。皆が惚れちゃうのも分かるわ」
ニマニマと背筋に悪寒を覚える笑みを浮かべたマリア姉さんは、まるで小悪魔のように見えました。
……ただ、皆が惚れるというところはどういう意味なのでしょうか。詳しく聞きたいのですが。
「おまけに私達をヒーローのように助けてくれて、エッチも上手で絶倫とくれば、惚れなくてどうするの」
「だから、私はそんなんじゃ…………」
この期に及んでまだ言い訳を重ねるシャラ。
「あら、そんなこと言っていいの? あの時は凄かったわね……サララ、覚えてる?」
急に私に話が振られました。なにやらシャラが横目で合図を送ってきますが、無視します。
「はっきり記憶しています。たしか、マリー様がシャラを指名したときですね」
「あの時はマリー君もちょっとSMを体験したいのかな……って思っていたけど、いざマリー様とシャラが部屋に入ってから30分くらい後だったかしら」
「ええ、そうです。廊下からでもはっきり聞こえるくらいでした」
「ああん、ダメ~~~!! とか、オチンコでオマンコほじらないで~~!! とか、シャラのオマンコ、どスケベマンコになる~~!! とか、凄かったわね」
「仕舞いには、チンポミルク飲まして~~!! とか、チンポ美味しい、チンポ最高、とか絶叫したりしましたね」
「あれは傑作だったわ。最後は、オマンコ奴隷シャラ・ミース、はしたなくチンポアクメイキま~す!! だもんね。夢かと思ったわ」
「…………本当、ごめんなさい、マジで勘弁してください」
結局、シャラが土下座するまで、私とマリア姉さんの暴露話は続いた。
「あ~、面白かった。今日のところはこのへんで勘弁してあげますかな」
マリア姉さんは心から楽しそうに笑いました。反面、部屋の隅でシャラがブツブツ壁に何か語りかけていました。さながら、燃え尽きた灰ですね。
私が気の毒そうにシャラを見ていると、マリア姉さんは私に話を切り出しました。
そこにはシャラへの配慮とか、思いやりとか、そんなのは一片も入ってませんでした。
「それはそうと、サララ。さっきの話の続きだけどさ……私の知り合いに、エンジェル内に精通している人がいるんだけど、そいつに頼んでみようと思うの」
驚きました。
自分で頼んでいてなんですが、エンジェル内にコネがある人は、大富豪の人達か、エンジェル内に親族がいるかのどちらかです。
マリア姉さんは確か孤児らしいですし、大富豪のお客さんがいるという話も……いえ、マリア姉さんでしたら、あるいは……。
知らず知らずの内に、マリア姉さんを尊敬の眼差しで見ていたのかもしれません。マリア姉さんは、くすぐったそうに頬を掻いて、否定しました。
「あ、先に言っておくけど、大富豪の人達と関わりもっていないからね。ていうか、持っていたら借金なんてすぐに返せたでしょう」
私の考えを呼んだマリア姉さんが先に釘を刺しました。
……では、いったいどういうことなのでしょうか?
「そこらへんは、あいつに会えば分かるから……ちょっと待って、今あいつに連絡するから」
マリア姉さんはソファーから立ち上がって、ベッド脇の電話機を手に取り、誰かに連絡を始めました。
立ち上がった瞬間、マリア姉さんの身体からふわっと香水の匂いが香りました。
こういうところは一流のプロであると私は実感しました。
さりげない所作に、ほんの僅かに女を匂わせる。これはやろうと思ってもなかなか出来ません。
弱すぎると気づいてもらえない。強すぎるとわざとらしい。この微妙な力加減が大事なのです。
たいていの人は、これをやろうとすると逆効果になるのが難点でしょうか。
そんなことをツラツラと考えている私の視線の片隅に、シャラの背中が映りました。
「仕方ないじゃないか……こんな私を始めて女として見てくれたんだぞ……キスも普通のエッチも初めてだったんだから仕方ないじゃないか……」
シャラは今だ、壁に向かって呟いていました。
私は見なかったことにしました。自分でも懸命な判断だと思います。
そうこうしているうちに、マリア姉さんの方は話が付いたみたいで、受話器を電話機に戻して、私へ振り返りました。
「話は付いたわ。後はあいつに任せるから」
「それは、重ね重ねお礼を申し上げたいです。ところで、そのあいつ、というのは、いったいどんな方なのでしょうか?」
もし、見返りに身体を要求してきたら、私はマリア姉さんを恨みます。今の私の身体は髪の毛から足の爪先まで、マリー様のものですから。
しかし、そんな私の気持ちを知っているマリア姉さんは笑って手を振りました。
「あははは、大丈夫。あいつはそんなこと頼まないわよ……だからそんな目で見ないで頂戴。なんか子供を虐めているようで罪悪感が……」
思っている以上に視線がきつくなっていたのかもしれません。あと、子供とは何ですか。これでも立派な奴隷ですよ。(主に性的な意味で)
そんな私の思いもなんのその、マリア姉さんはサラサラっと紙に何かを書くと、私に手渡しました。
「とりあえず、会ってみれば分かるから」
渡された紙には地図が書かれていました。目的地らしきところには、ここへ行け、と可愛らしく書いてありました。
「ありがとうございます、マリア姉さん」
「いいってことよ。また遊びに来なさい」
私は一礼して、部屋を後にしました。
玄関の戸に手をかけた私の耳に、マリア姉さんの楽しそうな声と、シャラの悲痛な叫び声が届きました。
あの二人まだやっているのですか……客が来ないと暇なのはどこも一緒なのですね。
『オッパイ揉むのらめー!』
『もう本当に勘弁してください!』
『クリチンポ、クリチンポー!』
『楽しいですか!? 私を虐めてそんなに楽しいですか!?』
『楽しかったらしないわよ! 悪い!?』
『逆切れ!? ここはむしろ私が怒るところでしょうが!』
『いつまでも冷静になっているほうが大抵負けちゃうんだから、こういう時は先に怒った方が勝ちなのよ』
『だったらちょっと拳骨していいですか!? そろそろ我慢の限界なんですけど!』
『うわ……なに一人でキレているの? あんたもいい年なんだから落ち着きってやつを持ちなさい』
『あ、ん、た、と、い、う、や、つ、わ~~~!!!!』
『いや~ん、シャラちゃんが怒った~、怒っちゃった~』
ドタバタと奥から騒ぐ騒音が聞こえてきた。本当にマリア姉さんは人をからかうのが好きな人だ。
まあ、あんまり虐めると可哀想なので、マリー様にも話しておきましょうか。
そう決めた私はとりあえず、騒いでいる二人に聞こえるように大声で、アクメ狂いにされりゅー! と叫び、娼婦館を飛び出しました。
後ろの方からシャラの言葉にならない怒声が聞こえたような気がしました。
待ち合わせ場所は、とても小さな公園でした。
汚れたベンチと、さび付いた鉄棒と、ポツンと立てられた公衆トイレだけしかない、寂しい公園でした。
昼間だというのに公園には子供一人見かけられず、ベンチに一人の男が座っているだけでした。
きっとあの人だ。
私はさっそく男に近づきました。
ベンチに座っていた男は、私が近づいてくることに気づき、悠々とベンチに持たれて両足を投げ出しました。
しかし、近づくにつれはっきりしてくる男の風貌に、私は疑問を覚えました。
なぜなら、男の風貌があまりにも私のイメージしていた人とかけ離れていたからです。
学園エンジェルの中に入れるコネを持っている人ですから、多少は裕福な姿をしていると思っていたのです。
ですが、その私の考えは男の正面に立つことではっきり否定されました。
男の風貌は、一言で言えば工業などに従事する服装だったからです。
薄い水色の上下のツナギ。短く刈り込まれた髪に、ツナギの上からでもなんとなく見て取れるたくましい肉体。
あまり裕福そうには見えない……それどころか、どこから見ても一般人にしか見えない人でした。
もしかすると、腕の良い探求者なのでは? とも思いましたが、すぐにそれは違うと結論付けました。
武器も防具も身に付けていない探求者など聞いたことがないですし、探求者は武具の重さに慣れるため、
普段から武具は見に着けて行動するものだとマリー様が言っていたのを、私は知っているからです。
男は、そんな私の内心の葛藤に気づいているのかいないのか、ベンチから立ち上がりるとサッと手を差し出しました。
私よりも頭一つ分以上大きい人でした。
「君が、サララちゃんかい?」
私はその手を掴み、握手しました。ちょっとゴツゴツしていて、マリー様とは違いました。
「はい、そうです。貴方のお名前をお聞かせ願えますか? マリア姉さんは何も教えてくれなかったので」
男は、ニヤッと男らしい笑みを浮かべて、自己紹介しました。
「俺の名は、アベだ。チーム『くそみそテクニック』のリーダーを務めている。これでも一部では名の知れた男だ。大船に乗ったつもりでいてくれ」
「あら、それは随分頼もしいですね」
「俺は女性には優しくに、男には紳士に接するのがポリシーなんだ」
アベは、妙に男らしい笑みを浮かべました。
私はふと、マリー様のことは話さないでおこうと思いました。
人を見かけで判断するのは良くないことです。昔、どこかのお爺さんがそういっていたのを、今見にしみて実感しました。
一見すると、配管工かそれ系統の人しか見えないアベさんでしたが、やはりコネを持っているのは本当のようです。
学園エンジェルの正面玄関に到着した私は、アベさんに連れられるまま、正面から堂々と中に入りました。
もちろん、そこまで堂々と入れるのならば、既に話を付けていると思うのですが、やはり心配です。
紹介状も無しに学園に入れば不法侵入者、中で問題でも起こせば確実に牢屋に押し込まれてしまうでしょう。
別段、私自身は捕まっても痛くも痒くもありません。元々両親などいないも同然ですし、娼婦の私には腕に職もありませんので、今更前科の一つや二つ、へっちゃらさんです。
しかし、それが原因でマリー様のイメージを悪くしてしまったら。
もしもマリー様へ暴言が吐かれるようなことがあれば。
私は自分が許せないでしょう。自分の首をへし折っても足りない。実を炎に包ませ、血肉の一片まで粉々にミンチにされても、まだ足りない。
自らの憎悪で、自らの命を切り裂いても、きっと自分を許せないでしょう。
想像するだけで、胸の奥から沸々と熱く煮えたぎった何かが湧き上がってくるのを実感しました。
「おい、どうしたんだ?」
ふと前を歩いていたアベさんが振り返って私の顔を覗き込みました。
「ずいぶん怖い顔していたが、何か思うところでもあるのかい?」
どうやら、知らず知らずのうちに顔に出てしまったのでしょう。アベさんが心配そうに私を見下ろしていました。
「ちょっと嫌なことを思い出しただけです。気にしないでください」
「そうか? それだったらいいんだが……」
迂闊です。アベさんにいらない心配をかけてしまいました。
ふう、とため息を吐いて気持ちを落ち着けます。しかし、そうなると再び頭をもたげてくるのは、さっきの想像。
落ち着いて、落ち着きなさい、サララ。このままではまたアベさんに心配させてしまいますよ。
ここは逆転の発想です。これからすることが成功したときのことを考えて、プラス思考になりましょう。
ムクムクっと膨れ上がる想像の世界。私の頭の中では、きっと大量の妄想虫が羽ばたいていると思います。
もし、無事にマリー様にマーティという女性に合わせ、マリー様の心を晴らすことができれば。
もし、マリー様がそのことで喜んでいただければ。夜も明けないマリー様、その夜を明けることができれば。
そうなれば、モナ・リザすら霞んでしまう美しくも妖しい微笑みを。
そうなれば、太陽よりも優しく、母の温もりよりも暖かい微笑みを。
また私に向けてくれるのでしょうか。
そのことを妄想した瞬間、私の心は歓喜に包まれました。
私の身体は優しく震え、子宮が絶頂の甘え声を上げます。
膣口から熱い愛液が染み出し、マリー様が密かに好んでいる細やかな刺繍が施された大人っぽいショーツを濡らします。
「……病院に行ったほうがいいんじゃないのか?」
精神的絶頂に震える私を見て、アベさんが気の毒そうに言いました。不覚です。
後で分かりましたが、クネクネと身体をヘビのようにくねらせていた私の姿は、非常に気持ち悪かったそうです。不覚です。
スタスタ隠れもせず正面から入っていく私とアベさんは、第一関門である受付所に到着しました。
小さな簡易受付所には、まだ年若い青年が見張っていて、私達に目を止めると、
「紹介状を提示するか、学生証を提示してください」
と、マニュアル通りの対応をしました。
青年から視線を外し、受付所の中を少し覗いてみると、青年以外誰も居ませんでした。
私は紹介状も偽造の学生証も持っていませんので、対応することができません。
その意味も込めて、どうするのかと目でアベさんの背中を見つめました。
アベさんは、まかせとけと言わんばかりに片目をパチンとウインクをして、堂々と窓口に近づきました。大丈夫なのでしょうか?
下手に私が居てもジャマだと思ったので、4~5m程離れた所で待つことにしました。
(おい、ちょっといいか?)
(はい、どうかしまし…うほ、いい男)
(ちょっと中に入りたいんだが、何とかして中に入れてもらえないか?)
(……あ、いや、いい男の貴方でも、さすがにそれは……)
アベさんと青年がボソボソ話し込んでいますが、距離があって何を話しているのか聞こえません。
なにやら受付の青年が渋っています。何だか不安になってきました。
アベさんはごそごそと右手を胸の辺りから鳩尾の辺りまで上げたり下げたりしています。
私の方からは背中しか見えませんので、何をしているのかサッパリ分かりません。
(ところでこいつを見てくれ……どう思う……)
(凄く……大きいです……)
(俺は回りくどいのは嫌いだから、単刀直入に言わせてもらう…………やらないか)
(………………ゴクリ……そ、それでは……)
青年との話は済んだのか、アベさんは振り返って私に手招きしました。どうやら成功したみたいです。
私は呼ばれるがまま、アベさんの下へ駆けると、アベさんは男くさい笑みを浮かべて私に一枚のカードと女性が写った一枚の写真を私に差し出しました。
「それがあれば中に入っても大丈夫らしい。中に入った後、誰かに咎められたらこのカードを見せればいいとのことだ。
後、マーティに会いたいならこの女を訪ねてみるといい。
ロベルダ・イアリスという女性で、学園エンジェルの中ではアウトローの仕事をしているやつらに寛容で理解を持っているから、きっと力になると思う」
「ありがとうございます、本当に助かりました。……ところで、アベさんはこれからどうするんですか? アベさんも中に入るんですか?」
「俺はこれから少し行くところがあるから、ここでお別れだ。帰るときは俺のことは気にせず好きなときに帰ってくれ。後、そのカードは今日一日しか使えないぞ」
それだけを私に言い残すと、アベさんは受付所の裏にある小さなトイレに向かいました。
その後ろを、青年が付いていきました。金銭の受け渡しでもするのでしょうか?
どっちにしろ、私が気にしていても仕方ない。後は私で何とかしましょう。
私はアベさんを置いて、さっさと学園内に入ることにしました。
何度か呼び止められ、その度にカードを見せてやり過ごすこと4回。アベさんが渡してくれた写真の人物は、思いのほか簡単に見付かりました。
思っていたより早く、ロベルダ・イアリスという女性に出会えたのは行幸です。
彼女は誰も居ない体育館らしき大広間で一人、剣を振るっていました。
両腕を高く上げ、そして一気に剣を振り下ろす。それを休みなく、一定のリズムで繰り返していました。
その度に振り下ろされた剣が空気を切り裂き、乾いた音が体育館を広がります。まるで風が鳴いているようでした。
「……719……720……721……722……723……724……725……726……727……728……」
彼女は胸を上質な布で覆っただけの行動的な服装で、下半身もスパッツを履いただけの簡素で半裸な姿でした。
そのため、隠れていない素肌から球のような汗が飛び散り、彼女の長い金髪が振り乱れ、熱気が周囲に広がりました。
「……895……896……897……898……899……900……901……902……903……904……」
美しい。
私は一心不乱に剣を振るう彼女の姿を見て、心からそう思いました。
腰まで伸びた、輝くような長い金髪。青色の瞳に整った目鼻、絵本に出てくる妖精が大人に成長したかのような姿。
まるでお姫様のような外見なのに、その瞳に宿る力は、辺りを威圧させる迫力を備えていました。
剣を振るう度に躍動する筋肉、女性としての美しさを損なうことなく、男性の逞しさを兼ね揃えた彼女を、私は心から美しいと思いました。
戦士とは、探求者とは、こういうものなのだということを、まざまざと見せ付けられました。
武人という言葉は、きっと彼女のことを指すのでしょう。
「……994……995……996……997……998……999…………1000!」
最後に広場全体に響き渡るほど大きな声で気合を入れて、彼女の鍛錬は終わりを告げました。
どうやって話しかければいいのか悩んでいる私に、彼女は、ふうっと軽くため息を吐いてから、私へ振り返りました。
「先ほどからずっと私を見ていたようだが、私に何か用でもあるのか?」
彼女は足元に置いてあったタオルを手に取り、体の汗を拭き始めました。
私が女だからなのか、気にすることなく胸を覆っている布の中にタオルを突っ込み、
手に納まらないくらい大きい乳房をグニグニと揉みしだくように汗を拭いていました。
……う、羨ましくなんかないんだからね!
「……マーティさんのことで、少しお話が……」
ピタッと、彼女……ロベルダさんは動きを止めました。けれど、すぐに再開しました。
「……お前……何者だ」
「マリー・アレクサンドリアの従者、とだけ……」
私は信頼の意味も込めて、ロベルダさんにニコッと笑みを向けました。
ロベルダさんはお腹周りの汗をせっせと拭いていました。その度にプルンと揺れる乳房が憎らしい。
幾分、笑みが引きつるのを抑えることができませんでした。
「……お前の言いたいことは分かった」
「理解が早くてなによりです」
テーブルにはティーカップに注がれた冷えた紅茶が二つ置かれ、私たちは椅子に座って話をしてました。
全ての事情と私の計画を話し終えると、ロベルダさんは疲れたように眉間を解しました。無理もありません。
「正直言って、お前の提案はかなり魅力的だ。あいつも火傷を治せるのなら、一回くらいは我慢してくれると思う」
「では、交渉成立というわけですね」
「それはまだだ。結局のところ、決めるのはあいつだ。私がどうこう言えることじゃない」
ロベルダさんは辛そうに目を伏せました。何か思うところがあるのでしょう。
「ただ、分からない部分もある。お前の話を聞いていると、マリーさんは心優しいお方に感じたのだが、
もしそうなら尚のことおかしい。どうしてマリーさんがそんな条件を出したんだ?」
ロベルダさんは心底分からないという表情で、私に疑問をぶつけました。もちろん、理由は全て話します。
「いいえ、マリー様はそもそもこの件については何も知りません。これは私の独断によるものです」
「……それでもおかしい。どうして…その、あの…………マーティの体を交換条件にしたんだ?
お前に聞いた限りでは、マリーさんはそういうことは嫌いなんじゃないのか?」
その言葉に、私は内心ロベルダさんの評価を上げました。どうやら、ロベルダさんは頭脳という点でも一級のようです。
ロベルダさんが疑問に思うのも無理はありません。マリー様が無理やりというのを嫌っているのは、私にとっても百も承知です。
しかし私が、マリー様が嫌っている行為を行おうとしているにも、訳があります。
「ロベルダさんの言いたいことは分かります。確かにマリー様はこういったことは嫌いな人です。
ですが、それでも私はこの条件を出さなければなりません、出す必要があるのです」
「……何か理由があるなら説明してもらえるか?」
私は姿勢を正して、椅子に深く座りました。ロベルダさんも雰囲気を察したのか、私と同じく姿勢を正しました。
「理由を説明する前に、まずマリー様のお体について話さなければなりませんが、よろしいですか?」
ロベルダさんは無言のまま首を縦に振りました。
「ロベルダさんはマリー様と手合わせをしたことがありますか? もしあるのでしたら、率直に感想を話してくれませんか」
ロベルダさんは軽く瞬きを繰り返して、答えを出しました。
「私個人の意見を言わせてもらえば、強い戦士、といったところだ」
「強すぎる戦士、の間違いではありませんか?」
ピクリと、ロベルダさんは眉を痙攣させました。
「……強すぎる戦士。言いえて妙、だな。特に疑問に思わなかったが、確かにマリーさんは強い、強すぎると言っていい。
おまけに膨大な魔力を兼ね備えた人だ。だが、それがどうかしたのか?」
「……強い力、膨大な魔力、それだけなら誰もが羨む話で済む話ですが、古来より強い力には必ず代償というものが付いて回るのをご存知ですか?」
ロベルダさんは一つの答えに辿り着いたのでしょう。表情を驚愕に染めて、私に問い質しました。
「……まさか、命を対価にしているのか?」
「……そうなのですか?」
ロベルダさんの口から飛び出た言葉に、私は心の底から驚きました。なぜか私の様子を見たロベルダさんは困惑の表情を浮かべました。
「……違うのか?」
「違います」
いったい何をいきなり……それはマリー様に失礼というものですよ、ロベルダさん。
「じゃあ、いったい何なんだ?」
ずずいっと顔を近づけてくるロベルダさん。私も負け時に胸を張って張り合いますが、ロベルダさんは気にも留めません。
小さなオッパイ、略してチッパイには注意を払う必要がありませんか、そうですか。
勿体ぶっても仕方ありませんので、私もずばり言います。
「ずばり……精力です」
その瞬間、ロベルダさんは本当に椅子からずり落ちるように転げ落ちました。
これが噂のズッコケというやつですか。初めて拝見しました。
ロベルダさんは這い上がるように椅子に座りなおし、私を半眼で睨みました。
「……冗談で言っているわけではないな?」
「冗談でこんなこと言いません。私を何だと思っているのですか」
「とりあえず説明の間に、惚気と猥談をブレンドするようなやつとだけは言える」
「失礼な……まあ、実際凄いんですよ、マリー様。この前、私の知り合いが経営している娼婦館に行ったときなど、娼婦4人と私を入れて、一晩40回です。
もう終わる頃には頭バカになっています。それが1週間続きますので、合計280回。正直、人間の限界というものを超えていると思います」
「いや、一晩10回で十分人間の限界を超えていると思うのだが……」
「おまけに、私たちはその数倍はイカされます。知っていますか? 子宮が快感で痙攣しているときに、無理やり痙攣をチンチンで止められると凄いんですよ。
痙攣を押さえ込むからさらに快感が増幅される上に巧みなテクニックで腰を振られますから、終わったときにはマリー様のこと以外考えられなくなるのですよ」
「聞いていないぞ……で、それとマーティの話と、どう関係があるんだ?」
ロベルダさんは頭を振って、疲れたように言いました。
「理由は二つ。マリー様に、たまには素人の女性をあてがうということが理由の一つ。もう一つは、マーティさんのためでもあります」
「だから、その理由を答えろと……」
ぶつくさぼやかないでください。
「マリー様の実力は私自身、知っています。といっても、正確には把握してはおりませんが。しかし、いくらマリー様が強くても、絶対はありません」
「……マーティの力が必要なのか?」
「マリー様がどれだけ強くても、時には怪我も負いましょう。酷い怪我な場合もあります。
しかし、残念なことに……私にはマリー様が怪我を負わないようにサポートすることも、探求に加勢して、戦闘に参加する力もありません」
「……それだと、体を交換条件にするより、いざというときに加勢するという条件に変えたほうがいいんじゃないのか?」
ロベルダさんが不思議そうに首を傾げました。私は膝を叩いて叫びました。
「何を言っているのですか! マーティさんに女の喜びを与えるチャンスではありませんか!
カズマとかいう租チン男には、自分の女を寝取られるというくらいの惨めさを味わわせてやりたいのです!」
ロベルダさんは頬を引き攣らせました。
「お前、色々理由を付けているけど、結局はマリーさんに女をあてがいたいだけじゃないのか!? それに、最初と話が変わっているぞ!」
「変わっていません! 租チン男のくせに、マリー様を侮辱するなど万死に値する行為です!
マーティさんだって、見た目で別れを切り出す男より、中身を見てくれる男の方がいいに決まっています!」
「その意見には同意するが、チンコで比べるんじゃない! マーティが男をチンコで選んでいるみたいじゃないか!」
しばらく私とロベルダさんの口論は続きました。
ゼエゼエ、ハアハア、私とロベルダさんの荒い呼吸が木霊します。グッタリと私達は力尽きていました
私の胸が上下し、ロベルダさんの胸は大きく上下します。こんなところにも格差というものは表れるものなのですね。
「はあはあ、と、とりあえず、体を交換条件という形で伝えればいいのだな?」
「ふう、ふう、そ、そうしてください。マリー様には私から言っておきますので」
「た、頼む。私もマーティに上手く伝える…………それと、ちょっといいか」
瞬間、ロベルダさんの纏う空気が変わりました。性的な意味で。
「マリー様に抱かれたいとかならダメです」
「……なんでだ? というより何故分かった?」
「一瞬、目が女になりましたから」
ぱちくり、目を瞬かせていたロベルダさんは、私に媚びるようにお願いしてきました。
「頼む……一回でいいんだ」
「ロベルダさんほどの美人なら、いくらでも相手がいるでしょう。わざわざマリー様を選ばなくてもいいじゃないですか」
ロベルダさんは言葉に詰まりました。何か思うところがあるのでしょうか?
キョロキョロと誰も居ない部屋を見回し、頬どころか体を真っ赤にして、ボソボソと呟くように訳を話し始めました。
「自分で言うのもなんだが、今まで碌な男に当たった例がないんだ」
「と、いいますと?」
「実家が金持ちの男とか、エリートの血統とかいう男、数人と付き合ったことがある。もちろんベッドも共にした。したのだが…………」
「下手くそだったわけですね」
ロベルダさんは恥ずかしそうに俯きました。
「今まで付き合った男達いわく、私は一度抱いたら忘れられない女らしい。
自分ではよくわからない。男を満足させるだけの魅力は持っていることは分かっているのだが……」
「逆に、自分が満足できる相手に出会えたことがないのですね」
「なので、普通の男とかいう奴らとも付き合ったことがある。
そしたら今度は、私に劣等感を感じるとかで長続きした例がない。自棄になって女を選んだこともあったが……」
「やっぱり女性よりも、男性の方がよいのですね。分かります」
「分かってくれるなら、そんなに距離を取るな。今も、これからも、女とそういう関係になるとか微塵も考えていないから」
私は部屋の隅からロベルダさんの隣に戻ります。椅子がキィィ、と鳴り、私の体重を受け止めました。私は決して重くありません。
「そういう理由なら、好きにしてください。ただし、私からは何もしませんので、自分の力でどうにかしてください」
「……なんか冷たくないか?」
「訳を知りたければご自分の胸に手を当てて考えてください」
ロベルダさんは不思議そうに手を胸に当てました。ロベルダさんの乳房は、その手を優しく受け止めました。
私はテーブルを挟んだ向かいに座っているロベルダさんから意識を外し、部屋を物色することにしました。
幸い、ロベルダさんは思考に没頭していて私の行動に気づいていません。
とりあえず目に付いたマーティさんの私物を漁ることにしました。
カチャっと留め金の外れる乾いた音と共に、マーティさんのクローゼットは開かれました。
「…………なにを、やっているんだ?」
そして、ようやく物音に気づいたロベルダさんが、不思議そうに私に顔を向けました。
ロベルダさんの言葉はもっともです。尋ねてきた少女が突拍子もない話を持ちかけた上に、許可を取らずに部屋を物色しているのです。
自分でも怪しいことこの上ないと自覚しておりますが、それでも私個人として、やらなくてはならないことが一つあるのです。
「見て分かりませんか? マーティさんの私物を漁っているのです」
「……それは見れば分かる。私が知りたいのは、何故漁っているのか、ということだ」
「ロベルダさんには一生理解できる日は来ないと思いますが、どうしても知りたければ胸に手を当てて考えてください」
また胸に手を? そう呟いたロベルダさんは、素直に手を胸に当てて、再び考え始めました。
その際、柔らか天然クッションが優しくロベルダさんの手を受け止めたのを、私は苦々しい思いで見つめました。
理由は何か? それは一つしかありません。
もしかしたら、もしかしたらマーティさんは私の仲間になれる人かもしれない。
その蜘蛛の糸のように細い光明に縋っているだけの話です。
浅ましく漁っていた私の右手が、クローゼットの中にあるものを捕らえ、私は一厘の望みを掻け、右手に掴んだ物を外界に引きずり出しました。
そして、叩きつける勢いで中に投げ入れました。
マーティさん、貴女もですか……。
後日、私は再び娼婦館を訪れました。
学園エンジェルへの手引きのお礼と、アベさんへの感謝の思いがあったからです。
この日も、私を快く迎えてくれた姉さん達と挨拶を交わし、最後にマリア姉さんの自室を訪れました。
途中、今日は客を取っていないことを確認しましたので、気兼ねなくドアをノック、ノック。
客が居るとき、重要な用がない限り、まずノックしてはいけないのが娼婦達の鉄則です。
下手にジャマが入っては、興も冷めるというものでしょう。
「はいは~い、開いているわよ~」
中から明るい返事が返ってきました。私はさっそくドアを開けて中に入りました。
「お邪魔します……マリア姉さん、少しはシャキッとしてください」
後ろ手にドアを閉めます。
マリア姉さんはソファーの上でだらしない格好で寛いでいました。
「だって~、退屈なんだもん」
ダラダラとソファーに体を預けている姿は、女性として色々情けないものがありますが、そこはマリアマジック。
そんな姿でも、不思議な色気があるから神様って不公平。パンチラですか、パンチラが全ての鍵を握っているのですか?
とりあえず私もソファーに座ります。丁度、マリア姉さんの向かいに配置されているので、自然と向き合うようになります。
「どうだった? 無事にマーティさんに会えた?」
先に話を切り出したのはマリア姉さんでした。
「はい、何事もなく無事に会えました。アベさんも優しくしてくれて、思っていたより簡単に潜入できました。後でアベさんにお礼を伝えておいてください」
「は~い、伝えておくわ……それにしてもあいつは、本当に女性には優しいわね……男だったらノンケでも構わず突っ込むやつなのに……」
ボソボソとマリア姉さんは何かを呟いていましたが、どうせろくでもないことなので問い質そうとはしませんでした。
「それでは、用件も済みましたので、ここいらで」
用が済んだ私は、さっさと娼婦館を後にしようと思います。
それを止めたのは、やっぱり目の前の女性でした。
「ええ~~、せっかく来たのにもう帰るの? もうちょっと居てもいいんじゃない?」
口を尖らせてブーブーと言葉に出している姿は、図体の大きい子供です。というより、マリア姉さんはどこか子供のままで成長したかのように思えてなりません。
「その提案に賛成したいのですが、私にはマリー様の食事の用意をするという大切な使命があります。ですので、そろそろ帰って食事の用意をしなくてはいけません」
「上のお口が満足したら、その後は下のお口を満足させるのですか?」
ニヤニヤと気に障る笑みを浮かべて下品なことを言うマリア姉さん。コロコロ変わる表情、やっぱり子供みたいです。
しかし、私にからかいや冗談は通じません。
「下のお口もそうですが、後ろのお口も満足させてもらうつもりですが、何か?」
「……もう禁断のプレイやっているの?」
「いえ、まだそこまでは……しかし、指3本までは受け入れることができるようになりましたので、もうすぐ使えるようになると思います」
「……あんたって凄いわ、本当……」
なぜかマリア姉さんは絶句していました。
どこか変なことを言ってしまったのでしょうか?
お尻だって、慣れたら気持ちいいのに。というより、マリー様がしてくれることなら何でも気持ちいいのに。
よく熱したフライパンの上に、特上のもも肉、300g一枚と、90g一枚を投下します。
食欲を誘う香ばしい匂いと音を立てて、もも肉は美味しい色へと変化していく。
「さすがはセレブ御用達のアレルビーストの肉。100g1万セクタは伊達ではないということですか」
程よく肉に火が通ったら、ひっくり返してもう一回焼きます。線状に出来た焼き色がとっても美味しそう。
それにしても、アベさんがくれた肉は、本当に良いお肉です。いったいこの肉をどこで手に入れたのでしょうか?
アベさんといえば、結局アベさんは何者なのでしょか?
最近溜まっているとぼやいていたので、娼婦館の方に話を通しておこうとしましたけど、断れてしまいました。不思議な方です。
普通、女を抱けると分かったら、男なら喜んで向かうものだと思うのですが……もしかしたら、アベさんはロマンチストなのでしょうか?
それとも、アベさんはゲイな方なのでしょうか……。
こんど、カズマとかいう男のことを伝えておきましょう。喜んでくれるかもしれません。
両面に火が通り、ほんの少しだけ、中に赤みが残る程度に焼きあがったところで、フライパンからお皿に盛り付けます。
既にお皿にはポテトとほうれん草のサラダを添えてありますので、見た目的にもバッチリでしょう。
マリー様も、涎を飲み込んで肉を見つめていました。その涎を私の喉に流し込んでくれないでしょうか……。
私とマリー様、二人向かい合って椅子に座り、手を合わせます。
「ふふふ、それではいただきましょう」
「うん、いただきます!」
手早くナイフで肉を切り分け、口に運んでいく。幸せそうに食べる姿を見ると、作った甲斐があるものです。
私もマリー様が一口飲み込むのを待ってから、食事に取り掛かります。
肉を一口分に切り分け、熱いうちに口に放り込む。肉汁が口中に広がり、肉の中に詰まったうま味がハーモニーを奏でます。
本当に美味しいお肉です。
「美味しいね、このお肉。おかわりって、できる?」
あっという間に肉を食べ終えたマリー様が、催促します。
「もちろん出来ます……少々お待ちください」
コンロに火を入れ、フライパンを熱します。冷蔵庫から肉を取り出し、コショウを振りかけながら軽く叩いて下ごしらえをします。
ああ、言い忘れてました。約束の期日は明日でしたね。
「マリー様、明日、予定を入れてますか?」
「うん? 入れてないけど、何かあるの?」
「明日マーティさんが来ますので、セックスしてあげてください」
「分かった。セック…………へ?」
背を向けていますので、今、マリー様がどんな顔をしているか分かりませんが、多分口を○の形にして呆けているのでしょう。
「私の知り合いに頼んで、マーティさんに連絡を取りました。明日ならココに来れるらしいので、火傷を治せると思います」
「……覚えてくれていたんだ」
「私がマリー様のことで忘れることはありません」
これだけは断言して言えます。今でも目を瞑ればはっきり思い出せます。
マリー様の笑顔、泣き顔、困った顔、快感に揺れる顔、固く膨張した陰茎、通常時の、妙に可愛らしい陰茎、全部覚えています。
「はは、なんだか照れるな……でも、どうしてマーティさんとエッチしなきゃいけないの?」
「そこらへんは色々込み入った事情がありますので、私の口からは言えません。マーティさんに聞くのが一番ですが……」
少し、言葉を濁す。少々、罪悪感を感じますが、優しいマリー様はこれで納得してくれるのです。
「分かっているよ……聞くつもりはありません。どういう理由かは知らないけど、とりあえずマーティを愛せばいいんだね?」
私は首を縦に振って肯定しました。やれやれ、これで肩の荷が下りたということです。
ハッピーエンドというやつです。
けれども、このときの私には想像もしてませんでした。
マーティさんが、予想以上の美貌の持ち主で、予想以上の肉体を持つ女性だったとは。
おまけにマリー様に惚れてしまい、私が危機感を抱き始めるようになるとは。
このときの私には夢にも思いませんでした。
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2014-10-01T09:33:32+09:00
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2/95-97
https://w.atwiki.jp/majiiki/pages/87.html
チョコレートとマリー
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突然、想定外の事態に遭遇した場合、人間はどれだけの行動を取るだろうか?
しかもそれが、朝ベッドから起きてすぐの時間だ。
驚いて言葉を無くす、夢と思ってベッドに戻る、ベッドから飛び起きる、普段の行いを思い出して精神の安定を図る、まさに十人十色。
これらは全て、想定外だからこその反応だ。あらかじめ起こるとわかっていたら、驚くことなんて何もない。
「………あのー………サララさん? ……何をしているんでしょうか?」
そして僕、マリー・アレクサンドリアもまた、突然の想定外の事態に遭遇してしまった一人だ。
きっといつも通りの朝を迎えるはずだったんだ。いつも通りサララに起こされて、取り留めの無い会話をして、朝食を済ませる。
気分が乗ればサララとセックスをしたり、乗らなければ二人でテレビを見たり出かけたり。
二日に一回は家に来るマーティと玄関で問答を繰り返すサララを見て笑ったり、そのまま三人でベッドに……なんて日が始まると思っていた。眠る前までは。
けれども、僕のそんな思いも、目の前に立っているサララが裏切ってくれていた。それはもう見事に。
「何をしているのかと聞かれましたら、答えは一つしかございません。今日はバレンタインデーです。というわけで、私の愛を込めまして、朝一で渡したく思いまして……」
よどみなくスラスラと答弁してくれた。たまに、僕の見えないところでリハーサルでもしているのではないかと勘繰りたくなる。
「うん、サララの格好を見れば、大体想像が付いていたよ。ただね、僕の知っているバレンタインデーと、
サララの知っているバレンタインデーが違うかもしれないね」
「そうなのですか? ……もしかして、私の格好がどこか間違っていたのでしょうか?」
半裸のサララが、悲しそうに俯いてしまった。
もう一度言おう、半裸のサララだ。半裸の、文字通り半裸のサララだ。
下半身はちゃんとメイドさんが着てそうなフリルの付いたスカートを履いている。そこは普通だ。
しかし、問題は上半身だった。
サララは服を着ていないどころか、ブラジャーすら身に付けていなかったのだ。
本来ブラジャーがある部分には、黒っぽい茶色の何か……いわゆる、チョコレートが塗りたくられていた。
しかも、薄く延ばされて塗られている。おかげで、本来ブラジャーに守られている乳房は視線に晒され、チョコレートでは隠しきれない乳首が可愛らしく立ち上がっていた。
「でも、マリー様もこれを味わえば、きっと毎日食べたくなること請け合いです。さあ、どうぞ召し上がってください」
「いや、あのね……チョコレートって、もっと別の渡し方があると思うんだけど」
ずいっとサララは、ベッドに腰掛けている僕に近づく。ちょうど、目と鼻の先にサララの乳房が迫ってきた。
視界にいっぱいに広がるチョコレート、漂ってくる菓子の甘い匂いと女の子の甘い匂い、思わず吸いたくなる、可愛らしく勃起した乳首。
朝の生理現象も重なって、僕の陰茎は痛みを感じてしまうくらい硬く大きく盛っていた。
「吸ってくださらないのですか? 私のおっぱいはマリー様の舌に舐められたくて、熱くなっていますよ。このままではチョコレートを溶かしてしまいますから、お早く」
優しく僕の頭に回されるサララの腕。ゆっくりと近づいてくるサララの乳房とチョコレート。
「よろしければ、乳首も吸ってください。期待で硬く尖っていますので、カプカプしてくださって結構です。というか、いっぱいカミカミしてください」
あまりの露骨な表現に、僕の理性の糸が千切れた。定まらない思考で、目の前の女にむしゃぶりついた。
「あは……そんないきなりそこですか、ああ……うん、うん、くうう……そん、激しい、甘噛みはダメです…………」
周りの柔らかそうな乳房には目もくれず、中心の乳首に吸い付いた。
唇に含み、勢いよく吸いたてると、サララはビクッと身体を震わせた。僕の頭に添えられた両手に、少し力が入る。
口中を真空にする強さで一気に吸い出す。あまり強すぎると痛がるから、微妙な力強さで吸う。
あ、あ、あ、短くサララは喘いだ。唇の中の乳首は、弾力がはっきりわかる程に硬くなっていた。
「あうう、気持ちいいです、乳首が凄いです。乳首食べられちゃうです……あああ、もうダメ、狂いそう、もう、もう」
舌で乳首をコロコロと転がす。時には乳首を突いたり、時には乳輪だけを舌先で舐めたり、軽く舌をぐりぐり押し込んだり。
サララは両足を頼りなく震わせ、必死に僕に抱きすがっていた。サララの乳房に塗られていたチョコレートは、僕の涎とサララの汗で半分近く流れ落ちていた。
「んんん! んんん! ま、マリー様……クリを、私のクリトリスを捻ってください……それでイケる、凄くイケるんです! お願いします、マリー様!」
サララは涙を滝のように流して、僕に哀願してきた。特に意地悪するつもりはないので、サララの願いどおりイカせよう。
右手をサララのスカートに突っ込ませ、下着の中に指を潜らせる。濡れたタオルのようになっていた下着の感触が手の甲に伝わった。
熱くなっているサララの陰唇を指を使ってこじ開ける。それだけで堪らないのか、サララは腰を痙攣させ始めた。
「はぁ……はぁ、はぁぁ、はあ、腰震えます……ブルブル震える……」
素早く陰唇の頂点、クリトリスを探り当て、優しくクリトリスの皮を剥く。サララが何か反応を示すよりも早く、中指と薬指でクリトリスをしごいた。
コリコリっとちょっと強めにしごく。その間、ずっと乳首は攻め続ける。
「そう……そう、そう、そうです、それすっごいキク、ききます」
膣口から噴出す愛液は、指に絡みつくようにだんだん粘性を増していく。
サララは頬を紅潮させ、口から、目から、液体を垂れ流していた。既に、快感によって涙を拭うことも、涎を拭うこともできなくなっているようだった。
「あああ……もうダメ、本当にもう……」
止めを刺すため、軽く爪を立てるようにサララの陰核を引っかいた。おまけに、膣内のザラザラした部分を強く押し上げる。
「いいいいい!? おおおうぅぅ、イク、イクぅぅーーーーーー!!!!」
それが引き金になった。サララは一瞬、身体の動きを全て止めた後、服の上からでもはっきり分かるくらいに太ももをガクガクと痙攣させた。
痙攣して動く腰を押さえつけるため、無理やり中指を膣に挿入する。
くひぃぃ、気の抜けたような悲鳴をあげて、サララは大人しくなった。
動きが止まったうちに、クリトリスを捕まえて、親指でさらにしごきあげる。
「あぁぁぁあああぁぁああぁぁぁぁああ!!!!!」
見ていて可哀そうに思うくらい、切ない悲鳴を上げるサララ。
でもなんだかんだいって喜んでくれていると思うので、かまわず扱く、とにかく扱く。
「許して、許して! クリがイク!もうクリをイカせないで! クリがどんどんエロくなっ、イクぅぅ!!!」
涙と涎をダラダラ流して、僕に哀願してきた。なんてこった、とっても楽しいじゃないか。
オシッコのように潮を噴出すサララ。構わず、部屋中に響き渡るくらいに強く膣を中指でかき回し、クリトリスを親指で解す。
「……おほぉ……ほぉ………ふぇ……」
だんだんサララの哀願が少なくなり、意味を成さない悲鳴が増え始めた。
とりあえず、止めをしようか。そう思った僕は、中指の指の腹で強く膣を押し上げ、クリトリスをグリグリ潰した。
「――――――――――――――――――――!!?? がぁぁぁぁ!!!」
サララの体が絶頂に達し、肉体が快楽を開放する一瞬の時間。その瞬間、勢いよく寝室のドアが開け放たれた。
僕は驚いてドアに視線を向けると、そこには満面の笑みを浮かべたマーティが立っていた。
その胸には見覚えのある濃い茶色……胸に塗りたくられたチョコレートを見て、彼女の押しかけの意味がわかった。
「おっはよ~~~~!!! マリーさ~~ん! マーティのおっぱいチョコ、たっくさん食べてくださ~………い?」
「あああああああ――――――――――――――!!!!!!」
サララの絶頂の嬌声と、マーティの和やかな声が重なった。僕の視線と、マーティの視線が重なる。
瞬時に、マーティの笑みが凍りついた。もちろん、僕の顔も凍りつく。
「……もしかしなくても二番煎じですか?」
「……どう考えてもタイミング悪いです」
サララを覗いた二人の間に、かつてない気まずい空気が流れた。
サララは絶頂の余韻を全身で味わって震えていた。
2014-04-15T19:36:51+09:00
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2/7-24
https://w.atwiki.jp/majiiki/pages/86.html
痕の女性とマリー(後編)
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水道の蛇口を閉め忘れてしまったかのような雨が、連日降り続けていた。
窓に叩きつけられる水滴を、ぼ~っと眺めていると、後ろの方からドアが開く音がした。振り返らなくても、足音で誰かは分かっていた。
足音の人物が、あっちこっちに行ったり来たりを繰り返し、止まった。
「また雨を眺めているのか、マーティ……あと、服を着ろ、服を」
呼ばれて、振り返った。やっぱり、足音の人物はロベルダだった。
ロベルダは、私の隣に椅子を持ってくると、ドカッと荒々しい音をたてて座った。
私と同じように、窓枠に肘をついて窓に流れる水滴を眺める。次から次へと水滴が流れ落ちていき、次から次に新しい水滴が窓ガラスに降りそそぐ。
ヒヤリとした空気が、火傷痕が残る裸身をくすぐる。傷が塞がっても、やっぱりどこか違和感がある。
無機質な時計の音が、無言の部屋に流れる。カッ、カッ、カッ、規則正しく時を刻んでいた。
「カズマのことで、何か悩んでいるんじゃないか?」
静寂を破ったのは、ロベルダの方からだった。
「……よく分かったわね……私、そんなに顔に出てた?」
「出ていたよ、はっきりとね…………カズマがまた浮気したらしいな……いや、もう浮気ではないか……それが関係しているのか?」
私の方を見ることなく、窓ガラスに視線を向けたまま、尋ねてきた。
私は、首を縦に振ってから、質問に答えた。
「うん……ねえ、ロベルダ……ロベルダの言った通りだったわ。カズマ、愛しているのは私だけって言っていたのに……」
「だから言ったろ……あの男は口先だけだと」
「うん……口先だけだった」
「それで、マーティはどうしたいんだ?」
「どうしたいって?」
窓から視線を外して、私をじっと見つめてくる。その瞳には、優しさがあった。
「別れるのか……あいつと」
「…………分かんない。別れたいと思っているのか、いないのか、自分の気持ちが全然はっきりしないの」
「……決めるのはお前だ。私がどうこう口出しすることでもないし、するべきでもない。けれど、あいつはお前には相応しくないと思う。
恋愛には、そんなことは関係ないとお前は思っているかもしれんが、私は言わせて貰う。
カズマのやつは、お前が思っているようなやつじゃない。自らの才能に胡坐をかいている、怠け者だ」
「………………」
「性根も腐っている。知っているか、あいつはな、陰でお前とのセックスの感想をペラペラ他人に話すようなやつだぞ。
いや……なにより許せないのは、あいつがお前を愛していると公言していることだ」
「………………もう止めて」
「あいつがお前に何をしてくれた? お前が大切に保管していたマジックアイテムを平気で浮気相手に渡す。
お前の誕生日に、他の女と旅行に出かける。ご飯を作ってやれば、味が薄い、これは嫌いだとか怒鳴りつける」
「お願い、もう止めて」
「挙句の果てには、顔に、身体に、火傷を負った……たったそれだけで……たったそれだけで、別れるだと!
何がお互い距離を置こうだ! 何が気持ちを確かめ合おうだ! どれだけ……どれだけマーティの気持ちを踏みにじれば気が済むんだ!」
「もう止めて、ロベルダ!」
両手を耳に当てて、ロベルダの怒号から耳を塞ぐ。
はっと、気まずそうな、辛そうな表情を作って、ごめんと言ってくれた。
私はそれが嬉しかった。彼女が本当に、私を心配してくれていることを実感できたからだ。
そして再び、室内には静寂が訪れる。
「…………そういえば、あの剣、どうだった?」
空気を替えるつもりで、別の話題を切り出した。ただ適当に出てきた言葉だったけど、思っていたより不自然な話題でもなかった。
ロベルダも、この空気は居心地が悪かったのだと思う。積極的に話しに乗ってきた。
「マリーさんから貰ったアレか……はっきりいうと、素晴らしい剣だ」
「そんなに良いものだったの、アレ?」
私の驚嘆の声に、ロベルダは笑みを浮かべて、頷いた。
「至宝クラスに相応しい名剣だ……細身の剣なのに、大型の重量剣の一撃を食らっても傷一つ付かないし、それだけじゃない。
魔力を込めるとある程度、剣の幅と全長が変化するんだ。ちょうど、魔力の刃が作られるような感じだ」
「へえ……良かったじゃない」
「ああ、本当に素晴らしい剣だ」
そこで、ふと、言葉を止めたロベルダは辺りを見回した。
キョロキョロと、辺りの様子を探る姿に、私は不安を覚えた。
「ねえ、どうかしたの?」
しばらくの間、ロベルダは答えてくれなかった。いいかげん焦れてきた私は、ロベルダを問い詰めようとしたが、それより先に、ロベルダが口を開いた。
「…………なあ、マーティ」
真剣な表情で、私の目を見つめるロベルダ。私も背筋を正して、話を聞く体勢を作る。
「お前、元の綺麗な身体に戻りたいか?」
私は何も言わなかった。普通なら、当たり前だろって、怒鳴ってもいいくらいだけど、あんまりにもロベルダの表情が真剣だったから。
「…………戻りたいわ、元の火傷痕がない、綺麗な身体に戻りたい」
「……実はな、昨日マリーさんに会ったんだ……おっと、何も言うな、質問は最後まで話を聞いてからだ。
でな、そのときに、お前の身体のこと、話したんだ………怒らないでくれ」
「怒らないわ、話を続けて」
「それでな、お前の火傷痕を綺麗さっぱり消せるって言ってくれたんだ。だから私、お願いしたんだ……マリーさんに」
「……………条件はなに?」
驚いた表情で、私を見る。ちょっと可愛かった。
「べつに、それくらいの裏くらいは読めるわ。ただでしてくれるなんて、そんな都合のいい話だったら、
ここまで勿体ぶった言い方はしないでしょうしね。それくらい、分かっているつもりよ」
「……マーティは時々びっくりするくらい鋭いな」
「鋭いわけじゃないわ、ちょっと考えればすぐに分かることよ」
たしかにそうだな、ええ、そうよ。どちらからともなく、笑みがこぼれた。
ロベルダが手を伸ばしてきた。私は黙ってその手の行動を見守る。
ロベルダの手が私の乳房を掴む……場所は乳房の火傷痕。重度の火傷で、見る影もなくなった乳房らしき脂肪を、ゆっくりと揉む。
「……硬いな……昔触ったときとは全然違う」
「硬くて当然よ。火傷で表面がこんがりローストされたんですもの」
そこで会話が途切れた。規則正しい時計の秒針の奏でる音と、私とロベルダの息遣い、窓の向こうの雨音だけが静寂を支配していた。
その静寂を破ったのは、さっきと同じくロベルダの方からだった。
「抱きたいそうだ……お前を」
「………………だいたい想像は付いていたわ。わかった、火傷が治ったら一晩マリーさんの女になるわ」
「そう、思うだろうけど、少し違う」
ロベルダは椅子から立ち上がって、自分のベッドに向かっていく。何をするのだろう?
疑問はすぐに解消された。私の方に振り返ったとき、その両手にはシーツが握られていた。
そのシーツを、無言のまま私の肩にかける。私の裸が白いシーツに隠された。シーツを掴んで、さらに身体を隠す。
それを見て満足したのか、彼女はまたドカっと音をたてて椅子に座った。
「……ありがとう。思っていたより身体が冷えていたみたいね、気づかなかった」
「どういたしまして……それでな、お前が思っていることとは少し違う。抱かれるという部分は合っている。だが、火傷が治ったら、の部分が違う」
「………まさか、この姿を抱きたいとか?」
私が冗談半分に手を振る。しかし彼女は真剣な表情を崩さなかった。
「そのまさか……さ。先に言っておくが、マリーさんは身体障害がある人にしか欲情しないとか、そういうのが好きな性癖ではないぞ」
「じゃあ、どうして? こんな姿を抱きたいなんて、普通の感性では思わないでしょう」
「……マリーさん曰く、火傷を負ってからのマーティの初めてが欲しい、とのことだ。もし受けるつもりなら、この住所を尋ねろ。そこがマリーさんの自宅だ」
そう言って、折りたたまれた紙を私に差し出してきた。私は無言で、その紙を受け取って、中を見る。中には地図と住所が書かれてあった。
それだけを伝えにきたのだろう。ロベルダは颯爽と椅子から立ち上がって、ドアへと歩き出す。
姿勢よく歩く姿を見ていると、そのロベルダが、ドアノブを掴んだ瞬間、動きが止まった。
こちらへ振り返ることもなく、私が何か話しかけるわけでもない。不自然で、不思議な時間が流れた。
そして、このときも、静寂を破ったのはロベルダだった。
「……………すまない………こんな方法しか見つけられなくて……」
「……前にも話したけど、私は貴方を恨んでいないわ。あれは仕方ない事故だったのよ。あのダンジョン探求から一カ月過ぎたのに、あなたはまだそれを言うの?」
「…………………」
「マリーさんは、貴女が使っていた剣を壊してしまった。そのかわりに、あの剣を譲ってくれた。今回も同じ……私の身体の見返りに、私を抱く。それだけの話よ」
「…………………」
「ロベルダ……ありがとう。私にチャンスを与えてくれて、本当にありがとう。私は貴女という親友を持てたことを、心から誇りに思っているわ」
「…………………それはこっちの台詞だ。私こそ礼を言おう、マーティ。私も、お前という親友を持てたことを、心から誇りを感じている」
それっきり、ロベルダは無言で部屋を出て行った。私はドアに向かって頭を下げた。心からの友愛と、感謝を込めて。
マリーさんの自宅に向かった私を待ち受けていたのは、一人の少女だった。
マリーさんではない。かなりの美少女といってもいい女の子だった。
名前を尋ねると、サララです、と愛らしい声で答えてくれた。次いで、あなたがマーティさんですね、と聞かれた。
「ええ、そうよ。私のことはマリーさんから聞いているの?」
「はい、事情は全て聞いております。この度、私が貴女の世話を仰せつかりました。それではこちらへ……食事は済ませましたか?」
私が首を縦に振ると、サララちゃんはニッコリと微笑んで私の手を引いた。逆らわずに、私も後を付いていく。
行き先を尋ねると、お風呂場です、と返事が返ってきた。どうやらさっそく抱かれるみたいだ。
「マーティさん、今回は私が貴女の身体を洗いますので、今のうちに覚悟を決めておいてください」
「……サララちゃんが私の身体を洗うの?」
「はい。自分では洗いにくいところも、全部私が洗います。残念ですが、拒否権はありませんので諦めてください」
「……分かったわ……全部任せるけど、見ても気を悪くしないでね」
返事は返ってこなかった。
サララちゃんが、大きなドアを横開きに開いて、中に入る。手を引かれている私も中に入る。
招かれたお風呂場は、とっても豪華で、広かった。
その後、マリーさんの寝室の前で別れるまで、けっしてサララちゃんは何も言わなかった。ずっと、自然体のまま、私の身体を優しく洗ってくれた。
それが私には嬉しかった。取り繕うような言葉も、無理に見ないようにする仕草も、けっこう辛いものがあったからだ。
そのかわり、サララちゃんは普通の洗い方をしてくれなかった。具体的に、手つきが怪しいとか、執拗に一部分だけを繰り返し洗うとか、そんなの。
不覚にも、お風呂から出るまで、3回程アクメを味わってしまった。カズマとしたときも、こんなに感じたことはなかったのに。
快感で火照った頭で、裸のままサララちゃんに手を引かれ、気づいたときには寝室に到着していた。
「それではマーティさん、中にはマリー様がいらっしゃいますので、後はマリー様に……これから、女の喜びを嫌というほど味わうと思いますので、ご覚悟を……」
その言葉を残して、サララちゃんはどこかに行ってしまった。
大きく、深呼吸してから、私は眼前の寝室のドアを開けた。この後、サララちゃんの言葉どおり、私は徹底的に女の喜びを味わうことになった。
あっという間にベッドに引き込まれると、そのまま頭を抱きしめられた。二の句を上げる暇も無く、私の唇はマリーさんの唇に塞がれた。
目を白黒させていると、素早い動きで私の上に覆いかぶさってくる。といっても、私の方が身長が高いから、乗っかってるという表現が正しい。
互いの素肌が擦れあい、ほんのりとした快感を覚えた。
「んん……ん~………んんん…ん、ん、んん……ん…」
マリーさんの舌が、唇の裏側をなぞっていく。くすぐったく感じた私は、なぞられる位置を変えようと自分の舌を伸ばす。
グイグイと舌に力を込めて押しても、マリーさんはビクともしなかった。
私の抗議もなんのその、マイペースに舌による愛撫を続けられる。
上あごの歯茎を、ねちっこく舌が這い回る。くちゃ、くちゃっと頭の中まで舐め回されているような感覚。
(うわ……こんなえっちぃキスするんだ……なんだろ、頭がぼ~っとして、身体が火照ってきちゃう)
次に、下あごの歯茎もねちっこく舌が這い回る。今度は口全体が痺れてきて、上手く口が動かせなくなってきた。
機械的にマリーさんの舌を追い掛け回していると、不意に唇が離された。ほんの僅かに、銀色の線が私の唇と、マリーさんの唇を繋いで、途切れた。
「んん~………んちゅ……ん、はぁ~……はぁ~……」
どうして? なんで止めるの? 無意識のうちにそんな視線を向けていたのかもしれない。
その視線に返されたのは、赤く火照った頬が美しい、穏やかな笑みだった。
伸ばされたマリーさんの手が、私の頬を擦り、細い親指が、唇をなぞる。
「マーティ……これから僕が言うことを、よく聞いてね。」
唇をなぞる手が下ろされる。首筋を下り、火傷痕で硬くささくれてしまった乳房に辿り着くと、円を描くように優しく揉まれる。
「これから僕は貴女を抱くよ……けど、無理強いってのは好きじゃないの。僕って、お互いが望み、望まれるセックスの方が好きなんだ」
空いている片方の手がさらに下に伸ばされる。おへそを軽く指でほじくられ、恥毛をこしょこしょ引っ張られ、最後に陰唇に到達した。
触れるか触れないかの、くすぐったいような焦れったいような、陰唇への愛撫。
(う~~……そんな優しいのしないでよ……くすぐったくて笑いそうよ…)
「だから先に聞いておくけど、どうする? 気になるなら、先に火傷痕治してからにする? それとも、全部終わってから治して欲しい?
選ぶのは君だよ、どっちを選んでも、ちゃんと治してあげるから好きな方を選んで」
一瞬、何を言われたのか分からなかった……そんな私を、マリーさんは笑った。
もちろん、私は先に火傷痕を治してもらった。どうせ見られるなら、綺麗な方がいいと思ったから。
「……言い忘れてましたけど、今のうちに話しておくことがあるんですけど……」
「なに? 話しても支障はないから、好きに話していいよ、すぐ痕は消えるから」
「私って、不感症気味なの……カズマとしたときも、5回に1回しか……」
「そうなんだ……それじゃ、ゆっくりしようか。優しくするから、今はただ僕に任せて」
それから10分。火傷痕は完全に消された。その後に改めて、営みを再開した。
のりをかき混ぜるような、水音が部屋に響く。ねちゃ、ぴちゃ、と粘着物と粘着物を混ぜ合わせるような音。水を下品にすする音と、きしむベッド。
それら全てが私の心を狂わせ、酔わせ、淫らにしていく。
「はう……ちゅうう~~、んちゅちゅ、じゅるるるる……はぁああ……んんじゅる」
(ふえ~……凄いよ……キスってこんなに気持ちよかったんだ……えっちぃ音、
頭の中まで吸われているみたい~……あ、また舌吸って…るうぅぅ……痺れる、頭痺れるよう……)
いったい、何時間キスをされているのだろう。それとも、実際は数分くらいしかキスしていないのかもしれない。
かつての瑞々しい柔肌に戻った乳房を、マリーさんが揉みしだく。右に左に引っ張られ、押し込まれ、擦られる。
余分な力は全く入っていない。私を感じさせるための、気持ちよくさせるためだけの優しい愛撫。
急がず、焦らさず、絶えず送られてくる快感のパルスに、私の頭は完全にのぼせ上がっていた。
初めの頃に軽く触られてから、全く手が付けられていない秘所の周辺は、愛液で水浸しになっていた。
太ももを擦り合わせるだけで、気の遠くなるような快感が体中を溶かしていく。
もう私の準備はとっくに出来ているのに、マリーさんは一向に陰唇に触れようとはしなかった。
私が何度も腰を擦り付けて催促しようとしても、その度にスルっと逃げられる。仕舞いには体中が快感で痺れて、力が入らなくなってくる。
時々、思い出したように硬く膨張した陰茎を膣口にキスさせてくる。それがまた、たまらない。
「ちゅるる、ちゅうう、ちゅぱ……おいしい、凄く……じゅるるる~……マリーさんの唾、美味しい……飲ませて……もっと欲しい……ちゅ、ちゅ、ちゅ」
(美味しいよ~美味しいよ~マリーさんの涎……最高だよ……こんな美味しいものがあったんだ~……もう頭バカになる……
バカになってく……あ、涎零れちゃう……もっと舌を伸ばして吸わなきゃ……もっと飲まして、もっと出して……)
さらにマリーさんの唾液を搾り取ろうと舌を伸ばすが、それより早くマリーさんが顔を離した。
お互いの口元は互いの涎でベトベトになっていた。それどころか、胸のあたりまで大量に流れ落ちていた。
「もう大分バカになってきてるね……それじゃあ、今度はおっぱいを弄ってあげる。おっぱいだけで弾けちゃうと思うから、いっぱい感じてね」
「ふぇぇ……やあ、ダメ、止めないで、もっといっぱいキス、キスして……」
(どうして止めちゃうの、止めないで、もっと涎飲まして、飲みたいのに…………あれ? 今、マリーさん何を言ったの? おっぱいがどうとか……おっぱいをどうするの……)
マリーさんの頭を抱きしめて、キスを続けることはできなくなっていた。快感で溶かされた私の身体は、私の意志では指一本動かすのが至難の状態だったからだ。
ドロドロに蕩けた頭で、じっとマリーさんの動きを追う。マリーさんの両手が、乳房の頂点……小指ぐらいの大きさに肥大した乳首を優しく摘み。
「それじゃ、今度はおっぱいで物事考えてね」
ぎゅりり、私の耳にはそう聞こえた。それくらいの強さで、二つの乳首が捻り、伸ばされ、コリコリと潰された。
瞬間、私の脳裏は閃光で真っ白になった。次いで、獣のような咆哮を上げた。
「んぉぉぉおおおおおおおおーーーーーーーーー!!!!」
(んああああーーーーーー!!!! イクぅ! イクぅ! 乳首イクーー!! 白いのがいっぱいーーーー!!)
マリーさんの顔を包めるくらい、力強く乳首が引っ張られる。普段なら激痛を訴えるけど、今の私にはそれすらも快感に変換された。
16 :痕の女性とマリー:2008/02/13(水) 21:00:55 ID:lcdHdwmJ
「あああああああ!!! あああああああああ!!! あああああああああ!!!」
(伸びるーー!! 乳首伸びちゃうよーー!! 伸びてイカされるぅーーー!!!
でも気持ちいい、気持ちよすぎるぅううう!!! もっと引っ張ってーーー!!!)
乳首をコリコリ潰される。快感の悲鳴を上げていてもお構いなしだ。
「くひいーー!! いいいいーーーー!!! うああーーーー!!!!」
(乳首ダメ! 乳首止めて! 乳首がイク! 乳首が、乳首が! ダメなの、もうダメなの、これ以上はダメなの!
このままじゃ、乳首狂いになっちゃう。乳首クリクリされただけでイクようになっちゃう!!)
執拗に、ここでもねちっこく乳首を愛撫される。腰が勝手に痙攣して跳ねる。
膣口からは間欠泉のように愛液を噴出し、太ももどころか膝の辺りまで愛液を飛ばす。
もう、キスのことは頭に無かった。あるのは、乳首から広がる凶暴な快楽だけだった。
「さて……乳首で頭がいっぱいになったところで、メインディッシュといくかな」
そう言って、乳首攻めが終わったけど、私はそれを喜ぶ余裕はなかった。
途切れないアクメの嵐に、私の頭は完全にバカになっていた。
ダラリと舌を垂らし、硬く尖った乳首を突き出すだけでなく、愛撫が途切れた後も、膣口からは壊れた蛇口のように愛液を垂れ流していた。
(白いの~~………いっぱ~~~い………気持ち~~の………おまたバカになっちゃった………おっぱいバカになっちゃった………)
「最後に聞いておくけど、いいの? 入れちゃったら、外に出すとかしないよ」
マリーさんの固く膨張した陰茎を、膣口にあてがわれる。それだけでゾワっと背筋が総毛立った。
中から噴水のように愛液を噴出したのが実感できる。ビクビク腰が痙攣して、いつまで経っても治まる気配をみせない。
「うふぇ~………へぇ~………へぇ~………」
(カズマなんかより全然気持ちいいよ……カズマって下手くそだったんだ。5回に1回しかイケないし、私が嫌っていっても無理やりやらされたこともあったっけ)
「それにしてもマーティって、随分感度いいみたいだね。不感症とか冗談でしょ、これで不感症だと思ったのなら、カズマって男は下手くそだね」
くちゃくちゃ音を立てて、亀頭と膣口がキスしあう。その度にお腹の奥が疼き、どんどん欲求が高まっていく。
(入れるの~~、入れるちゃうの~~? ダメだよ、ダメだよ、今されたら戻ってこれなくなる………お口食べられて
………おっぱい食べられて………そこまで食べられたら……もうダメだよ………でも、でも、ダメだけど………)
既に逆らう気持ちはまったくなかった。カズマとのセックスでは到底与えられなかった快楽。
それ以上の優しくも激しい愛撫によって、私の身体は私の物ではなくなっていた。
快感で鈍った四肢に、精一杯力を込める。両手を足の裏に回し、両足を自分の胸にくっつける。
異性を誘惑するための、セックスを行うための、子種を貰うための、女を見せ付ける姿勢。
「入れてください……奥までつっこんで……かき回して……」
(おちんちん……欲しいよ~~……)
「お~け~」
マリーさんはにこやかに笑って、陰茎の向きを合わせた。
ずぶっと擬音が頭に響いた。視線を下げると、亀頭が私の膣口に入っていた。
「~~!! おっ…、きいい……うああ……来た、来た……」
ゆっくり、ゆっくり、陰茎が私の体内に沈没していく。陰茎が1cm見えなくなるたび、私の脳裏に火花が散る。
「おおおう………太い……太すぎるぅ……これキクぅぅぅぅ」
そういえば、まだ私はマリーさんのおちんちんを見ていなかった。
だから気づけなかった。
想像でカズマと同じくらいのサイズだと勝手に思い込んでいたものは、実際は20cmオーバーで、子供の腕くらいもある特大級だったことに。
「~~~~!!!??? くうううう~~~、ううう~~~な、なにこれ!? これ、これ~~~!!」
けれども、陰茎を半ばあたりまで押し込んだあたりで、それだけでないことを身をもって思い知った。
どうなっているのか、僅かに表面が柔らかいヤスリのようになっていたのだ。止めとばかりに、女の拳ほどある亀頭がゴリゴリ膣壁を削り、押し進む。
敏感に発情された膣道が、はっきりとその感触を伝えてくる。一度味わってしまえばもう他のものでは満足できなくなる、女殺しの一物だった。
「~~~~!!!! いぐぅぅ!!!! いっ……ぐぅうううーーー!!!」
その亀頭の先端が、私の子宮を押しつぶしたとき、サララちゃんが言った言葉の本当に意味を知ることになった。
19 :痕の女性とマリー:2008/02/13(水) 21:04:35 ID:lcdHdwmJ
「んおおお!! おおおお!! おおおお!!うううう!! ああああああ!!!」
(イク! イク! またイク! イク! ダメ! ダメなの! 止めて! 止めて! もうイキたくない!!! イキたくない!!
うおおお!! またイク!! おほおお!! これ嫌!! 嫌なの!! 白く!! 白くなって!! イク!! イクぅぅ!)
不規則に陰茎が私の女を刺激していく。浅く膣の入り口を突かれ、かと思ったら最奥を勢いよく突かれる。
時には回すような回転、時には子宮口に擦り付けるようなピストン、時には恥骨を擦り付けて、クリトリスを押し潰される。
「~~~~~!!!! ~~~~~~~!!!! ~~~~~~!!!!」
(降りれない! 降りれないよ! イクの終わらない!! イッタのに! イッテるのに! またイク!!
イクのにイク!! アクメ!! アクメ漬け!! アクメ漬けにされる~~!!)
一度絶頂を迎えるたび、膣道が、クリトリスが、子宮が、私の全てが作り変えられていく。もう声も出ない。
(今出されたら……射精されたら………これ無しで生きていけなくなる!)
「うう、もう、出る、出すからね、全部受け止めて……んん!」
「―――!! まっ、待って………今……今は……」
瞬間、子宮が精液で焼かれた。
最奥で射精されている間隔を最後に、私の意識は消えていった。
目の前に切り分けられた美味しそうなチェリーパイが置かれた。フルーツの甘い匂いが食欲をくすぐる。
思わずお腹が鳴った。チラっと視線を上げると、何が楽しいのか、凄い良い笑顔を向けるマーティ、サララと目が合った。
「どうぞ……マーティさんと二人で作ったです」
「食べてみて、けっこう自信があるんだ」
催促されたのでフォークを手に取る。軽くパイに突き刺すと、微かな抵抗が手に伝わり、貫通する。
それを口元に持っていく。その動向の一つ一つを観察する女性が二人。
なんて食べにくい食事なんだ……お願いだからこっちに視線を向けないでくれ。
10秒、10秒横を向いてくれるだけでいい。その時間があればこのチェリーパイを美味しく頂けるのだ。
しかし、そんな僕の思いも、目の前の麗しい美女と美少女の前では無駄だった。
仕方なく、モルモットよろしくチェリーパイを齧る。
表面のサクサクとした歯ごたえと、中のしっとりとした歯ごたえ、絶妙な焼き加減だ。砂糖の人工的な甘みではなく、果実の甘みが最大限に生かされていた。
美味い……本当に美味い。しかも美人、美少女が作ってくれたからさらに美味く感じる。
「美味しいよ、サララ、マーティ」
「そうですか……喜んでくれて何よりです」
「やったね、サララちゃん! お菓子作りは大成功だね」
サララとマーティは手を合わせて喜んでくれた。ちなみに、二人はしっかり服を着ている。
あの火傷痕が夢だったかのように、若々しく瑞々しい顔が笑顔を形作っていた。
……そういえば、マーティって恋人いるんだっけ。ということはこれって浮気ってことになるんだよね。
「マーティってさ、恋人っていないの?」
その言葉に、合わせていた手を離して、僕の方に向き直った。
「……ん~、今はいない……かな? はっきりと別れるとは言ってないけど、もう私の中じゃ終わっていることだよ」
「どれくらい長い付き合いだったんです?」
サララも恋話に興味を引かれたのか、会話に参加してきた。
「幼馴染だから、かなり長いわ。かれこれ17年くらいかそこらね。どっちがいつまでお漏らししてたかも知っているし、お互いの事なら大抵知ってるけど」
「幼馴染か……なんて燃えるシチュエーションだ」
「嫌だ、そんないいもんじゃありませんよ」
マーティはパタパタと手を振って否定した。
「酷かったわよ~。私、今だから言えるけど、あいつと付き合ってあんまり笑顔出せなくなったもの」
「仲悪かったんですか?」
「悪くはなかったけど、浮気がね……。幼馴染の私から判断しても、カズマって美男だから、何も知らない子は大抵カズマに惚れちゃうのよ。そんで、カズマはホイホイとその女の子と浮気しちゃうの」
「別れようとは考えなかったんですか?」
サララが、ずいっと顔を近づけて質問する。なんかサララの性格が変わっているような気がするが、サララも女の子ということだろう。
僕が何も言わなくても勝手に話を進めていくので、黙って客観することにした。
「私に見付かったら泣いて謝られて、押し倒されて有耶無耶がパターン化してたから……私も、土下座までして謝るから、許してやろうかなって気になって」
「それがズルズルと、続いてきてしまったわけですか」
「そうなのよ~、今にして思えば、なんであんな男と付き合っていたんだろ? エンジェル内ではそれなりの実力者で、外見も最高レベルだけど、
中身が最悪なのにね。エッチだって、自分勝手だし。あいつってね、私が拒否しても無理やり抱いてきたりするのよ、信じられる? ほんと、マリーさんのテクニックを見習って欲しいくらいですよ」
「……それでは、マリー様のテクニックを伝授してもらえばいいじゃないですか。もう、ここに来る必要はないのですから」
「うえ……そうよね……そうゆう話だったんだよね……うん、そうだった」
途端、笑顔がみるみる萎んだ。その様子を、サララは冷ややかに見ていた。
21 :痕の女性とマリー:2008/02/13(水) 21:29:47 ID:lcdHdwmJ
……あれ? さっきまであんなに仲良さげだったのに、何でいきなり剣呑な雰囲気になっているの?
「それでは、カズマさんを呼んでください。私がマリー様の相手をして、その様子を実際に見てもらいましょう。カズマさんの相手は貴女がやっていただく形で、リアルタイムの訓練です」
その言葉に、ますます顔色を悪くしていく。その様子をさらに冷ややかにみるサララ。
「………マリーさんは………マリーさんはどう思いますか!? もう私の身体は嫌ですか
飽きちゃいましたか? 私、いっぱい奉仕しますから、また抱いてくれますか!?」
「却下です、無効です、取り下げです。マリー様の性欲解消は性欲奴隷である私の使命であり、生き甲斐です。
一晩抱かれただけの女が何を言うかと思えば……」
「ぐぐぐ……それを言われると……で、でも私にはおっぱいがあるもん! サララちゃんなんて足元に及ばない
ダイナマイトおっぱいだもん! その貧相なおっぱいじゃ、挟むことなんて、夢のまた夢でしょ」
服の上から、自らの胸を上に下に、左に右にと引っ張るマーティ。まん丸で、大きくて柔らかそうなおっぱいが、ぐにゅぐにゅと変形するのは見ていて面白かった。
マーティのフリーダムな胸を見て、サララは悔しそうに自分の胸に手を当てていた。
サララ……君のおっぱいは決して小さくない。相手が悪すぎただけなんだよ。
「し、しかし、おっぱいだけでは性処理奴隷は務まりません! イマラチオでイクことも、アナルでイクことも、精液の熱でイクことも出来ない貴女には無理な話です!」
「できるもん! お口だって、おっぱいだって、お尻だって、全部頑張るもん! すぐにそうなるから、私もいいでしょ!」
「ダメです、絶対ダメです! それらができたとしても、貴女には無理です。
それらは最低レベル……私クラスになるならば、スパンキングだけでイケるようにならなければ話になりません!」
「そんなの楽勝だよ! マリーさんが望むなら野外でも、露出でも、スカトロでも、ドンと来い! マリーさんの子供を孕んでもいいと思っているわ!」
「なんて羨ましいことを言いやがりますか、この女は! その言葉は、マリー様の体臭でイケるようになってから言うです!」
つい数分前の和やかな空気はそこに無かった。あるのは殺伐とした空気と、喧しい女の罵詈雑言の嵐だけだった。
ていうか、ほんとう、そういうことは、本人がいないとこで話してよ……。
皿に残っているチェリーパイを一口食べる。やっぱり美味しかった。
早朝、寝不足の頭でベッドから起きた私を待っていたのは、一通の封筒だった。
今頃、マーティはあの人に抱かれて笑っているだろうか。それとも涙を押し殺しているだろうか。
それだけを一晩中考えて、ろくに眠れなかった頭が、枕元に置かれた封筒の差出人を見て、一瞬で覚醒した。
転送魔術……おそらく、深夜に悶々としてうなされていた私の枕元に転送したのだろう。
半ば、破り捨てる勢いで中身を取り出し、一字一句舐めるように目を通す。中には、3枚の手紙が入っていた。
一文字一句読み進んでいくごとに、手紙を掴む両手が震えていく。
手紙には色々なことが書いてあった。
一枚目には、マリーさんの家に住んでいるサララという少女のこと、お風呂場で起きた人に話せないこと、マリーさんとの一夜のこと。
そして、火傷痕を全部治してもらえたこと。
二枚目には、火傷を負ったときの気持ち、傍にいたのに怪我をしなかった私への感情、それ以上の私への友愛の感情、
カズマと別れたときの気持ち、それがどれだけ辛かったということ。
三枚目には、小さく一文が書かれてあるだけだった。
私に対する感謝の言葉と、カズマへの完全な決別、その二つだけだった。
「………そうか、火傷は治してもらえたか……そうか、そうか…………」
最後の一文字を読み終えたとき、私は泣いた。止めようと考えるよりも先に、滝のように涙が零れ、手紙に落ちていく。
視界が涙で滲み、文字が涙で滲み、思考が涙で滲んでいく。けれども、なぜかそれが心地よく思えた。
私はしばらく泣いた。
自分のベッドのシーツで顔を隠して、力いっぱい泣き声を上げた。
その後、ようやく私が泣き止んだとき、既にお昼を過ぎていた。
「お早う~、マーティいるか?」
自室で手紙を書いていた私を訪ねてきたのは、いつもよりラフな格好をしたカズマだった。
私とマーティは同室なので、マーティの客は必然と私の客になる。
書いていた手紙を切り上げて、カズマの方に向き直る。カズマは辺りをキョロキョロと見回していたが、私と目が合う口を開いた。
「なあ、マーティいる? 昼過ぎ来たとき誰もいなかったから、いつも行ってる魔法ショップも探してみたけど、マーティが見付からないんだ。何か知らない?」
昼過ぎか……ちょうど私が買い物に出ていたときだから、運悪くすれ違いになったのか。
本来、マーティがカズマに言わなければならない話なのだが、聞かれてしまっては話さない訳にはいくまい。
カズマの疑問に答えることにした。これを聞いたカズマはどんな顔をするか見たいわけではない、決してない。
「何だ、マーティを探しているのか? マーティだったら今頃、想い人の腕の中で甘えていることだろう」
「………………………………はあ?」
ビシっと音を立てて、カズマは硬直した。おお、面白いリアクションだ。
固まっているカズマを放って、作業を再開する。書きたいことが多すぎて、なかなか書きたいことが決まらない……迷う。
「………………え、え、えっと、待て、待て! ちょっと待て! 今なんて言った? 俺の聞き間違いでなけりゃ、マーティは他の男に抱かれているって聞こえたんだが……」
5分近く固まっていた石像が息を吹き返した。マシンガンのごとく言葉を並べてくるが、動揺しているのが丸分かりだった。
「聞き間違いではないぞ、お前が言ったとおりだ。マーティは想い人に抱かれて幸せを噛み締めているだろうな」
「いやいやいやいや、それがおかしい! なんで、なぜに、ホワイ!?」
「……? なにか変なところがあるのか? 女の子が、惚れている男に抱かれるという行為は、ごく自然なことだと私は思うのだが」
「そこがおかしいんだ! 惚れている相手って俺のことだろ!? マーティは俺の恋人、俺の恋人はマーティ、そうだろ!?」
顔が真っ赤になったり、青ざめたり、絶えず変化しているカズマの顔色は面白いものだ。見ていて笑いがこみ上げてくる。
それにしても、カズマはまだマーティのことを恋人だと思っているのか? だったら、早いうちに誤解を解いておかなくてはいかんな。
24 :痕の女性とマリー:2008/02/13(水) 21:36:04 ID:lcdHdwmJ
興奮するカズマを宥めながら、私は訂正を入れる。
「それは違うぞ……マーティはお前のこと、もう恋人とは思っていないぞ」
「………………………………」
今度は言葉を無くしてしまった。よかった、これ以上騒がれたら面倒だ。今のうちに全部話してしまおう。
「お前、何度も浮気を繰り返していただろ? けっこう前から、愛想を尽かされているぞ」
「………で、でも……俺が謝ったとき、許してくれた……」
「だから愛想を尽かしていると言っただろ。お前が浮気しようが、他の女とセックスしようが、マーティにとってはどうでも良かったのだよ」
「………………………………」
「謝る度にエッチして誤魔化していたらしいが、生憎と、しっかりポイントはマイナスされているぞ。そこの机を見てみれば分かる」
数枚の写真が貼られているマーティの机を指差す。カズマは指差された方に首を曲げた。
「ある時期から、二人で映っている写真が一枚も無いはずだ。ちょうどその辺りからだ、お前への愛情が薄れていってると私に愚痴をこぼし始めたのは」
「………………………………」
完全に言葉を無くしたカズマは、白い頬をさらに白くして、立ち尽くしていた。
そして、ふらふらと身体を揺らしながら、部屋を出て行った。
「何をショックを受けているのやら……自業自得だろうに」
カズマの様子に呆れてから、私は作業を再び再開した。
書いては消し、書いては消す。その工程によって、何枚も何枚も白い紙は丸められて捨てられる。
結局、50枚の紙を台無しにしたが、なんとか納得のゆく物を書けた。
硬く凝った肩を回して、筋肉を解す。次いで、椅子から立ち上がって腰を捻る。ものすごい音が鳴った。
たった今書き記した手紙を、買ってきた可愛いキャラクターが描かれた便箋に入れ、それをマーティの枕元に置く。
それらの作業が終わると、今度は散らかした紙くずを片付ける。全ての作業を終えたとき、太陽は沈んでいた。
「お腹も減ったし、何か食べに行こうかな……マーティも誘ってみようか」
もしかしたら、想い人と一緒にいることを望むかもしれないが、構わない。
久しぶりに、浴びるだけお酒が飲みたくなった私は、財布を掴んで部屋を出た。
2014-04-15T19:35:02+09:00
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https://w.atwiki.jp/majiiki/pages/85.html
今日の一時間目は自習だった。
といっても現国担当の山田教諭がいなかったわけではない。
授業を行える状態ではなかったのだ。
必然的に自習、ということにはなったが、まじめに現国の教科書を開いている生徒は誰もいなかった。
山田佐枝子は数年前に大学を卒業し教師になったばかりの女性だ。
高校時代に親友がいじめを苦に自殺をした経験から、自らが教師となり、そのようなことを二度と起こさないようにしようと、進路を教育学部にきめた。
親友を失った悲しみに暮れる佐枝子に、慰めと目標を示してくれたのは同じ映研の先輩だった。いつしか恋愛感情が二人の間に芽生えたが、その後、先輩の卒業と共に別れてしまった。
既に人生の目標の決まっていた佐枝子は勉学に励み、国立大学進学に成功。大学に入って1人の男と付き合うが相手の浮気が原因ですぐに別れることになった。
彼氏と別れた佐枝子は、残りの大学生活を教師になるという目標のために費やし、見事に教員免許を取得し自らの目標を達成、この学校に赴任してきたのだ。
山田佐枝子は実用性を意識し、タイトスカートではなく動きやすいスラックスを選ぶような女性であったが、今、佐枝子の置かれている現状にはあまり関係なかった。
なぜならば、どちらを履いていようと教室に入った時点で脱がされてしまっているので関係ないし、スラックスは無造作に教卓の下に捨てられて、持ち主の汁まみれになっていたからだ。
「ああ……またイクぅ……あっ、あああっ!!」
教卓の上に仰向けに寝かされ、股を大きく開いたはしたない格好で、身体を震わせながら場違いな嬌声をあげ、何度目かの絶頂を迎える佐枝子。
始業のチャイムがなる前までは理知的な光を浮かべていた瞳は快楽で澱み、引き締まった口元もだらしなく開き、涎が漏れていた。
上半身は女性用のスーツを着たままで、下半身だけを露出した状態で犯され続けた佐枝子は、既に数えられないほどの快楽の波に飲み込まれ、意識はおぼろだった。
身体の感覚は溶け去り、ただただ送られてくる強烈な快楽に脳を焼かれ、身体を反応させることしか今の佐枝子にはできなかった。
教師である自分が生徒に、しかも授業中の教室で犯され達するという行為の異常性がより佐枝子の快楽を強くし、自らが掲げた崇高な目的すらも背徳感となり、背筋を昇る快楽の引き金でしかなくなっていた。
佐枝子が焦点の合わない眼をあらぬほうへ向け、気絶すると、佐枝子を犯していた生徒———ハルオは佐枝子の恥部から肉棒を引き抜き、佐枝子との行為中も離さず操作していた携帯電話をいじる。
「あんっ!」
「あっ、あっ」
「まだいやぁ」
「きちゃうっ、きちゃうのぉ」
教室中から嬌声が上がる。クラスの女生徒の秘所につけられたローターが、携帯電話から送られた電波に忠実に従い、より激しく動き出したからだ。
ローターを付けられた女生徒達は突然訪れた強い刺激に必死に耐える。だが、担任教諭の淫らな交わりを見せ付けられ興奮した女生徒の何人かは達してしまったようだった。
佐和子の痴態を一番前の席で見ていた明日香も、すでに我慢の限界だった。敏感な突起をローターで刺激されながら、眼と鼻の先で最高の快楽を享受する担任を見せられる。
そんな生殺し状態が続いた挙句に今までとは比べ物にならない刺激が加わったのだ。
しかも裸のハルオが目の前にいる。お嬢様育ちで性に疎く、自慰すらしたことのなかった明日香を何度も気絶させ、身体に快楽を刻み込んだハルオが。
教壇からおりて、椅子に座っている明日香の、上気した顔に湯気をだしているそれをちかづけてくるハルオ。すでに快楽に酔いかけた顔だったが、ハルオの意図を理解する明日香。
きれいにすればご褒美をくれる。
ゆっくりと口を開き、舌を出して肉棒に近づける。
あまりの熱さに少し驚きながらも、砂糖菓子でも舐めるかのように上品で丁寧に嘗め回す明日香。
肉棒を上から下へと佐和子の愛液を涎と舌を使って落とし、陰嚢に差し掛かったとき、ハルオが再び携帯を操作した。
「あっ、……ハルオさんっ!、あっ、あっ!、だめですっ!ああっ、キちゃうぅぅ!」
再びローターが強く動き出す。ただ動くだけだったら明日香は我慢できた。だが、ハルオの肉棒を舐めながらも快楽を与え続けられていた明日香には無理だった。
我慢していた分、より大きくなった快楽を受け、可愛い声をだしながら身体を数度震わせ、机に突っ伏した明日香。もはや聞こえるのは荒い息遣いだけだった。
明日香の痴態を見守ったハルオは、女生徒に服を脱ぐように指示し、明日香のすぐ後ろに座っていた恵美を立ち上がらせ、抱き上げる。
「あんっ、ハルオくん……」
持ち上げられた恵美は嬉しそうに鳴く。学校でも指折りの美少女だったため、恵美はクラスで一番最初にハルオの毒牙にかかった。そのため、処女を散らされ初の絶頂に導かれた日から、最も多い回数身体を重ねてきた。
開発されきったその身体は、ハルオの肉棒を見るだけで心地よい痺れを感じるほど快楽に貪欲になっていた。
「ハルオくん……好きぃ……あっ、あっ、あっ、んあぁぁぁ!!!」
恵美の身体が落とされ、そのまま挿入される。既にびっしょり濡れていた秘所はスムーズにそれを受け入れ、最奥まで一気に送り込まれる。
普通の状態の恵美なら絶対に嫌がる、脚を左右に開いた、結合部のはっきり見える挿入。
恵美が今までかたくなに拒否していた体位だったが、今の恵美にはそんなことは関係なかった。
我慢の限界に達していた恵美は、少しでも早く、少しでも長くハルオの肉棒を感じたかったのだ。
だが、肉棒の凹凸が膣内を擦りながら昇っていく感覚に、クラス一の美少女は耐え切れなかった。小刻みに喘ぎ声をだしながら、亀頭が膣奥にたどり着いた瞬間接合部から大量の愛液を放出しながら絶頂を迎えた。
「……あっっ……あああぁぁぁぁ!」
口を半開きにして、呆けた顔でか細い声をだす恵美。余りにも強い絶頂感に意識が飛び、震える身体から力が抜ける。
ハルオは恵美の身体から肉棒を抜き、次の女生徒に覆いかぶさる。
「あっ、うれしい……、あっ、あっ!」
制服を脱いでいる途中でハルオに腕を掴まれた陽子は、足にスカートが引っかかったままの姿で、机に手を置き、後背位で挿入される。
水色の下着をずらして、すでにびっしょり濡れた準備万端な秘所へと進入する異物の感覚に、小刻みに歓喜の声をだす陽子。
同性と比べても小柄な身体が、巨大な肉棒を全て受け入れ、悦びに震える。
「あぁ…ハルオっち……すごいぃ、奥までズンズンくるよぉっ、んっ」
まったく辛さを感じさせない声で、ハルオの肉棒の感覚に酔う。クラスメートと比べて未発達な身体の陽子だったが、数度の調教の結果、女の部分は既にハルオに合った快楽発生器官となっていた。
ピストン運動を開始したハルオにあわせ、普段の舌足らずなしゃべり方とはまるで違う、艶のある声で鳴く陽子。
ハルオは小さな腰に両手を当て、本格的に腰を動かす。より強く、膣奥をえぐるように押し込み、抜けるか否か、というところまで一気に戻す。
膣壁の肉襞を巻き込みながらの激しいピストン運動で、陽子の体重をささえる両手が置かれた机が、正面へとずれる。そのたびにひときわ甲高い声で悦びを表現する陽子。
「あっ、あっ、だめえぇ……は、激しすぎだよぉ……これじゃあすぐイちゃううっ、ああああっ!」
陽子の膝が震えて力が抜け、バランスが崩れる。だがハルオが両手で腰をしっかり押さえているので、そんなこととは関係なくピストン運動が続く。
だが一分も経たないうちに陽子に限界が訪れ、机に倒れてしまった。気をやる寸前に今までにない力で膣壁がハルオを締め付けたが、それではハルオに射精させることはできなかった。
ハルオはまだこの時間一回も射精していない。
3人の膣に挿入し、ローターと自らの手で4人以上をイカセたハルオだったが、腹に付くほど強烈な勃起をしている肉棒は、未だに精を放っていない。
なぜか。
それは既に今日、最も濃い精液を誰に発射するかきめていたからだった。だがその前には、すでにハルオの虜になっているクラスの女達を全員犯す必要があるとも考えていた。
だからローターを使い、手間を省いた。それだけで満足する者はいないだろうが、時間の短縮にはなる。
ハルオが陽子を犯している間に、まだ達していない女生徒のほとんどが服を脱ぎおわっていた。
後は順に犯すだけだ。
いまだ制服姿の、最後の1人を除いて。
2013-12-07T19:22:50+09:00
1386411770
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イカされすぎて・・・
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2013-10-27T16:32:59+09:00
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ものすごい絶倫キャラが女を次々壊すエロパロ
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2013-10-19T15:36:08+09:00
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