グロールフィンデルⅠ "Last Writing"より -The Peoples of Middle-Earth

<抄訳>

かつて中つ国に生きた経験があり、メルコールとの長き戦いを経験したエルフはガンダルフの同行者として抜きん出て相応しかったのでしょう。そういうわけで、グロールフィンデルは(小人数、おそらくはたったひとりの同行者としての可能性が高い)第三紀の1000年ごろガンダルフ=オローリンと共に到着したと推測されます。グロールフィンデルを包んでいる特別な力や神聖さを感じるのはこのような理由があったからかもしれません。他の者たち(エアルヌア王など)がいかに勇敢であっても魔王に向かって馬を走らせることができなかったのに、魔王がグロールフィンデルの前からどんな風に逃げうせたかを思い浮かべて下さい。グロールフィンデルが殺された時、彼の魂はマンドスへ向い、審理にかけられ、マンウェが彼を解放するまで待機の間に留め置かれたことでしょう。エルフは本来この世が存在しつづける限り「不死」であることを定められており、肉体を失うことは嘆き悲しむべきことでした。よって、エルフ殺された場合、深刻(で稀な)理由(邪悪な行為を行ったり悪行を働いても頑なに悔悛しないなど)を除いては、彼らが望むのであれば肉体を与えることはヴァラールの義務でした。再び肉体が与えられた時、ヴァリノールに留まることも、故郷が中つ国であればそちらに戻ることもできました。

したがって、すでにゴンドリンは滅び、親族もほとんどかすべて失われてしまっていたグロールフィンデルが、ノルドールの反乱に関与したことが赦されて元の彼自身に戻った後、至福の地に留まっていたと考えるのは妥当であると思われます。彼が非常に力に満ち溢れていて「天使的」な存在にすら思われるのはそのためだったのでしょう。彼はFirst-bornとしての本来の無邪気さを取り戻し、反乱することのなかったエルフたちと共に生活し、中つ国に戻るまでの長い間(第一紀の終わりから第二紀~第三紀の最初の千年)マイアールとの交友があったのですから。おそらく彼はヴァリノールですでにオローリンの友人であり随行者であったのでしょう。『指輪物語』のわずかな登場場面でも、グロールフィンデルはガンダルフのことをとりわけ心配していました。そしてガンダルフが指輪所持者の前に姿を現さなかったという不穏な知らせがエルロンドに届いた時、裂け谷から送り出された者のひとりに加えられていたのでした(そして彼は最も力ある者であったと思われます)。

【追記】HoME12巻にはグロールフィンデルについてのエッセイが2種類含まれています。これらのエッセイは1970年前後に書かれたもののようです。クリストファー氏はそれぞれ「グロールフィンデルI」「グロールフィンデルII」と名づけています。「グロールフィンデルI」の元原稿の1ページ目が紛失しているためHoMEには次のページからしか載ってません。内容的にIIはIのアイデアを発展させた形になっているようです。IIではより説明が細かくなっていると同時にグロールフィンデルが中つ国に戻った時期が繰り上がっています。



  • 翻訳のストックが尽きたのでしばらく潜ります。いろいろ知識不足なので固有名詞その他、間違いがあれば修正お願いします。 -- 名無しさん (2013-01-26 00:25:39)
  • お疲れ様でした。 -- 名無しさん (2013-01-26 00:44:50)
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最終更新:2013年01月26日 00:47