初稿のフィンウェとミリエルの物語

以下はVol X MORGOTH'S RING p205 最後の行以降

ミリエルは息子を産むことでその身も心も疲れ果て、彼が誕生した後は生きるということからの休息を切望するようになったと言われる。彼女はフィンウェに「二度と子は産みません。いくつもの命を育んだはずの力はフェアナラに注いでしまったのだから。」と言った。それでマンウェはミリエルの願いを聞き入れた。彼女はロリエンへ赴き眠りにつくべく(銀の木下で)花々の寝床の上に横たわった。彼女の体はエステの侍女たちの世話で朽ちることはなかったが魂はマンドスりょうの館で休むために去ってしまった。

フィンウェの嘆きは大きく、ミリエルへの愛のすべてを息子へ注いだ。フェアナロは声と顔つきが母親に似ていたからである。だがフィンウェは他にも子供たちがほしかったので満足していなかった。そこで彼はマンウェに言った。「殿、ご覧ください。私は悲しんでおります。エルダールたちの中で私だけ妻がなく一人ぽっちです。一人いる以外には息子たちも娘も望めません。アマンの恵みの中でイングウェもオルウェも多くの子供たちを授かっているというのに。私は永遠にこのままなのですか。ミリエルがヴァイレの家から戻ることは決してないと思うのに。」

それでマンウェはフィンウェの言った事を考え、しばらくしてエルダールにたいする助言者たちを召喚した。その公聴会でマンドスがこの審判を告げた。「これはイルヴァタールからあなた方への決まりごとでる。(あなた方もよく知ってのとおり、イルヴァタールが彼の子供たちの生きかたにつて定めたことである。最初に生まれた者はただ一人の配偶者を得、アルダがある限りこの世で他には得ない。しかしこの決まりは死を無視している。ゆえに今立法者の権利のもとにこの審判がなされ、イルヴァタールがマンウェに命じた。夫であれ妻であれ配偶者の魂が体を放棄し、原因がなんであれマンドスのもとへ立ち去ってしまったとき、現世に残された者は別の配偶者を得ることを許される。しかしながらこれは以前の結婚が永久に解消されているときに限られる。それゆえ、マンドスの元にいる方はアルダの終わりまでそこへ留まっているべきであり、再び目覚めることも体を得ることもない。クェンディの誰も生きて目覚めているとき同時に二人の配偶者を得ることはしてはいけないからである。だが生きている者が彼もしくは彼女の意思だけで相手の魂をマンドスのもとに留めおくべきとは考えられていなかったので、この解消は両者の合意によってのみ成立する。合意があり、マンドスがそれを確認するまでにヴァラールの10年が経つこととする。この期間中にはどちらか一方が合意を取り下げることができるが、マンドスによる確認後、かつ生きている側の配偶者が別の者と結婚しているときにはアルダの終わるまで翻すことはできない。これがこの件についてのナーモの審判である。

ミリエルはマンドスへ答えて言った「私は体から逃れるためにここへ来たのであり、戻ることを決して願いません。」そこで10年後に結婚解消の審判が告げられた。(追記 ミリエルはこれ以降ヴァイレの家に住み、フィンウェとその親族の歴史およびノルドールの行ったことの全てを記録するのは彼女の役目であった。)そしてそれに続く年々に>さらに3年が経った後、フィンウェはヴァンヤールのインディス、イングウェの身内(姉妹)を二人目の配偶者に迎えた。彼女は金髪の子供たち5人を生み、そのうちの二人の息子たちはノルドールの歴史でもっとも著名である。だが彼女の第一子は娘のフィンディスで、他にもイリィメとファニィエルという二人の娘たちがいた。

父親の結婚をフェアナロは喜ばず、二人の間の愛情が薄くなることはなかったが、フェアナロはインディスにたいしても彼女の子供たちにたいしてもあまり愛情を抱かなかった。子供のころから喜びをおぼえていた伝説や細工およびいろんな仕事で忙しく、多くのことに熱心で迅速だったので、できるだけ早くに彼らとは離れて住むようになった。

「彼は急いで成長した」との言葉でLQ(46のはじめ p.185)へ戻るようにとの指示あり。

最終更新:2013年01月24日 06:08