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……あれから、どれだけの時間が経ったのだろう。

もう、息さえもままならない。

体の力は抜けて、すうと軽くなるような感覚すらある。

もう、分かっている。


――自分は、この身は此処で終わる。


探して、漸く見付けた彼女は哀しげな瞳だった。

その瞳で、剣を振るっていた。

冷酷無情な視線をその背で遮るようにしながら。


……本当は、分かっていたはずなのに。

僕は彼女の敵でしかないと。

彼女は僕の敵でしかないと。


――真っ暗だ。

視界もだが、意識も。

彼女の背後から非情なる害毒を撃ち込んできた人影。

あれは彼女にとって味方だった。


消散する意識に反し渦巻き、収束する負の情。





            憎い 





  黒が                         人が 
              敵が                      色が

                        時が

          己が                     彼女が


                                                     全てが          









   遠方に  彼女  声      が   














  ……………………











人間は数十年、彼等は二日。

だが不確実な数十年と保証された二日ならば、後者の方が完全に近いのかもしれない。

終焉が不意であるか否かの差異である。


最早調査は必要ないと人は言う。

しかし疑問は残存する。

より能力の高いアークスを捕え、模倣しているが故だ。

幾度か観察を重ねての感覚に過ぎないが、彼等には経験が不足している。

しかし言語を発し、オリジナルと遜色ない感情すら表現してみせる。

同等の感情が存在するならば、同様に記憶も存在すると推察していいだろう。

そして記憶が存在するならば、蓄積した経験も存在するだろう。

当然ながら経験は実際の戦闘において差をつける要素である。


だというのに、何故感情を表し経験を示さない?

強力な兵が必要だというのならば経験は再現されて然るべきだろう。

そうでないならば、何故選別するのか。

解せないのはその点である。

以上の理由により独自に調査を続行する。


カテゴリ: [不明] - &trackback() - 2013年05月06日 18:37:44

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最終更新:2013年05月07日 01:52