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 <夜叉>

 人の生き血を啜って生きる【命喰らうもの】の中でも、とりわけ強大で他に類を見ない特性を有するのが、この<夜叉>です。
 人に近い姿で現れますが、その肌は屍のように蒼白く、両の瞳には鬼火の如く揺らめく赤い輝きを灯しています。
 陽の光の下では活動できないものの、単独で街一つを容易く滅ぼせる強力無比なあやかしであり、多くの人々から恐れられています。

 また、<夜叉>にはその強大さ以上に人々を恐怖させている、ある特性が存在します。
 彼らは他者の血を吸う際、犠牲者の身体に“穢れ”を生じさせ、<夜鬼>と呼ばれる死人返りに変えてしまうのです。
 この<夜鬼>もまた<夜叉>と同じ特性を持つため、放置すれば鼠算式に<夜鬼>が増え続け、取り返しのつかない事態を引き起こします。

 さらに、<夜叉>は人だけでなく、他のあやかしの血も啜ります。そして、その吸血の特性はあやかしに対しても同じように作用します。
 むしろ元から“穢れ”を持つあやかしに対してこそ致命的な脅威であり、一度の吸血で<夜鬼>に変じてしまう者も珍しくありません。
 そのため、<夜叉>は他のあやかしからも忌み嫌われ、恐れられています。自ら<夜叉>に近づこうとするあやかしはまず存在しません。

■<夜叉>の成り立ち

 <夜叉>がいつ生まれたのか、何故このような特性を持つのかを詳しく知る者は皆無です。<夜叉>自身も多くはそれを理解していません。
 しかし、<夜叉>は最初から<夜叉>だったわけではなく、どうやら一部の【命喰らうもの】がその性質を変化させた存在のようです。
 かつて人と友誼を交わしたとある幻獣の古老は、年経た<夜叉>の一人から聞き出した話に自らの推測を交え、次の内容を語っています。

 事のはじまりは、他のあやかしから血とともにその“穢れ”を吸い尽くそうとした【命喰らうもの】が現れたことでした。
 神話に語られるように、“穢れ”とは原初の混沌から分かたれて黄泉を形作った、生物の魂と肉体を変容させる力です。
 あやかしが持つ人外の力の根源はその身に宿す“穢れ”であり、強大なあやかしほど強い“穢れ”を帯びていることが知られています。
 最初の<夜叉>は、幾千のあやかしの血を啜り、彼らの“穢れ”とその力を取り込むことに成功した【命喰らうもの】だったのです。

 しかし、比類無き力を得た“彼”は、日毎に屍のように変じていく自らの身体と、その内で渦巻く力の変質に気づき、戦慄します。
 あまりに多くの“穢れ”を取り込んだ“彼”の魂は黄泉そのものへと通じ、肉体は死人返りに近しい性質を備えつつあったのです。
 動く屍へと変じたその身には死体同様に周囲から“穢れ”が集いはじめ、遠からず本物の死人返りと化してしまうのは明白でした。

 その後、“彼”がいかなる経緯を辿ったかは定かではありませんが、今の世に存在する<夜叉>はすべて、ある同質の力を備えています。
 即ち、吸血と同時に自らの肉体が引き寄せた余分な“穢れ”を相手の身体に移し変え、自らの死人返り化を防ぐことができるのです。
 自らの“穢れ”を死人返り化しない域に抑え、生者の血で屍同然の肉体を欺瞞することで、<夜叉>はあやかしとして存在し続けます。

■<夜叉>の能力と分類

 すべての<夜叉>は、相当に高位の陰陽術や法術、邪術を使いこなします。特に、死者の肉体を操る術に極めて秀でています。
 彼ら自身の肉体も恒常的に死体繰りの術で制御されており、普通の武器では傷ひとつつかず、負傷しても瞬く間に傷が塞がります。
 一方で、黄泉に通じる“穢れ”を源とする彼らの力は陽光と相性が悪く、太陽の下では動きが鈍り、直射日光で肌が焼けてしまいます。

 また、<夜叉>には<地夜叉>と<天夜叉>の2つの分類があります。いずれも4点の“穢れ”を有しています。


 ・<地夜叉>

 <夜叉>の中では比較的、劣った存在です。知性は高いものの、やや獣性が強い傾向にあり、粗暴で傲慢な印象を与えます。
 平均的な<地夜叉>の魔物データは、「レッサーヴァンパイア(⇒『BT』頁)」のものを用います。ただし、以下の変更を加えます。

 ◆追加する能力

「○境界線上の亡者」
 この魔物は、「分類:あやかし」であると同時に「分類:死人返り」としても扱います。
 毒、病気、精神効果(弱)属性の効果を受けませんが、回復効果属性の魔法ではHPが回復せず、逆に負傷してしまいます。
 また、自分自身を支配下にある死人返り同様に法術【インテンス・コントロール】(⇒『WT』34頁)の対象とすることができます。
 その身に帯びる“穢れ”は常に微増を続けており、<重値>という数値データを持ちます。これについては後述します。
「√自壊の一撃」
 死体繰りの術によって自らの肉体を強引に制御し、一時的に身体が崩壊するほどの勢いで一撃を放ちます。
 自身の受けている命中力へのペナルティ修正をすべて無視し、打撃点と「〆吸血鬼の牙」のダメージを+12点します。
 この能力を使用すると、自身のHPに「7」点の魔法ダメージを受けます。

 ◆変更・削除する能力

「○飛行」
 この能力を削除します。<地夜叉>は空中での移動力を持ちません。
「〆吸血鬼の牙」
 この能力によって「1」点以上の適用ダメージを与えた場合、対象と、互いの生命抵抗力を用いて達成値の比べ合いを行います。
 この魔物の方が高い達成値を得た場合、対象に1点の“穢れ”を与え、自身の<重値>が1点減少します。
 同一の<夜叉>が同じ対象に与えられる“穢れ”は、1日に1点だけです。“穢れ”を与えられない場合、<重値>の減少もありません。
 この効果によって5点目の“穢れ”を得てしまったキャラクターは、即座に<夜鬼>と化し、<地夜叉>の支配化で動き出します。
 1日の間「〆吸血鬼の牙」を行わなかった<地夜叉>は、HP・MP最大値の減少に加えて、<重値>が1点上昇します。
 7点目の<重値>を得てしまった<地夜叉>は理性を失い、自ら<夜鬼>と化してしまいます。


 ・<天夜叉>

 中津国全体でも数体しか存在しない、絶大な力を有する強大な<夜叉>です。
 人を遥かに凌駕する知性と深遠な知識を持ち、極めて理性的で思慮深い性格をしています。
 死体繰りの術で身体を制御するのは<地夜叉>と同様ですが、用いる術の仕組みが根本的に異なるらしく、精度は比べ物になりません。
 <天夜叉>は容易に生物の枠を踏み越え、まるで悪い冗談のようにその肉体を変貌させることができます。
 背から翼を生やして空を飛ぶなどは序の口で、身体を無数に分割して別々に操ったり、液体や気体に変じる<天夜叉>すら存在します。
 宿命的な自身の“穢れ”の増大もある程度は抑えることができており、<地夜叉>ほど多くの獲物を必要としません。

 <天夜叉>は個体ごとに異なる能力と強さを持っており、それぞれ<紅夜叉>、<黒夜叉>など色の名を冠して呼ばれます。
 <天夜叉>の魔物データは、「ヴァンパイアローズ(⇒『BT』64頁)」など、各氏族のヴァンパイアのものを用います。
 ただし、以下の変更を加えます。他の個体と同一の能力を持つ<天夜叉>の存在は確認されていません。

 ◆追加する能力

「○境界線上の亡者」
 <地夜叉>の同名の能力と同じです。

 ◆変更する能力

「▼吸血鬼」
 この能力によって「1」点以上の適用ダメージを与えた場合、対象と、互いの生命抵抗力を用いて達成値の比べ合いを行います。
 この魔物の方が高い達成値を得た場合、対象に1点の“穢れ”を与え、自身の<重値>が1点減少します。
 同一の<夜叉>が同じ対象に与えられる“穢れ”は、1日に1点だけです。“穢れ”を与えられない場合、<重値>の減少もありません。
 この効果によって5点目の“穢れ”を得てしまったキャラクターは、即座に<夜鬼>と化し、<天夜叉>の支配化で動き出します。
 7日の間「▼吸血鬼」を行わなかった<天夜叉>は、HP・MP最大値の減少に加えて、<重値>が1点上昇します。
 7点目の<重値>を得てしまった<天夜叉>は理性を失い、自ら<夜鬼>と化してしまいます。


 ・<夜鬼>

 <夜叉>に血を吸い尽くされたり、多くの“穢れ”を押しつけられた犠牲者のなれの果てです。死人返りに分類されます。
 全身がミイラのように干からびた動く屍で、おぞましい牙と鉤爪、赤く光る瞳を持っています。通常、夜にしか活動しません。
 自らを生み出した<夜叉>にだけは従いますが、獣よりマシ程度の知性しかなく、ひたすらに生者の生き血を求めて夜を彷徨います。

 <夜鬼>の魔物データは、「ブラッドサッカー(⇒『BT』96頁)」のものを用います。基本的に生前の能力は反映されません。
 稀に、より強力な<夜鬼>が生まれることもあります。このときは「マッドブラッド(⇒『BT』96頁)」のデータを用います。
 増大する“穢れ”を処理仕切れなかった<夜叉>も<夜鬼>に変じますが、<夜叉>が特に強力な<夜鬼>になることはありません。

 なお、極めて稀な例ですが、同一の<夜叉>から幾度も吸血された穢れ無き人族が、<夜鬼>ではなく<夜叉>に変じることがあります。
 これがいかなる仕組みによるものなのか、<夜叉>が意図的にこの変化を起こせるのかどうかは、まったく知られていません。