ちょっとアレコレ見直しちゅーです

剣/ソード


F&B時代の剣はいっぱいあってナニガニヤラです。
ってことで、剣士 ヨアヒム・マイアー 著「武術の基本説明」(1570年:イタリア)に載ってる剣をご紹介。
皆さん殺気立ってるけど実は練習風景だから恐くないですよ♥
wikipedia

ダガー メッサー カットラス もこんな感じ)
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重さ:?kg
刃渡り:全長10-30cm
刃の幅:?cm
重さ:0.91–1.1kg
刃渡り:62cm
刃の幅:?cm
レイピア ロングソード
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重さ:1kg(小さめのダイコン1本くらい)
刃渡り:100cm
刃の幅:2.5cm
重さ:1.1–1.5kg
刃渡り:100–122cm
刃の幅:4.14–3.1cm(先っぽの方が細い)
スタッフ (ベースは パイク ナイジェルが採用してるレイピアとダガー
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重さ:?kg
刃渡り:全長1.8-2.7m(ショート)、全長3.4-3.7m(ロング)
刃の幅:?cm

+ スペインのトレド剣
15~17世紀 トレド (スペイン)の鍛冶産業はヨーロッパ最高レベル。他の国より「鉄が硬い」だったそうです。
技術はヴェネツィアン・グラス(イタリア)みたいに門外不出の秘法。
個々の鍛冶職人さんがレイピアやダガーを製造。鍛冶職人の ギルド で品質を管理してました。
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Juan Martinez作(1600年頃)
レイピア
重さ 1,440g
刃渡り 112cm
全長 127cm
ダガー
重さ 320g
刃渡り 28cm
全長 40.5cm

こちらのレイピアとダガーはザクセン選帝侯 クリスティアン2世 (1583–1611:ドイツ)所有のトレド剣です。
Juan Martinezはトレドの有名な刀匠らしい。
ついでにパレード・コスチューム(1600年頃: ウォレス・コレクション )も。たぶんイタリア製の生地をドイツで仕立てたもの。

トレドは象嵌(ぞうがん)も有名

象嵌は鉄や真鍮に彫った溝に金銀を埋め込む工芸技法。トレドの象嵌産業は長い歴史を持ってます。
レイピアのヒルトにもご使用。
日本も安土桃山時代にポルトガルから南蛮象嵌(布目象嵌)が伝来。日本刀の拵(こしらえ)、甲冑、…に使われてます。
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レイピアと象嵌ヒルト(21世紀:トレド)



レイピア


レイピア(スペイン語:エスパダ・ロペラ)は16~17世紀に使われた、刃の先っぽがツンツン尖ってる細身の長剣です。
銃の登場で「より早い」「より軽い」剣が必要になって誕生。
戦場では銃やパイクに勝てないけど、 白兵戦 (近接戦闘)の決闘や護身で大活躍。人気がありました。
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通販「王フェリペ2世のレイピア」(21世紀:トレド)

+ レイピアの各部名称
ヒルト はブレイドの(なかご)にはめてネジで留めてます。今日の気分でヒルトの着せ替えとか楽しんだのかしら?
F&B時代はスペイン製ブレイドにイタリア製ヒルトなどなど意外とグローバル。
あとブレイドはフォルテとドブレの2つだけじゃなく、3つ、4つ…と強度が違う場合もあります。

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レイピア(17世紀)

日本刀は鍔(つば)、レイピアはヒルトで手を守る

レイピアを持つ手はヒルトでカバーします。怪我したら戦えないもんね。F&B時代のヒルトはたぶんスウェプトやカップ。
ここがオシャレの見せ場!
ってことで、凝りまくりの美しいヒルトがいっぱい登場。王様のヒルトは宝石を埋め込んだり豪華絢爛です。

スウェプト・ヒルト(Swept Hilt) カップ・ヒルト(Cup Hilt) シェル・ヒルト(Shell Hilt)?
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+ レイピアの鞘(さや)
鞘は剣を仕舞うケースです。剣の保護というより所持するために考えられたケース。
皮製、皮で覆われた木製が一般的っぽい。
19世紀から皮製より耐久性が高い金属製に変わります。時に馬に乗る軍隊で大人気。過剰な装飾もオケなので更に大人気です。
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こちらは1575-1583年頃のレイピアと鞘です( フィラデルフィア美術館 )。
ブレイドは刀匠 Andrew Ferrara (イタリア)作、ヒルトと鞘はたぶん銀細工師Wendel unter den Linden(ドイツ)作。
ヒルトは黒皮鉄製(blackened iron)に銀の装飾、鞘は革製に銀の装飾がされてます。

ヨーロッパの鞘がぜーんぜん分からなかったので日本の鞘を調べてみた

日本刀の鞘には「外出着の拵(こしらえ)」と「寝間着の白鞘(しらさや)」があります。拵は白鞘に塗りを施したもの。
塗りを施した木は呼吸ができない。
ずーっと拵の中に納めてると刀が錆びちゃうそうです。使わない時は刀身をスポっと抜いて白鞘に納めます。ほー!
おさるの日本刀豆知識 さんより~

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日本陸軍の 98式軍刀 (刀身:江戸中期)

カラッポになった拵には、取り外した柄(つか)や鍔(つば)と一緒に「つな木(刀の形をした竹光)」を納めます。
あと拵は中が汚れても簡単にお掃除できない。
ってことで、拵の中に別の小さな鞘「入子鞘(いりこざや)」を入れた二重構造もあります。ほー!

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鞘と刀身は鎺(はばき)でビシッと嵌るのでお辞儀しても抜け落ちません。刀を鞘に納めるときの「スチャ」は鎺の音。
逆に鎺があるから刀は簡単に抜けない。
もしピリピリの状況になったら、すぐ刀を抜けるように鯉口を切り(親指で鍔を押して鎺だけ抜いておく)ましょう♥

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ビシッと嵌ってるので刀身は鞘の中で浮いてます。浮いているから刀身も鞘も傷つかない。ほー!
刀を抜くときはグラグラさせないで一気にシュパーッ。
途中で止めたらダメ。力を抜いてシュパーッすれば刀の重みで自然と鞘から滑るようにして抜けるそうです。

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夢想神道流居合の抜刀( K.Uchiyama さんより)

日本刀も素敵だわ…ジェフリーやビセンテにも振って頂きたいです♥
ついでに悪人を斬った後にピッと一振りして刀を納めるのは「残心」という動作。攻撃後の反撃に備える武道の心構え。
ピッでちゃんと血を拭えるのか気になります。だって鞘は簡単にお掃除できないんでしょ?


+ レイピアのハンガー
F&B時代のハンガー(Rapier Hanger)はぜーんぜん分かりませんでした。とりあえず国によってデザインが違うようです。
こちらは通販 Renaissance Leather さんのハンガー。
バックル は中世の騎士もご使用済みなので、F&B時代も使っていると思います。たぶん。

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F&B時代のハンガーはこんな感じ?

F&B時代にもレイピアが描かれた肖像画がいっぱいあります。でもハンガーが手で隠れちゃってるの…困った。
ってことで、隠れてない17世紀のハンガーを。
王様のハンガーは豪華絢爛なので、ネーデルラント庶民さんのハンガーもご一緒にどうぞ。

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左: アンソニー・ヴァン・ダイク 画「 Charles I at the Hunt」(1635年頃)
中: ピーテル・パウル・ルーベンス 画「 Felipe II on Horseback」(1630年頃)
中: フランス・ハルス 画「Meeting of the Officers and Sergeants of the Calivermen Civic Guard」(1633年:ネーデルラント)
右: Theodoor Rombouts 画「The Card Players」(17世紀:ネーデルラント)

ハンガーとベルトはこんな感じ?

17世紀のハンガーは肩掛けタイプとベルトが分かれてるタイプがあります。F&B時代はどうなのかしら?
分かれてるタイプはベルトのリングにフックで引っかける仕組み。
ハンガーの下側も細いベルトで安定させてるっぽい。たぶんハンガーのリングをベルトで止めてます。

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左: ピーテル・パウル・ルーベンス 画「 Felipe II on Horseback」(1630年頃)
右: フランス・ハルス 画「Meeting of the Officers and Sergeants of the Calivermen Civic Guard」(1633年:ネーデルラント)


+ 海戦でのご使用上の注意
船上で長剣のレイピアをブンブン振り回すと、索具(ロープや帆や柱)を傷つけちゃうコトがあります。あらまっ!
ジェフリーやビセンテはご注意!ご注意!
21世紀のイギリス海軍はレイピアで戦わないけどフォーマル服でセレモニー剣(Ceremonial Sword)を携帯します。

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士官のセレモニー剣(21世紀:イギリス海軍)

長くて不便なら短くすればいいのよ

17世紀になるとレイピアより短い剣 カットラス (舶刀)が誕生します。短いから索具を気にせずブンブンできる。
ブンブンも簡単でレイピアほど練習しなくてもオケ。
カーブした刃で相手をバッサバッサ斬ります。その後イギリス海軍やアッチコッチの海軍が採用。

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カットラスを振り回すイギリス海軍(1813年: 米英戦争


+ レイピアは相手をプスプス(残酷な画があるのでご注意下さい)
暴れん坊将軍は日本刀で相手をバッサバッサ斬ってるけど、レイピアは相手をプスプス刺します。相手と距離を保ちつつプスッ。
基本説明のオッサンは全員右手にレイピア。
左利きのオッサンはどうするのかしら? 21世紀のフェンシングでは左手もオケ。むしろ有利らしいです。

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ヨアヒム・マイアー著「武術の基本説明」

解剖学でプスプス

歴史家 Marie Boasによると解剖学は1500年以降グーンと発展したそうです。こちらは解剖学論文の「Wound man:傷男」。
人間の 急所 なのかしら?
なんだか心がポキっと折れて詳細は調べてないけど、15~17世紀の本にはこちらの傷男がよく登場するっぽいです。
wikipedia

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Thomas Gale著「Certaine vvorkes of chirurgerie」(1563年:イングランド?)

プスプスするとどうなるの?

レイピアでプスッとしても相手が怪我するだけって意見もあるし、凄腕の人なら相手が死んじゃうって意見もあります。
凄腕の人だとこんな感じ。
基本説明では他にレイピアが頭、目、お腹…を貫通してました。痛いじゃ済まなそうです。

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Nicoletto Giganti 著「武術の基本説明」(1608年:イタリア)

西洋剣術 には「踏み込む」がいっぱい登場します。踏み込めばコレくらい刺さっちゃいそうです。ひえー。
踏み込みはこちらの動画http://www.youtube.com/watch?v=Z86tpjRaiK8をどうぞ。
ついでに剣道の超スピード踏み込みhttp://www.youtube.com/watch?v=Q4SHWXQBVL4もどうぞ。審判もスゴイ!



ダガー


ナイジェルが採用してるダガーは 先史時代 (その頃は石製や骨製)から使われてる、刃の先っぽがとーっても尖った細身の短剣です。
ダガーは「武器」ナイフは「道具」。
柄がお揃いのダガーとナイフもあります(右下)。鞘にナイフも一緒に納めてるのかは分かりませんでした。
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左:レイピア、ダガー(1560-1600年:スペイン)( ドレスデン美術館
右上:ダガー(1600年頃:イングランド)( 大英博物館
右下:ダガー、ピック、鞘、ナイフ(1592年:スイス)( ヴィクトリア&アルバート博物館
レイピア 全長:127cm
刃渡り:112cm
重さ:1,440g
ダガー 全長:40.5cm
刃渡り:28cm
重さ:320g
右上
ダガー 全長:43.2cm
刃渡り:31.6cm
重さ:400g
右下
納刀 41.3cm×7.7cm
ダガー 35.2cm×7.7cm
※横幅はヒルト
ピック 16.8cm×1.3cm
29.2cm×5.7cm
ナイフ 17.9cm×1.8cm

+ 世の中にワンサカあるダガー
ダガーは大昔から使ってるだけに種類もいっぱい、お名前もいっぱいです。
中でも パリイング・ダガー (たぶんナイジェルのダガー)のように相手を確実にヤるように考えられた短剣は 戦闘ナイフ
軍で使うと 軍用ナイフ トレンチナイフ )になります。うはははは、全然ワカンナイぞー!
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全部ダガーでございます

F&Bに登場するダガーはこんな感じ?

画とサイズは通販で販売中のものなので、あまりご参考にはならないかもしれません。

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スティレット
15世紀のイタリアで ロンデル・ダガー Miseriorde が進化して誕生。
とっとも細くて、とっても尖ってる、甲冑の隙間からプスッとする鎧通しの剣。
大砲の 火門/火口 掃除にも使用。
このお名前を21世紀に受け継いだのが踏まれたら死ぬほど痛い スティレット・ヒール
重さ:255g
全長:40cm、刃渡り:26.7cm
刃の厚さ:0.9cm
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パリイング・ダガー
中世後期 (14~16世紀)のヨーロッパで誕生。
キヨンで相手のレイピアを受け流す(Parry)、尖った先っぽでプスッとする盾×矛の剣。
レイピアと一緒に使用。
マンゴーシュ(レフト・ハンド)やソード・ブレイカーはコレ。
重さ:454.5g
全長:31cm、刃渡り:20cm
刃の厚さ:0.5cm、刃の幅:2.5cm


+ ダガーのハンガー
F&B時代のハンガー(Dagger Hanger/Dagger Frog)はぜーんぜん分かりませんでした。あまり残ってないのかしら?
こちらは通販 Renaissance Leather さんのハンガー。

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F&B時代のハンガーはこんな感じ?

レイピア以上に肖像画が見つかりません。唯一見つかったのがこちらの2つです。

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左: ハンス・ホルバイン 画「Portrait of Henry VIII 」(1537-1547年)
右: ヤコブ・ド・ギュイエン 画「銃の教本」(1608年:ネーデルラント)


+ ダガーは相手をプスッ、ポイッ、ガシッ(残酷な画があるのでご注意下さい)
ダガーは相手をプスッと刺したり、相手にポイッと投げたり。相手のレイピアをガシッと止めたりします。
左手のダガーでガシッ、右手のレイピアでプスッ。
オッサンが脱いでるのは体の使い方を説明してるのかしら? 基本説明の本はけっこう脱いでます。

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Nicoletto Giganti 著『武術の基本説明』(1608年:イタリア)

ダガーを忘れたときはお洋服でガシッ

お洋服もレイピアをガシッと止められます。
宮本武蔵 に襲われたお食事中の 塚原卜伝 も鍋蓋で刀を受け止めてた…とにかく戦ったら止めないとダメなのね!
このお話しは2人が同時期に生きてないので史実じゃないそうです。

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Francesco Alfieri 著「L’arte di ben maneggiare la spada」(1653年:イタリア)



甲冑/プレートアーマー


甲冑は重い(フル装備でウン10kg)、暑い(通気性が悪い)、とっても高価(貴族や騎士しか買えない)な金属板でできた防具。
銃が登場するとフル装備の意味がなくなって、兜と胸当てだけ装備。
スペイン王フェリペ2世のフル装備はマドリード王宮に展示中。身長150cmサイズの甲冑だそうです。プチな王様だったのね。
wikipedia

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フル装備 (16世紀初め)
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王フェリペ2世(1580年頃)

+ 甲冑の歴史
甲冑は 古代ローマ (BC753–476年)の頃から使われてます。映画でお馴染みのローマ軍団兵の鎧は ロリカ・セグメンタタ
ヨーロッパで再び使われ始めたのは13世紀後半。
鎖帷子 の上に コート・オブ・プレート を着用しました。どんどん装備が増えて15-16世紀にピークを迎えます。

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ピークの甲冑って動きにくそうだけど、実はラジオ体操も楽勝っぽいです。
倒れてもすぐ起き上がれる。
ラジオ体操も楽勝っぽい動画はこちらhttps://www.youtube.com/watch?v=5hlIUrd7d1Qをどうぞ。ガシャガシャもすごい!


+ 甲冑のパーツ名称
鎧下は Giovanni Battista Moroni 画『A Knight with his Jousting Helmet』(1554–58年:イタリア)。
亜麻布やウール製で、端切れや馬の毛が入ったキルティングのジャケット。
甲冑は ドーセット伯 のグリニッジ甲冑(1587年:イングランド)。鋼製(革、真鍮、金の装飾)で重さ32kg。おも!
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鎧下 Gambeson Burgonet 上腕甲 Rerebrace 腕甲 Vambrace
籠手 Gauntlet 大腿甲 Cuisses 膝当て Poleyn 脛当て Greave
鉄靴 Sabaton タセット Tassets 胸当て Plackart 首充て Gorget

甲冑を着るときは従騎士がお手伝い

甲冑にはいっぱいパーツがあって、それぞれをヒモやベルトを結んで装着してるようです。
一人では着れないから従騎士がお手伝い。
着方の動画はこちらhttp://www.youtube.com/watch?v=0cTAxZAomeMをどうぞ。 ←15世紀の甲冑です。

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うっ、なんて萌える光景♥

鎧下はダブレットに進化

15世紀後半になると鎧下は、男性のお洋服 ダブレット に進化します。
こちらのダブレットと ブリーチ (1635-1640年:イングランド)はサテン製にシルクの刺繍とリボンの装飾。キレー♥
ダブレットの キルトパターン じゃないので、おそらくベッドカバーのリサイクルだそうです。

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+ イングランドのグリニッジ甲冑
16~17世紀イングランドの甲冑は、王ヘンリー8世が1525年設立したアルメイン造兵廠(Almain Armoury)で造るグリニッジ甲冑。
戦争というより馬上槍試合用のおしゃれな甲冑です。
こちらはJacob Halder著「The Jacob Album」(1590年頃)の記録。馬具や盾までお揃い。
wikipedia

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イングランド王ヘンリー8世のグリニッジ甲冑

こちらはイングランド王ヘンリー8世のグリニッジ甲冑です。たぶん1540年5月1-5日に主催した馬上槍試合に作らせた甲冑。
高さ1.88m、重さ35.33 kg 。
1540年は1月と5月に主催してます。5月は王ヘンリー8世が最後に主催した馬上槍試。試合には参加してません。

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右下は コッドピース

イングランド王ヘンリー8世のグリニッジ甲冑

こちらは1587年頃に作られたドーセット伯 トーマス・サックヴィル のグリニッジ甲冑( ウォレス・コレクション )です。
鋼製(革、真鍮、金の装飾)で重さ32kg。
女王エリザベス1世の時代は大げさな色使いが流行なので、王ヘンリー8世の時代よりキラキラになります。

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ついでに装備


こちらはイギリスの新聞The Telegraphさんの記事「 Inventories of war soldiers' kit from 1066 to 2014 」(一部抜粋)です。
甲冑が一番重そう。
1000年間で装備はアレコレ変わっても、皆さんスプーンは持ち続けてます。装備の詳細は元記事をどうぞ。

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ついでに馬


16世紀スペインのアンダルシア馬はヨーロッパ最高レベル。大きさは雄馬156cm(肩甲骨の隆起まで)で、イベリア半島に生息。
知的で美しく勇気ある馬。
イタリア、フランス、あっちこっちの王様が御愛用。スペインのお金持ちも御愛用。
wikipedia

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ピーテル・パウル・ルーベンス 画『Felipe II on Horseback』(1630年頃)

イングランドもアンダルシア馬が大人気で、16世紀の王立馬飼育場は1/3がアンダルシア馬です。
有名な サラブレッド の誕生は18世紀。アンダルシア馬、 アラブ馬 (アラビア半島)、 トルコマン馬 (中央アジア)を交配した馬。
名前の由来はThoroughbred=Thorough(徹底的に)+Bred(品種改良されたもの)。


西洋剣術


銃や大砲の登場で戦法が変わると、剣術は論理的に考えられるようになります。
特に盛んだったのがスペイン、イタリア、フランス。
イングランドは盛んじゃなかったのかしら?とりあえず、あっちこっちの国の剣術テキストは盛んに英訳出版してます。
wikipedia


スペイン剣術デストレーサ


イタリアやフランスの剣術は「直線運動のステップ」。21世紀のフェンシングみたいな動きです。
直線運動だけじゃ危ない!と改革したのが、スペイン剣術の「円運動のステップ」。ダンスみたいな動きです。
アッチコッチに動けば相手に対して有利な 迎角 が取れる。
wikipedia

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スペイン剣術を考案したのは、スペイン・フェンシングの父 ヘロニモ・サンチェス・デ・カランサ (?-1600:スペイン)。
その後300年間スペイン剣術の礎になります。
メディナ・シドーニア公爵 アロンソ・ペレス・デ・グスマン (アルマダ海戦の最高司令官)の支援で剣術テキストも出版。

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カランサ著『剣術テキスト』(1569年)

+ フェンシングの原型はスペイン剣術
21世紀のフェンシングは、18世紀イタリアやフランスの剣術学校がスペイン剣術を改良して誕生しました。
フィリピン武術 エスクリマ (英語:フェンシング)も、スペインの植民地だった頃に入ってきたスペイン剣術を採用。
wikipedia

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フェンシング
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ダガーのエスクリマ



マルマル!のスペイン剣術


スペイン剣術は円運動なだけに、その後続々と出版された剣術テキストはマルマル!な画だらけです。
マルマル!を数学的に研究したのが、フェンシング教師 ジェラルド・ティボルト (1574–1627:アントウェルペン)。
スペインを旅行しながらスペイン剣術を学んで剣術テキストを出版。


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ティボルト著『剣術テキスト』(1630年)の『神秘の円』

この神秘の円は「剣の長さ(理想は円の半径以下)」「ステップ」「相手との距離」がマルマル!で重要と説明してます。へー。
実際の剣術を見たらピンとくるかしら???
ってことで、マルマル!の動画はこちらhttp://www.youtube.com/watch?v=GFroPGvc5dcをどうぞ。

+ ブレイド・ポジション
イタリア剣術のブレイド・ポジション(構え方)は4種類。いくつか確認したけど、提唱者によってびみょーに違いました。
こちらはイタリアの剣術家 Ridolfo Capo Ferro 著『剣術テキスト』(1610年)が提唱するブレイド・ポジション。
ちょっと見づらいけど、ハンド・ポジション(持ち方)もそれぞれ違います。

Prima(第一) Seconda(第二)
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Terza(第三) Quarta(第四)
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スペイン剣術のブレイド・ポジションは1種類だけ。いくつか確認したけど、皆さん同じ感じでした。
こちらは右側の先生が販売中のスペイン剣術DVD。

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+ マルマル!ってなに?
スペイン剣術のマルマル!には直線、弦線、斜線にそれぞれ8本の線があります。
この線上を前後、左右、斜め前後に移動。
イタリアやフランスは前後だけだそうです。暴れん坊将軍は敵が勝手にやって来るのでクルクル回ってました。

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最初のスタンディングはこんな感じ。

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う~ん、なんだかサッパリ分かりませーん。

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剣術学校


スペイン・フェンシングの父カランサは、レイピアを使った剣術学校(フェンシングの学校)も設立します。
もっちろん イングランド イタリア フランス …も剣術学校を設立。
スペインの剣術学校がぜーんぜん分からなかったので、 ライデン大学 (ネーデルラント)の剣術学校で雰囲気だけでも。

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ライデン大学の剣術学校(1610年)

ライデン大学は1575年プロテスタント代表オラニエ公 ウィレム1世 は設立しました。ネーデルラント北部7州に大学がなかったの。
ティボルトもここで数学を学んで剣術テキストを出版。
北部7州を制圧したいスペイン王フェリペ2世は「大学を廃止しろー!」と絶賛クレーム中。教育は国を支える柱になっちゃうもんね。




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最終更新:2015年08月22日 18:34