21世紀の船(船体)


こちらはオランダのバーク船Europa。
窓が丸いのは四角よりマルの方ががネジレに強いから。波で船体がネジレるそうです。ジェフリー!ビセンテ!マル、マル!
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デッキ(船首) ギャレー
デッキ(船尾) 船室


船の各部名称


サー・フランシス・ドレイクの【船】ゴールデン・ハインド号と比べるとずいぶん大きいガレオン船です。
吃水線 は船腹が水面に接する分界線。
喫水 (船底から吃水線までの距離)が深くなると沈没、浅くなると船が転倒する危険が増えます。これを調整するのが バラスト (重石)。


上甲板(露天甲板)
1 Forecastle 船首楼 2 Gun Deck 砲列甲板 3 Captain's Cabin 船尾楼(船長室)
最下甲板
4 Orlop Deck 最下層甲板 5 Galley ギャレー 6 Cannonball Store 砲弾庫
7 Sail Locker 帆布置き場
船底
8 Bilge/ballast ビルジ/バラスト 9 Bilge Pump ビルジポンプ 10 Hold 船倉
アンカー(錨)
a1 Anchor Cable Bitts ケーブル繋柱 a2 Anchor Capstan アンカー引き上げ装置 a3 Anchor Cable Locker ケーブル置き場
b1 Whipstaff 舵棒 b2 Tiller 舵柄 b3 Rudder


船体(Hull)


船体の骨格は「 竜骨/キール 」「 肋骨/フレーム 」「梁/ビーム(longitudinal stringer)」を組んでます。人間の体に似てるっぽい。
骨格は外板(planking)と内張り板(ceiling)でカバー。
流線がとっても綺麗。船体は「浮く」は勿論のこと「強い(頑丈)」「速い」「動きやすい」…16世紀の叡智が詰まってます。
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Commerce de Marseille号 (1788年:フランス)

+ 船はなんで浮くの?

+ 船体の構造

+ 船体の装飾


船首楼(Forecastle)と船尾楼(Aftercastle/Poop)


船首楼 船尾楼 の役割は
  • 外洋の荒波をブロックする。(船首が波に飲み込まれると倉口から船内に水が入っちゃう!)
  • 海戦で敵の攻撃を防ぐ、敵の船に乗り移りやすくする。
  • 船室スペースを確保する。
船が進化してくると船尾楼はただの 船尾甲板 に変わります。キャプテンは船尾甲板に立って皆さんにアレコレ命令。

Golden Hinde号 のCG(1577年:イングランド)

+ イングランドとスペインの違い


船嘴/トイレ(Beakhead)


船嘴(せんし)は16~18世紀船首に取り付けられた 斜檣 斜桁帆 を取り付ける棒)を動かす踊り場です。
17世紀になると飾りがハデハデ化。
両サイドにも動物や神話の 船首像 (航海の安全を願う像)を装飾。船嘴は船の中でも装飾に凝った1つになります。
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Vasa号(1627年:スウェーデン)

甲板から隠れた踊り場の船嘴は「水夫の ヘッド(トイレ) 」としてもご使用します。嵐の時は命がけなんじゃないかしら?
いくつか画をチェックしたら便座は2つっぽい。
Vasa号はスウェーデン海軍の 軍艦 で全長69m、船幅11.7m、高さ52.5m。水夫145名、戦士300名が乗船します。足りるの!?

+ 急にお腹が痛くなっちゃったら大変!


船底(hull's bottom?)


船底はずーっと海に浸かってる部分。大航海時代は船底に付く フジツボ や海草にメチャクチャ苦労してます。
取らないと船の速度が出なくなっちゃうし、船体壊しちゃうし、増えちゃうし…。
ってことで、船乗りは「 Fouling :むかつくほど嫌な汚れ」と命名。赤ちゃんフジツボは海中をプカプカ泳いで船にくっつくそうです。
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Vasa号(1627年:スウェーデン)

+ むかつくほど嫌な汚れは「船底焼き」で除去

+ 船体はコーキングで水漏れ防止♥


竜骨(Keel)


竜骨は1本の棒でできた「船の背骨」で船体の強度が上がります。竜骨がないとナメクジみたいにフニャフニャしちゃうのかしら?
ここがハデに壊れると修復不能。
船が荒波に遭遇したとき船を乾ドックに入れたとき竜骨は「ストレス=縦の力(サギングやホギング)」と戦って頑張ります。
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San Salvador号(16世紀: Maritime Museum of San Diego

こちらは1542年 サンディエゴ湾 (アメリカ)を発見したスペインのガレオン船 サン・サルバドール号 (レプリカ)です。
アルマダ海戦で爆発した サン・サルバドール号 とは別モノ。
忠実に復元したレプリカで2011年 起工 、2015年 進水 。もう海にプカプカしてるからこの画の骨組みは見れません。

+ 船の人生の始まり「起工(竜骨を横たえる)」

+ 他にもアレコレの「竜骨」


上甲板



船長室(Captain's Cabin)


キャビンは船長や士官達の個室です。甲板の上にある部屋は別名「Deckhouse」、船尾にある船長室は別名「Great cabin」。
ゴールデン・ハインド号の個室はフランシス・ドレイクの寝室と会議室兼食堂。
ちなみに船で1番揺れるのは船首、2番目は船尾、1番揺れないのは船底の中央です。ナイジェル!船庫!船庫!
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Golden Hinde号(1577年:ロンドン)

+ ゴールデン・ハインド号の寝室と会議室兼食堂


舷縁(Gunwale/Gunnel/Gun ridge)


舷縁(げんえん)は上甲板をぐるーっと囲む板。もともとは人間を守るというより、大砲を守るための 補強板 らしいです。
ちょびっと低くなってる 舷門 は船の玄関。
乗船するときは舷門に 縄はしご (Rope ladder)、 綱ばしご タラップ/道板 (Gangway ladder)を掛けて登ります。
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倉口(Hatch)/昇降口(Hatchway)


倉口は下の甲板への荷物の出し入れ、甲板と下の甲板を行き来する穴です。明かり取り、空気穴にも大活躍。
穴はカバー(Hatch cover)して落下防止。
周囲は水が入り込まないように コーミング (Coaming)されてます。なんかショボそうな高さだけど嵐でも大丈夫なのかしら?

Vasa号(1627年:スウェーデン)

+ たかが穴、されど穴


ボート


ボートはちょっとお出かけするとき、船に荷物を運ぶとき、抜錨するとき、船が沈んじゃうときに大活躍の手漕ぎボートです。
フランシス・ドレイクの航海日誌に「水補給のためにthe Pegasus jollyで上陸-」って記録アリ。
jollyがどんなボートかは分かりませんでした。とりあえず1495-97年はjollyvatt、1727-1741年は Jolly boat と呼んでるみたい。
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Götheborg号 (1745年:スウェーデン)

+ いろいろなボート


ビレイピン(Belaying Pin)


ビレイピンは索止め座(Pinrail)や 帆索止め座 に刺してハリヤード、シート…の 動索ロープ を止める(巻き取る)短い棒です。
船はロープだらけだからビレイピンもそこらじゅうにアリ。
ピンチ!のときは取り外して臨時の武器に変身。ちなみに劇場も Hemp rigging system でビレイピンをご使用してます。
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Götheborg号(1745年:スウェーデン)

+ ついでにビレイピンの使い方


キャプスタン(Anchor capstan)


キャプスタンは アンカー/錨 (Anchor)のロープ(Anchor rope)を巻き上げる木製 垂直軸 巻き上げ機 (Windlass)です。
スペインが発明して14世紀頃イングランドも導入したっぽい。
キャプスタン・バーをグルグル回してアンカーロープを巻き上げます。船によってキャプスタンの場所は上甲板や中甲板とイロイロ。
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Vasa号(1627年:スウェーデン)

+ アンカーはとっても大切

+ 抜錨(Weighing Anchor)のやり方

+ 投錨(Let go anchor/cast anchor/drop anchor)のやり方


中甲板



水夫達の寝室


水夫達の寝室は甲板にぶら下げたハンモックです。ハンモックは波や風でプカプカ揺れる船と一緒に揺れて安眠と安全を保証。
英国海軍は1597年キャンバス・ハンモックを正式採用。
それまで使っていた段ベッド(Berth)は嵐になると落っこちたり、よろけてぶつかったり怪我人や死亡者が出だそうです。
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Kronan (1668年:Kalmar County Museum)

+ 海軍はハンモック大好き♥

+ 船はハンモックだらけ


舵(Rudder)と舵柄(Tiller)


舵は船を回頭するための板で 舵柄 をガコガコ動かして操作します。 取舵(とりかじ)と面舵(おもかじ) のアレ。
こちらはシンプルな仕組みの舵と舵柄。
キャラベル船 La Niña は1492年新大陸を発見した クリストファー・コロンブス に随伴した船です。船長と18名の水夫が乗船。
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La Niña号(1492年頃: Wharf of the Caravels

+ 舵輪はドラえもんくらい未来のお話し

+ 16世紀は「ホイップスタッフ」


最下甲板



ギャレー(Galley)


ギャレーは船が揺れても安全に、限られた狭いスペースで効率的にお料理できるように工夫されたキッチンです。
こちらは砲列甲板にあるギャレー。
大砲の火もここで起こすのかしら?いくつか画をチェックしたら16-17世紀の大きい船のギャレーは吃水線より下が多いっぽいです。
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Elizabeth II号(16世紀: Roanoke Island Festival Park

+ 船は火の取り扱いに超ご注意!


ヤギの寝室(Goat locker)


世界各地に補給港が確立してない16世紀の航海は十分な食料を準備しとかなくちゃいけません。でも船に冷蔵庫なんてナイ!
ってことで、お魚やお肉は塩漬けにして保存。
野菜は ピクルス にして保存。ヤギ・豚・鶏・子羊を乗せて新鮮なお肉・タマゴ・ミルクを提供して貰う場合もあります。
Golden Hind first English ship to sail around the world (Education:Food)さんより~

海賊船(21世紀:Pirates of Nassau Interactive Museum)

ヤギの寝室「 Goat locker 」には海軍スラング「ラウンジ、 上等兵曹 の寝室、ギャレー」って意味もあります。
伝統的に部屋に入るとき許可が必要なの。
21世紀は「乗船/下船した上等兵曹のたまり場」って意味。ヤギの寝室がドコなのかはビシッとは分かりませんでした。


船底



船庫(Hold)と隔壁(Bulkhead/Partition)


船庫は 最下甲板 の下にある荷物を置くスペースです。荷物の出し入れは倉口(Hatch)からどうぞ。
16世紀は樽やシーチェストを置いてるぽい。
中身はなんでしょね?21世紀の中身は標準化した コンテナ (積み重ねられるから船庫を無駄なく使える)に収納してます。
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Golden Hinde号(1577年:ロンドン)

+ 重い荷物は滑車装置で出し入れ


ヨーロッパに「黄金の国ジパング」と誤報したマルコ・ポーロ(1254-1324)は元(中国)の帆船についてこんな紹介をしてます。
  • 竜骨で船体は高い強度を保っている。
  • 隔壁構造の船体で浸水しても沈没を免れる。
  • 羅針盤で正確な遠洋航行が可能。
ヨーロッパの帆船も15世紀には「航海中に壁(walls)があったら荷物動かないんじゃね?」っと隔壁を造っていた。 ←東方見聞録のおかげかどうかは分かりませんでした。

隔壁


火薬庫(Powder magazine)


火薬庫は大砲やマスケット銃で使う 火薬樽 の置き場です。 HMSヴァンガード号 戦艦陸奥 …は火薬庫が爆発して沈没。
鉄の船でも壊れちゃうくらいだから爆発したらヤバイ!
ってことで、火薬庫は喫水線より下でとーぜん火気厳禁。壁は静電気と湿気防止に銅板(静電気を帯電しない)を張ってます。
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HMS Victory号(1765年:イギリス)

アルマダ海戦もスペイン艦隊 サン・サルバドール号 の火薬庫が爆発しました(1588年:プリマス沖海戦)。
16世紀の火薬は爆発するとすさまじい白煙を出す 黒色火薬
摩擦、静電気、衝撃ですぐ爆発しちゃう。吸湿性が高いくせに水分を含むと爆発しないそうです。ビセンテ!銅板、銅板!

+ 火薬庫は隔離!とにかく隔離!(残酷な画があるのでご注意下さい)


ビルジ(Bilge)とビルジポンプ(Bilge Pump)


船底からジワジワ染み込んだ海水や船体に入り込んだ雨水は船底の最下部 ビルジ 内竜骨 の両サイド)に貯まります。
ビルジの汚水(bilge water)は船酔いしそうな衝撃のにおい。
汚水が貯まりすぎると船が沈没するので定期的に ビルジポンプ をシュポシュポして船外へ出さなくちゃいけません。
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ビルジポンプをシュポシュポすると汚水はビルジからリンバーパッセージ(Limber passage)を通って甲板へ汲み上がります。
あと予備の携帯ポンプも重要。
ビルジポンプが壊れたときや船が火事になったとき携帯ポンプは大活躍です。

+ ビルジポンプのシュポシュポ


バラスト(ballast)


船底のバラストはマストや帆の重さでトップヘビー(上側が重い)な帆船を安定さるための重石(土砂・丸太・石)です。
バラストを積めば船の喫水線が上がって(=船が沈んで)グラグラしない。
21世紀は荷物を降ろした貨物船に海水を入れると聞いたことが…コンピュータの自動制御で勝手に海水が入るそうです。
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HMS Victory号(1765年:イギリス)

+ バラストでグラグラ防止